Death Gods&Devil

last joker

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第一章

因果応報

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「マジむかつく、死ね。」
光は松坂の元を去った後も、松坂が吐き捨てた言葉を聞いていた。いや、聞こえていた。
「死ねか…、俺も何度もあんたをそう思ってたよ。美穂ちゃん。」
光は耳元に添えていた手をゆっくり離す。離すと同時に耳に付けられていたピアスがシャラリと音を立てる。

『全てを見透かす力』…たとえどんなに遠く離れていても、本人の意思で相手の行動などが全てわかってしまう。力をうまく使いこなせば、少し先の未来や過去も見えてしまう。
「まあ、これで千葉の嫌がらせも見抜けたんだけどね。うまく使いこなすのは、やっぱりコツがいるよね。」
光はこの力で皆が誰もいない時に機械を設置し、千葉の嫌がらせも見抜いていたのだ。
「まあ、あんたら二人がよく思ってないことはとっくの昔に気づいていたけど、やることが幼稚だよね。」
光はそう呟くと、千葉と松坂のことを思い出す。

『松坂美穂』…死神本部長で、かつての光の上司。そして昔(前世)は、光とは学生時代の同級生だった。転生してからも、伊藤とは親友同士だったが、何かと伊藤とはつるんでは光に嫌がらせをしていたのだ。光が何かを言う度に伊藤のように自分の方が優れているなど、成績優秀なことを自慢していたのだ。しかしその後、光が自殺してからは、どうやら彼女を思っていない輩も数多くいるらしく、その後勤めていた会社をクビになり、フラフラしていた所を通り魔に刺されて死亡したらしい。
ちなみに先程光に嫌がらせをしていた千葉も本名は、『千葉美奈都』という。かつては松坂のところで働いていたヒラの部下だったが、昔(前世)は、光とは学生時代の同級生だった。光とは最初は仲が良かったのだが、松坂達と仲良くなってからは、まるで掌を返すように光に嫌がらせをしてきた。おまけに光とは寮仲間だったが、すぐに彼氏の元に行き、彼氏の自慢ばかりをしては、光に悪口を言っていた。しかしある日、松坂達と疎遠になり、光とも距離を置いていたが、その後光が自殺してからは、事故に合い、死亡したらしい。

「意外と死んでよかったとは思わないけど、理不尽な人達もロクな目には合っていないみたいだね。まあ、だからこそ…やりがいはあったけどね。」
光は死神になり、霊長になった後、まるで自分の存在価値を知らしめるように、松坂から伊藤と千葉を引き抜いたのだ。でも、それには他にも理由があった。
「あんたは言ったよね。あんたには才能がない。私の方が優れている。だからこそ、私は自分の力であんたを追い抜いたんだよ。そして、人の心を傷つけたあんたをただ同じ方法でやるなんて、つまらないからね。」
伊藤も松坂も千葉も、自分を平気で傷つけておきながら、いつも笑っていた。

「転生してから幸せになんてさせないよ。俺が弱かったのもあるけど、あんたらは転生してから不幸になるのが運命なんだよ。」
光はそう言って笑っていた。その目はいつものような黒ではなく、赤く光っていた。
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