【石のやっさん旧作 短編集】勇者に恋人を寝取られ追放されたが、別に良い...シリーズ

石のやっさん

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勇者勇者に恋人を寝取られ追放されたが、別に良い! だってその子は俺のヒロインじゃないから...その後②完結編【リクエスト作品】

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ギシギシとベッドの音がする。

今、俺はケインのかっての恋人のリタとやり始めている。


ベッドの横にはケイトとソニアが順番待ちで正座をしている。

白い肌を露わにした三人を眺めながら悦にひたる。


いい気味だ、お前の恋人のリタはもうお前の..へぶっ

いきなり、リタに蹴られた、かなり痛い...まさか魅了が解けたのか?

不味い..

「何で愛してくれないの?」

解けてはない..

「ちゃんとこうして愛しているだろう?」

再び続けた...今度は顔を殴られた。

「だから、何でちゃんと愛してくれないのよ!私はこれ程までに愛しているのに..何でよリヒト、私はこんなに愛しているのに」

何が何だか解らない。

魅了は掛ったままだ...その証拠に逃げ出したり、攻撃したりして来ない。

「愛ってなんだよ、何で殴るんだよ!」

つい頭に来て顔を叩こうとした瞬間...ケイトに殴られた。

「リヒト、お前は何時から、そんな愛の無い男になった! リタが暴れるのは当たり前だろう?」

「何なんだ、お前ら一体!」

「ちゃんと、愛さなくちゃ駄目ですよ...リヒト」

「だから、ちゃんとこうして」


「良いですか? こういう行為は愛のキャッチボール、そう、あれ誰が教えてくれたんでしたっけ?まぁ良いですわ、そういう物です」

「大好きな人に汚い所なんて無い...あれっ誰が言っていたんだっけ」

「多分、リヒトが言っていたんだろう」


「そうですわね」

「そうだ」


「シャワーも浴びずにやりたいって言いだしたのはリヒトじゃない?」

「ああ、確かに」

「それで、リタさんはしっかりとご奉仕しましたわ」

「ああっ」

「それなのに...リヒトは何をしているんだ? 今度はしっかりとお前が奉仕する番だろう?」

「なっ何を?」

ケイトとソニアに押さえつけられた..

「今度は貴方がする番ですわ」

「やっやめろ、汚い、茶色い物がついているじゃないか? 紙迄..やめてくれ」


「シャワー浴びたいといった私達を無視して始めたのはリヒトでしてよ? 私また凄く愛してくれると思って興奮しました」

「前は良くしてくれたじゃないか?..私には汚い所なんてないんだ..そういって愛してくれたよな?」

「沢山した後に汚い私の口をさぁ...流石に私が「汚いから良いよ」っていったのに...僕の為に頑張ったんだからとちゃんとキスしてくれたじゃない?」


「嫌だ、やめろ..嫌だ」

バキ..ケイトに殴られた..かなり強く..口の中が斬れた

「おい、いい加減にしてくれ...お前は凄く優しい男だろう..失望させるなよ..」

「何で愛してくれないの?前はあんなに愛してくれ....たよね」

「そうですわ...前は」


「嫌だやめろー..」


辞めては貰えなかった..俺の口の中はまるで肥溜めを口に入れられたような味がする..鼻からは腐ったチーズをさらに酷くしたような臭いが取れない。

「何で泣いているの? こういうのが愛じゃない..ほら」

リタの口元から..俺の恥ずかしい毛がはみ出ている..そしてそのまま

「ほらキスしてあげるから泣き止みなよ」

「嫌だ、嫌..やめろ」

「何を言っているんだ..お前はキスが凄く好きだろう..悲しい事があったんだな..リタがキスで癒してくれるんだぞ」

リタのキスの味は物凄く生臭く..俺の味がした。


「何で逃げようとしたのかな? 可笑しいよ? 前は..あれっ あんなに愛し合ったじゃない...1人じゃなくて私達を..あれっ選んでくれたんだよね?」


「そうですわ...リヒトあれっ..じゃないケインを追い出してまで私達を選んでくれた..凄く嬉しかったんですよ?」


「私が男みたいな体で悩んでいたら、私のグローブを脱がして「この手が僕たちを守ってくれているんだ..好きだよこの手」といって指から一本一本宝物のように愛おしそうに舐めてくれたじゃないか?」

