上 下
19 / 59

第19話 【閑話】 美の女神イシュナス

しおりを挟む

「男の相手が嫌? 貴方達はなにを言っているんだい? 美の女神イシュナス様からの祝福を貰ったじゃないか? 拒んで良いと思っているのかい! ちゃんと勧誘の時にも男の相手をしなくちゃいけないと、神イシュナス様から説明を受けた筈だよ!」

「ですが、私達、まだ高校生で男性経験が無いんです…」

「そうなんです…私は処女なんです…嫌です」

「許して下さい…いきなり男性の相手なんて…そんな嫌です」

「頭が痛くなってきたわ! いいかい、その美しい姿に、数々の素晴らしいスキル、女なら誰もが欲しい物だ…元は只の娘だったあんた達を、あんたらの言う芸能人を超えるような姿に代えてもらったんだよ! それにあんたらのスキルは男に抱かれれば抱かれる程、魅力が増していくんだ…何故男に抱かれる事を拒むんだい! しかもだ、最初の1週間は客じゃなくて、同じく、イシュナス様の信者だから、そこそこ美形だ、何を拒む必要があるんだい」

「それでも、いきなり1日に3人の男性に抱かれるなんてあんまりです」

「乱交みたいな事迄しなくちゃいけないなんて…酷すぎます」

「男の相手とか言うから、お酌とかそう言う事だと思っていたんです…」

本当に呆れて物も言えないね…

私らからしたら、異世界人って事で特別扱い。

最初から、イシュナス様から祝福を貰えて羨ましいのに、何たる言いぐさだい。

私が、今の容姿になり磨きが掛る迄6年掛かっているんだ。

「そうかい! 異世界転移は女神や神が行ったんじゃない! この世界の人間の誰かが召喚魔法を使い、能力を持たないあんたらが可愛そうだからと神様達が祝福をくれたんじゃないか? それが嫌なら仕方が無い…私がイシュナス様に話をするから『全て返して』此処を出ていくんだね」

そんな事は出来ないんだけどね。

いい加減腹が立ってきたわ。

「元の世界に…」

「知らないよ! それはイシュナス様じゃなく『呼んだ奴』を探して文句を言うんだね」

「「「そんな」」」

「いいかい? このイシュナス様を祀る神殿は神殿娼婦のお金で賄われているんだ! 体を売らない人間が此処は住んで良い場所じゃないんだ…嫌なら出ていっておくれ…ただいっておくが、外の世界は魔物や魔族がいるし盗賊もいる…そんな世界で普通の女が生きられる程甘い世界じゃない! 出ていったら最後、もうイシュナス様との縁は切れる...此処に居れば屈強な騎士が守ってくれて、美味しい物を食べ、神殿で暮せる…捨てるならどうぞ、居なくなってよいよ」

「「「そんな」」」

「あのな、神様に直接会って祝福を貰えるなんて、最高の待遇なんだよ…しかも好きな神様を選べるなんてチャンスは絶対にない。 この世界の人間が、貴方達みたいな祝福を貰うにはとんでもない努力が必要なんだ…私がこの容姿にスキルを貰うまで6年掛かったんだ…私も昔は元の貴方達みたいな冴えない女だった…最初からそんな容姿とスキルが貰えている、あんた達が羨ましいよ…要らないなら返して出ていけば」

女神イシュナス様は慈悲深い。

例え、此処を出ていっても恐らく、あげた物は取り上げない。

だが、此処を出ていったらなまじ、綺麗なだけ地獄のような生活を送る事になる。

出来たら、考えなおして欲しい。

そんな思いもあるんだよ。

「ですが、私の知っている女神様は、そんな性的な強要はしません」

「そうです」

「この世界だと違うって知らなかったんです」

本当なのだろうか?

今迄、昔の信仰を捨てなかった者でも、異世界の神は手を貸さないでこの世界に関与しなかった。

だが、今回慈悲深い女神が、この世界で信仰を与えた。

その為、お互いの齟齬を無くす為ある程度の話し合いもしたらしい。

「本当にそうなのか? 女神の名前を言ってみな」

「女神、アフロディーテ様です」

「え~とビーナス様です」

「私も同じです」

「そうかい? もし、その女神が性を司らない神だったら、その申し開きを聞く耳を持とう…とはいえ、暫く、心落ち着かせる猶予を与える事しかできないがな、だがその女神がイシュナス様と同じような女神だった場合は、明日から男に抱かれて貰うからな、教皇様にお伺いをたててイシュナス様を通し異世界の神に聞いてもらう」

「「「解りました」」」

異世界の神は、本当にそんなに違うのか…

理解に苦しむ。

◆◆◆

私は教皇様に話をし、イシュナス様を通し異世界の神に聞いて貰う事にした。

こんな事迄神が聞く。

異世界人が羨ましい。

しばらく待たされていると…

「今、ようやくイシュナス様を通し、異世界の女神 雪乃様から話が聞けました」

「そうですか? それでなんと」

「『えっ、アフロディーテだって、美と愛と性を司る女神だね!ビーナスも同じ女神だよ! 僕とは国は違うから直接会った事はないけど、ビッチだよ!多分、性を司るんだから当然!イシュタルもそうだけど、美の女神って奴は大体がビッチだと言われているんだ』だそうです」

なんだか軽いが、異世界の美の女神もイシュナス様と同じような女神じゃないか…

明日からスパルタで行くから覚えておけよ…





しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,932pt お気に入り:114

尾張名古屋の夢をみる

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:6

織田信長 -尾州払暁-

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:9

鉱物研究者ですが、魔物退治はじめました。【第一部完】

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:18

処理中です...