『ホームレス王の孫』の異世界転移 スラム暮らしも悪くない!

石のやっさん

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第11話 締まらない。

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はぁ~俺って駄目な奴だ……

本当ならホテルに入ってから……

食事→プレゼント→お風呂→SEXが正しい。

だが、俺やアカネはスラム暮らしで汚いから……

お風呂→食事→プレゼント→SEXって考えていたんだけど……

大好きな女の子に誘われて、流されたその結果がこれだ。

「今すぐ、焼き直すから待ってて!」

「うん、ゆっくりでふぁぁぁ……良いからね」

アカネの体に溺れた俺は、眠気眼(ねむけまなこ)で食事を作り直している。

豪華なディナーが、食事もとらず耽っていた為、朝食になってしまった訳だ。

本当に締まらない。

じゅうじゅうーと音を立てて肉が焼けていく。

スパイスが聞いているから、今迄以上に良い臭いがする。

「よし、完成! アカネ、夕食じゃない……朝食が出来たから一緒に食べよう!」

「うん、凄く良い臭いがする……今迄のご馳走も美味かったけど、これは臭いからして全然違うよ。涎が出ちゃう」

「それじゃ、食べよう」

「うん」

一瞬『いただきます』と頭に浮かんだが、此処は異世界。

態々、言う必要も無い。

アカネを見るとガツガツムシャムシャと凄い勢いで食べ始めた。

話しからするといつもお腹をすかしていたんだから仕方ないな。

アカネは肉付きが良いから、こういう食べ方をしても凄く可愛い。

これがスレンダーな女の子が食べると……うん似合わない。

グラマラスなアカネだからこそ似合うと思う。

「そんなガツガツ食べなくても……ほら、ソースが頬っぺたについているよ……ペロッ」

「ハンス、これ美味いよ! こんな美味いご飯生まれて初めて食べた。凄く美味しい!」

頬っぺたについたソースを舌で舐めとったのに、今は食欲が優先みたいだ。

しかし、本当に美味しそうに食べるな。

そう言えば、塩だけで作った、カラスや鯉の塩焼きでもご馳走って言っていたっけ。

「アカネ、俺の分も半分分けてあげるから食べなよ」

「えっ!? ハンスに悪いから良いよぉ」

アカネはピタリと手を止めてこちらを見ている。

「良いから、はいあげる」

俺は自分の皿からオーク肉のステーキを半分切り分けてあげた。

まぁ、俺はお腹がすいたら、アイテム収納からハトでも出して食うからいいや。

「その……ありがとう!」

「どういたしまして!」

俺も早速一口口に運んだのだけど……美味い!

ちゃんとした調味料を使っただけでこんなに美味いのか。

だが、これは『おかしい』 前の世界で生姜焼きを作ったり焼肉を作ったが、市販のたれや調味料を使ったのに此処までの美味しさを出せていない。

この世界の方が絶対に肉も調味料も劣る筈なのに、凄く美味しい。

もしかしてこれがスキルの効果なのかも知れない。

とはいえ……『美味しい料理』じゃ魔族となんて戦えない。

やはり他の同級生と別の場所に送って貰って良かった。

家も無いけど……アカネみたいな理想の女の子と出会えたしな。

「……」

「どうかしたの? 私の事みつめて!」

「いや、アカネって凄く可愛いなって思って……」

アカネがじいっと、俺を見つめてくる。

「うん、もう否定しないよ……此処までしてくれたハンスが私の事嫌いなわけないしね! ハンスにとって私は凄く可愛いんだよね?」

「勿論、うぐっ!?うんぐっううん、ハァハァ」

アカネが俺に抱き着き貪るようなキスをしてきた。

「ぷはぁ、ハァハァ、それじゃまだ時間もあるし、しよう……私が気持ち良くしてあげる!」

アカネにその場に押し倒された。

アカネの誘惑に勝てるわけもなく、そのまま流され、気がつくと宿屋を出ないといけない時間になっていた。

俺って凄く誘惑に弱いんだな。また流されしまった。

本当に締まらないな。

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