「あのさぁ..愛を築くのは時間が掛かる...そう思わない? ちゃんと昔のケイン...じゃないリヒトに戻ってよ..ねぇお願いだからさぁ」


「仕方ない、今日は私はこれで良いわ...その代り明日からはしっかりしてよ..」


「良いのか?リタ」

「私は恋人?..あれっまぁ良いや..ケイトとソニアにはしっかりしてあげてね...見ているから」


嫌だと言うのにやめてくれない...散々奉仕させられ、嫌がると無理やり押さえつけられる。俺の口の中はまるでゴミ箱の様だ。

そして、汗も流さずしていたから、体からは腐ったような臭いがしてきた。


「うえぁぁぁぁぁぁぇぇぇぇぇぇ」

流石に気持ち悪くなって吐いた..

こんなのはただの苦痛でしかない..


「何、吐いているの? リヒト可笑しいよ? 好きな人には汚い場所何か無い、って言っていたのに..」

「何があったんだ...あんなに蕩けるような事をしてくれたのに..」

「今のリヒトさんには愛が感じられません」


この日から俺の地獄が始まった。

オークに攫われた、苗床の様な生活だった。


こんな状態の彼女達に毎晩の様に求められ...「愛」が無いと罵られる。

それがとうとう、彼女達から「暴力」という形になり始めた。


「リヒト? 私が昔の様にちゃんと愛せるように戻してあげる」

「私も頑張りますよ? 安心して下さい」

「私も協力するぞ!」


そう言いながら、シャワーも浴びない汚い体に奉仕をして...

優しく無い...愛が無いと罵られ..暴力を振るわれる。


それでも、俺はこのパーティーを抜けられない...



五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』

剣聖のケイト 聖女のソニア 魔法使いのリタ

ケインが居ない以上これ以上仲間を減らす訳にはいかない。

他にメンバーを集うにもリタは兎も角、剣聖や聖女なんて他に居るわけが無い。


まして、勇者の俺が大舞台で活躍するなら...捨てる訳にはいかない..

だが..


