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序章
転生の選択ーレイの章
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『今まで、何らかの事故や事件で死んで、ここに流れ着く者は何人か見たけど、自ら死を選んでここに流れ着くなんてね。それも同じ願いをする者が二人もいるなんて。』
最初に聞いた声はそれだった。
『君、神様?それとも天使?』
豪華な椅子に座り足を組んでいる、中世的な姿と声をした人物に尋ねてみる。
『おや?初めての言葉がそれかい?前に会った子は自分が死んだことに気づいてたみたいだけど。』
意外だねとその人物が驚くのを私ーいや、僕は複雑そうな顔で見ていた。
『どっちだったらよかったかな?』
『別にどっちでもいいよ。もう何回も死にかけてるし、それに両目が見えるってことは、死んだってわかるし。』
僕は今まで右目でしか世界を見たことがない。生まれてきた時に潰されたので、両目で見たことがない。いつか両目で見る時がくるのは、たぶん死んだ時だろう。そんなことを何となくわかっていた。
『今まで死にかけているのに、自ら君は命を絶ったのかい?』
『最初はね、死にたくないって思ってたよ。でも、その度に痛めつけれるのは、もう嫌だったんだ。もう身も心も、ズタズタで限界だった。生かされて殺されるなら、もう楽になりたかった。』
この唯一残った右目で見た世界は、不満と暴力、嫉妬・妬み、裏切りの数々。残った右目を潰すより、自分自身を潰したかった。どこかの宗教は、どんな境遇にも必ず神の手は差し伸べられるだの言っていたけど、どんなに神様に祈ったって、光も手もなかったのだ。
『どんなにこっちが言ったって、抵抗したって、生意気だの言われて理不尽に攻め立てられる現実。正直者はバカを見るとか、唯一信じていた者から言われて裏切られる毎日。それでも、前を向いて生きていこうなんて、ただの戯言にしかならなかった。』
だから…あの時…理不尽な奴らの目を盗んで…僕は…
『『もう、人間にはなりたくない。』』
『どこかの歌にあったよね。天国も地獄さえも、ここよりマシなら喜んでいこうっていう歌詞が。あんな所よりマシなら、どこへだって行けるよ、僕は。違う世界で、強くなりない。』
『そうかい。なら、【悪魔】になる気はあるかい?』
『悪魔?地獄とかに行くんじゃなくて?』
僕がそう言うと目の前の人物はニヤリと笑い、椅子から降り、姿を変える。
『私は神でも天使でもない。あ!でも、天使ではないというのはちがうかな?私は堕天使だから。』
背中に純白の羽と頭から漆黒の羽を生やした堕天使は、僕を見る。堕天使というので、僕が想像していた堕天使とはだいぶ違うので、僕は驚いた。
『驚いたかい?』
『何かイメージとはだいぶ違うから。』
『そうかい。では、君に聞こう。悪魔になる気はあるかい?』
『人間が悪魔になることってあるの?』
『君みたいな例は珍しいからね。まあ、同じように死神になった子もいるから。』
自分と同じような境遇の者がいるということを知って、僕はしばらく考えて口を開く。
『もう人間にはなりたくないし、人間の世界に未練はない。だったら、悪魔でもいいよ。』
『やっぱり君も同じことを言うんだね。気に入ったよ、なら君は悪魔になるために、【全てを得る力】と【支配魔力】を与えよう、どう使うかは君次第だ。』
堕天使はそう言うと僕の頭に手を添える。光が発光し、僕の体から何かが注がれるような気がした。
『ねえ、支配する力はこの片目に宿してもいいかな?』
『おや?両目が見えたのに、また片目にするのかい?』
『どっかの漫画のキャラみたいで、カッコいいから。でも、これは無限に使いたい。』
片目の方が何か安心するしねと僕が言うと、堕天使は仮面を渡す。仮面を片目に付けると、僕は目を開ける。
『そういえば、僕はこの見た目だといくつぐらい?』
『17,8くらいかな?悪魔になったら、その扉を開いて行くといい。あとは…』
堕天使が言う前に僕は光る扉の方に歩いて行った。そして、立ち止まって振り向く。
『後は僕次第ってことでしょ?君が言う、僕と同じ境遇の元人間の死神と会えるかもしれないし、選択するのも僕次第だし。もう、これは僕の人生のスタートでもある。』
