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第24話 【閑話】女神たち
しおりを挟む「ねぇイシュタス、最近調子はどうなの?」
「どうなのって?」
「貴方の世界、ルミナスに異世界人が転移したんでしょう? なにかイレギュラーなことは無かった?」
「そうね、いつもどおり、それぞれに異世界で生きられるようにチートジョブやスキルをあげたんだけどね……一人変な子がいてね、ジョブが『ホームレス』でねスキルが『調理人』だって、流石に可愛そうだから当人の希望に合わせて戦いとは無縁の地域に送ってあげたわ」
「え~と、それって『調理人』のスキル持ちを他の地域に送ってしまったと言う事? 本気? 」
「そんな素晴らしいジョブの人間、別の地域に送っちゃうなんて勿体ないわ」
「え~と『調理人』だよ? 戦闘に役に立たないんじゃない?」
「確かに最初は役に立たないけどレベルが上がっていくと凄く役に立つのよ」
他の世界の女神イシスの話はとんでもない物だったのよ。
勇者パーティが魔国に攻め入った時、敵国で食料が手に入らない。
そこで必要になるのが調理人。
レベルが上がった調理人はどんな食材からでも美味しい物を作る事が出来るそうなの。
それは、ゴブリンであれ毒蛇であれ、普通の人間には毒のある食材でも毒を無効化し美味しい物へ仕上げてしまう。
つまり、調理人のスキル持ちがいれば兵糧に困らない。
また、敵地で美味しい物が食べられるからテンションも上がる。
ある意味究極の支援職だと言うのよ。
「嘘だよね?」
「本当よ! 魔族領にまで踏み込めた勇者がいないから重要性に気がつかないかも知れないけど、案外凄いスキルなのよ! 大体女神が異世界人に与えるスキルに外れがあるわけ無いでしょう」
「ううっ、確かに……」
「私の所の調理人はドラゴン料理の名コックよ!」
「ドラゴン料理?」
女神スクルドの所の調理人は何でも料理してしまう凄い存在だった。
竜すら仕留めて料理してしまうという凄い存在だったの。
「なかなか凄いでしょう?」
「そうね……」
だとしたら私はなんて失敗をしたのだろう。
ドラゴンすら殺せる存在を野に放ってしまったと言うの……
「だけど、イシュタス余り気にしないで良いわ」
「えっ!? どうして?」
「イシュタスの世界はまだ魔族領にまで到達できる勇者や英雄が居ないじゃない?」
「うんうん、竜の被害も余り無いんでしょう?」
「そうね……」
「なら、調理人が活躍する舞台は無いから、気にしなくて良いわ」
「そうなの?」
「そうよ! それに調理人は覚醒しないと、料理が上手いだけの存在だからね。 覚醒しないと意味がないから」
「そうなんだ……良かった」
まだ、必要な局面じゃなくて良かったわ。
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