「勇者リヒトって鬼畜らしいよ?」

「三人も自分の女にして、優しくないんだって」

「ガセじゃないの?」

「違うって、ソニアさんやケイトさんが言っていたんだから」

「それじゃ間違いないじゃん」

「最低」


あの馬鹿女達が街で不満ばかり述べるから...ブラックウィングの女の評価は低い。

しかも...最近は依頼も拒否るようになりやがった。


「リヒト、今の貴方の為に働きたくないの...ごめんね」

「リタ、優しくいう必要は無いですわ...愛してくれない男の為に戦いたくないのです」

「同感だ...人の愛を逆手に取るなよ...幾ら私が愛しているからって愛してくれなくて、思いやりの欠片も無い男の為には戦いたくない」


「もう俺を愛してないのか?」


「愛している、だから貴方が愛してくれないのが辛い」

「同じよ..私の愛まで疑うんだ、最低」

「お前、自分がどれだけ愛されているのかも解らないんだな」




ケインという男は簡単に言えば「究極のお人よし」だった。

ミランダという心に決めた人が居るのに、絆されて幼馴染のリタと婚約してしまう位に。

勇者パーティーに居る人間は複数の人間と結婚出来る...それでも情に絆され意中の人が居るのに、流されて幼馴染と婚約する位のお人よしだった。

小さい頃に両親を失った彼は、「愛に飢えた」人間に育つ。

だからこそ、人の悲しさや寂しさに敏感になった。

更に、人に「必要」とされる事に喜びを見出す人間に育った。

村で、誰もが彼を評価したのは、「何でも手伝いそれを喜ぶ人間」だったからだ。


ただ遊んでいるだけの子供と、「重いでしょう」と荷車を押してくれる子供。

怪我して歩けない自分に、ただ見ている子供と、おんぶして運ぼうとする子供。

誰でも後者の子供を評価するだろう。

ある意味究極の寂しがりで愛に飢えた人物それがケインだった。



リタが毒虫にやられて顔が二目とみられなくなった時に、顔じゅうの毒を吸いだした事もある

「あはは、もうこんな顔じゃ女として終わりだよね?」

「治るから大丈夫だよ..今の姿でもリタは綺麗だ」

「でも..こんなんじゃ」

「もし、貰い手が居なかったら僕が貰ってあげるよ」

こんな事平気でいう人間だった..毒を吸いだした為に自分はその後唇が腫れて寝込んだのに。


ソニアが火トカゲの火にやられ火傷を負った時には、自分の装備を売って秘薬を買った。

焼け爛れ臭い膿だらけの顔のソニアを寝ないで包帯を変えて看病していた。

リヒトは見たくないからか、他に宿をとって飲み歩いていた。

「もう私、終わっちゃったのね..」

そう泣いていたソニアに口づけをした...

「終わる訳ないじゃん...思わずキスしたくなる位魅力的だよ」

「そんな訳無い」

「そう、要らないならソニアを頂戴」

「どうするの?」

「お嫁さんにしちゃうから」

「...」

ソニアは申し訳ない気持ちと、醜くても、魅力的といったケインの顔を忘れない。



ケイトに至っては流行り病に掛かった時に下の世話までしていた。

「見捨ててくれ」

名前を売り出す為に躍起になっていたリヒトは彼女を見捨てて、依頼を受けていた。

「見捨てないよ」

「あははっゲロ吐いて、下痢して動けないんだぞ私は..」

「汚くないよ...ケイトだもん」

そういって、オムツをかたずけてお尻迄拭いた。

「馬鹿、態々みせるなよ...変態」

その時にケイトは誓った...もし、ケインが同じ様になったら、下の世話までしてやろうと。


彼女達は解ってしまった...ケインは美少女だからじゃない...そんなの関係なく何でもしてくれるのだと。

だから、自分達も何でもしてあげよう、そう思う様になった。




リヒトは魅了のスキルでケインから彼女達を奪った。

もうケインへの気持ちは今は消えている。

だが、その愛し方は残っていた。

魅了を使っても、猫や犬をかわいいと思う様に..愛し方は今迄と同じ。

ただ、好きな対象が入れ替わってしまっただけだ。


好きな相手、ケインとリヒトが入れ替わってしまっただけだ...

だから、こそ、三人を選んでくれた時に嬉しさが増した。

心に決めた未亡人でなく...自分達を選んでくれた、その嬉しさからケインを追放しても何とも思わなかった。

これから素晴らしい日々が始まる。

そう思っていたから..

だが、違っていた。

あの凄く優しいリヒトが自分の体を汚い様な物を見る目でみた。

自分のオムツまで変えてくれた人間が...汚い毒や膿を吸いだしてくれた人間が...拒んだ。

ケインと三人の関係は「何でもしてくれるから、何でもする」そういう間だった。

それに彼女達は愛を感じていた。

それを壊そうとした相手が徐々に許せなくなっていった。


魅了のスキルの為に愛した人間が入れ替わってしまっている..それに気が付かない。


「何で、愛してくれないの..あんなに優しかったのに」

「私の事はもうどうでも良いのですか? 貴方は何時からクズになってしまったのですか?」

「なぁ頼むから、あの優しいリヒトに戻ってくれよ..」


「俺は..」

俺は何て事をしてしまったんだ..ケインが居るからこいつ等は優しい奴だったのか?

ケインはこんな最低な性処理をさせられていたのか..


本当は違う...お互いに絆があったのだ..

