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第30話 ただ、遊んでいるだけ
しおりを挟む凄いな!神代工業…
俺が見た神代工業は丸の内にあり…高さはどう見ても40階はある超高層ビルの中にあった。
尤も、このビルの中にある会社全部が『神代』の名前がついている。
1階にあるゲートに身分証を当てるとゲートが開いた。
どう見ても、周りはスーツを着たエリートにしか見えない。
俺の所属する総合企画部は38階にある。
神代からスーツも着ないで良いって言うからジーンズ姿で来たけど…どう見ても俺だけ浮いている。
エレベーターに乗るも…こんな格好俺だけだ。
どう考えても…実質高校中退の俺には似合わない場所だ。
38階で降りた先は…なんだ此処…
簡単に言うなら…音がしてこない。
会社特有の電話の音をはじめ何もしてこない。
何処に行けば良いのか解らず…そのまま歩いている…誰も居ない。
なんだ此処…
奥まで歩いた所で『未来泰明』という表札があった部屋に入った。
これ会社なのか?
ドリンクバーに大型テレビ…その近くにはソファもあり…大型テレビにはゲームが繋がっている…奥にはWベッドもあり…まるでラブホを更に豪華にした感じだ…此処が職場…幾らなんでも可笑しいだろう。
俺があぜんとしているとスマホが鳴った。
神代からだ。
「どうだい泰明? 係長室は気に入って貰えたかな?」
「娯楽用品しか無いのですが…」
「無いな…ちなみに別フロアにプールとマシンジムとサウナに大浴場…カラオケもあるから、後で行って見ると良い」
「他の社員も居ないし…仕事も無いような気がしますが」
「泰明が居る総合企画部はこの会社の『汚れ仕事』専門の部署だ。
その為、普段は仕事が無い…だから自由に遊んでいても良いんだ…他に社員は4人居るけど、見ての通り、そこには居ない…今頃遊んでいるよ…部長は今頃つけてあげた秘書と体の関係を楽しんでいる可能性が高い…他の3人は多分ギャンブルだな…普段は何をしてても良いんだよ…但し問題が起きた時には全力で対処する必要がある…そこの部に行く仕事は法律の中で解決できない仕事だからな…」
「簡単に言えば、犯罪をしなければ解決できない仕事専門だから、その仕事が無い時は好きにして良い…それであっていますか?」
「身も蓋もないがそんな感じだ…今日は皆、好き勝手しているので、その部屋で自由に過ごして飽きたら帰っていいからな…明日全員紹介してやるから」
「解りました」
結局、俺の出社1日目はただ、ゲームをして眠るだけで終わった。
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