『そこまでわかっているなら、私はもう何も言わないよ。頑張ってね、レイ。』
最後に言った名前を背中で聞きながら、僕は堕天使に手を振って歩き出した。
最初に聞いた声はそれだった。
『君、神様?それとも天使?』
豪華な椅子に座り足を組んでいる、中世的な姿と声をした人物に尋ねてみる。
『おや?初めての言葉がそれかい?前に会った子は自分が死んだことに気づいてたみたいだけど。』
意外だねとその人物が驚くのを私ーいや、僕は複雑そうな顔で見ていた。
『どっちだったらよかったかな?』
『別にどっちでもいいよ。もう何回も死にかけてるし、それに両目が見えるってことは、死んだってわかるし。』
僕は今まで右目でしか世界を見たことがない。生まれてきた時に潰されたので、両目で見たことがない。いつか両目で見る時がくるのは、たぶん死んだ時だろう。そんなことを何となくわかっていた。
『今まで死にかけているのに、自ら君は命を絶ったのかい?』
『最初はね、死にたくないって思ってたよ。でも、その度に痛めつけれるのは、もう嫌だったんだ。もう身も心も、ズタズタで限界だった。生かされて殺されるなら、もう楽になりたかった。』
この唯一残った右目で見た世界は、不満と暴力、嫉妬・妬み、裏切りの数々。残った右目を潰すより、自分自身を潰したかった。どこかの宗教は、どんな境遇にも必ず神の手は差し伸べられるだの言っていたけど、どんなに神様に祈ったって、光も手もなかったのだ。
『どんなにこっちが言ったって、抵抗したって、生意気だの言われて理不尽に攻め立てられる現実。正直者はバカを見るとか、唯一信じていた者から言われて裏切られる毎日。それでも、前を向いて生きていこうなんて、ただの戯言にしかならなかった。』
だから…あの時…理不尽な奴らの目を盗んで…僕は…
『『もう、人間にはなりたくない。』』
『どこかの歌にあったよね。天国も地獄さえも、ここよりマシなら喜んでいこうっていう歌詞が。あんな所よりマシなら、どこへだって行けるよ、僕は。違う世界で、強くなりない。』
『そうかい。なら、【悪魔】になる気はあるかい?』
『悪魔?地獄とかに行くんじゃなくて?』
僕がそう言うと目の前の人物はニヤリと笑い、椅子から降り、姿を変える。
『私は神でも天使でもない。あ!でも、天使ではないというのはちがうかな?私は堕天使だから。』
背中に純白の羽と頭から漆黒の羽を生やした堕天使は、僕を見る。堕天使というので、僕が想像していた堕天使とはだいぶ違うので、僕は驚いた。
『驚いたかい?』
『何かイメージとはだいぶ違うから。』
『そうかい。では、君に聞こう。悪魔になる気はあるかい?』
『人間が悪魔になることってあるの?』
『君みたいな例は珍しいからね。まあ、同じように死神になった子もいるから。』
自分と同じような境遇の者がいるということを知って、僕はしばらく考えて口を開く。
『もう人間にはなりたくないし、人間の世界に未練はない。だったら、悪魔でもいいよ。』
『やっぱり君も同じことを言うんだね。気に入ったよ、なら君は悪魔になるために、【全てを得る力】と【支配魔力】を与えよう、どう使うかは君次第だ。』
堕天使はそう言うと僕の頭に手を添える。光が発光し、僕の体から何かが注がれるような気がした。
『ねえ、支配する力はこの片目に宿してもいいかな?』
『おや?両目が見えたのに、また片目にするのかい?』
『どっかの漫画のキャラみたいで、カッコいいから。でも、これは無限に使いたい。』
片目の方が何か安心するしねと僕が言うと、堕天使は仮面を渡す。仮面を片目に付けると、僕は目を開ける。
『そういえば、僕はこの見た目だといくつぐらい?』
『17,8くらいかな?悪魔になったら、その扉を開いて行くといい。あとは…』
堕天使が言う前に僕は光る扉の方に歩いて行った。そして、立ち止まって振り向く。
『後は僕次第ってことでしょ?君が言う、僕と同じ境遇の元人間の死神と会えるかもしれないし、選択するのも僕次第だし。もう、これは僕の人生のスタートでもある。』
『そこまでわかっているなら、私はもう何も言わないよ。頑張ってね、レイ。』
最後に言った名前を背中で聞きながら、僕は堕天使に手を振って歩き出した。
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