寂しがりやのケインは自分を好いてくれていた三人だから、喜んで答えていた。

彼女達は、何でもしてくれるケインが好きなだけ、それだけだ。

もし、リヒトがケインと同じ位の事が出来たなら、同じ様に愛してくれたはずだ。

だが、リヒトはそれに気が付かない。


それ所か彼女達が怖くなってきた、リヒトは依頼の時だけしか彼女達に会わなくなった。


「リヒトがいけないのよ...愛してくれないから」

会わないという行動が彼女達に最後の一線を越えさせた。

「うんぐむぐっ」

今、リヒトは猿轡を加えさせられ、ベッドに縛り付けられている。

「大丈夫だぞ、リヒト、手足が無くなっても、昔お前がしてくれた様にオムツの交換から全部してあげるからな」

「体も大丈夫ですわよ...貴方が膿を吸いだしてくれたように、私が貴方の汚れを舐めとってあげるわ」

「私もしてあげるね」


「うんぐ、むぐ(やめてくれ)」

「大丈夫、すぐ終わる」

剣聖のケイトがその剣術で四肢を切断した。


「ふんぐーっ」

「痛い? すぐ回復魔法をかけますね?」

「うぐううう(やめてくれ)」

切断した四肢を繋げないで回復魔法を掛けたら..もう繋ぐ事は出来ない。

「これでもう...リヒトは...あれれっ...私がリヒトを愛している..何で、何で..私の好きなのはケイン..結婚したいのは..リヒトじゃない..嘘」


四肢を切断された事で魅了の魔法が遂にきれた。

「やってくれましたね...魅了のスペルですか?」

「此奴、そんな事していたんだ...道理で愛が無いと思った」


「それで、どうしようか?」

「人を洗脳するスキルは使った時点で殺して良い事になっていますわ」


「それじゃ」


「「「殺しちゃいましょう!」」」

「うぐううううっ.(辞めてくれ)」


リヒトの首は三人によってギルドに届けられた。

三人の洗脳されていたという主張は直ぐに認められた、誰が見てもケインが好きだった彼女達がリヒトに鞍替えしてケインを追い出すとは思えなかったからだ。

勇者のジョブを持ち本来なら英雄に慣れたはずの男は罪人として生涯を閉じた。


「それで、どうする?」

「決まっているわ...ケインに謝りに行くしかないですわ」

「そうだよね」

「それしか無いだろう」


三人は田舎に帰り、ケインが結婚したことを知った。

失意のうちに立ち去ろうとしたところをミランダに見つかった。

「リタにソニアにケイトよね?」

流石に息子を殺した事は話しづらい..だが彼女達は素直に全てを話した。

「そう、辛かったでしょうね...本当に息子が酷い事をしたわね...ごめんなさい」


「あの、私達はリヒトを殺したんですよ!」

「殺されて当たり前だわ...同じ事されたら、私も殺します!」

「「「ごめんなさい」」」


「謝る必要は無いわ...こっちこそ、ごめんなさい」


「「「....」」」

「それで貴方達はどうしたいの?」


「私達は一目ケインを見たら出ていきます」


「もうケインの事は好きではないのかしら?」


「「「そんな事はありません」」」


「だったら、貴方達もケインと結婚しちゃいなさいな...2人生活だと寂しいし、娘みたいな仲間が3人位居た方が楽しいわ...あっケインが許してくれたらだけどね」


ケインが好きになる訳だ。

本当に懐が深いというかなんとも言えません。

私には同じ事は言えないな。


「「「宜しいのですか?」」」


「ええっ勿論」


「どうしたの皆して?」


「「「ケイン!」」」


一瞬悩んだケインだったが、ミランダの勧めで3人とも娶る事になった。


5人で協力して畑を耕しながら、地元のギルドで、冒険者を続けていこうとしたが...


「なにこれ?」

「リヒトはクズだった、それだけですね」

「本当に殺して正解だった」


ブラックウイングのリヒトが管理している口座には金貨が3000枚も入っていた。

これは5人が贅沢しても使いきれない金額だった。


彼らは趣味で仕事をしながら、濃厚な生活を送り続けた。

4人も妻を貰ったのがケインじゃなければ、やっかみもあったかも知れない。

だが、ケインは村人に愛されていた。


「彼奴なら良いや、凄く良い奴だからな、その位当たり前だな」

そう言われる位に。

聖女が治療し剣聖と剣士、魔法使いが守る村、逆に感謝される事になる。


5人は何時も幸せそうに笑っていた。



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