人類戦線

さむほーん

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胎動編

第二十三話 邂逅

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飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ

さっきからそればっかり

流石に体力が持つか怪しくなってきた

(ん、通信だ)

雑音を消すために耳に手を当てる

『弘岡、須斎が仕事を終えた。もう戻ってきてもいいぞ』

蒼井も役目終わらせたんだ

もう完全に停電したみたいだし、私もそろそろ戻らないと

でも追撃も来そうだし

あ、でも塀の方むこうなら行けるかも

「おい!あいつ逃げるぞ!」

当然追っては来る



『城崎、計画プランDで』

『了解』

この塀は城崎が出した

確か、寮の内外を隔てるための隔離壁だったか

その一部だからあらかじめ連絡しておけば大抵の形には変化出来る

例えば

「塀を超えられるぞ!落と……せ?」

こんなふうに私が上に乗った瞬間から伸び縮みして操作者しろさきのもとに連れて行くこともできる

もちろん、動かした時点で隔離壁は補充されて隔離に影響が無いようにはなっている

そして城崎のところについた瞬間、とんでもない速度で歩いてくる人がいた

「時間が掛かり過ぎだ、神柱」

「いや、ちゃんと予定通りの時間内に終わらせたんだけど」

神柱はどうやら作業スピードが足りなかったらしい

「それより、蒼井は?」

これを今知覚できるとしたら城崎くらいだろう

「ああ、今こちらに向かってきている。もう2分もしたらつくと思うぞ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あ、ホントだ

須斎がこっちに向かって走ってきてる

そんなに急がなくても城崎は味方がいる所に隔壁を出したりしないのに

ん?あのハンドサインは……

「城崎、戦闘準備して」

「なんだ?」

あれは以前決めておいたハンドサイン

それも、少し前に使ったばっかりのものだ・・・・・・・・・・・・・・・

「多分、敵が来る」

そこからは早かった

即座に弘岡が刀を硬化

それと同時に城崎が地面に触れて索敵開始

僕はいつでも「抜刀」できるように刀に手を置いておいた

「須斎!敵の情報!」

「私の位置を知覚している!それに加えて隠密系か狙撃系の装備だ!」

隠密か狙撃

奇襲用か

でも…………

「どうする城崎?僕の装備敵の位置がわからなかったら大して効果ないんだけど」

「大丈夫、私がやる」

そうだ、弘岡を忘れていた

でも、こいつの装備もそんなに殲滅向きではないでしょ

「いや、弘岡。俺が炙り出すからその止めを頼む。正直お前ら3人の装備は範囲攻撃に向かない」

そうか

こんなことならもう一人くらい仲間を入れて範囲攻撃させればよかった

そして、目の前の地面が強い力によって大きくえぐれる

「地中にいるわけではなさそうだな」

「全員今いる場所から動かないで!」

こいつは多分抉った地面を使ってそこにいる敵を文字通り「潰す」つもりだ

そんな状況なら下手に動くとあいつが僕らに当たらないように狙いを定めてもそれが外れて同士討ちフレンドリーファイアなんてこともあり得る

「よし、落とすぞ」

ゴッ、という音が何度か続いた後、砕けた地面のうち一つの軌道が変わった

「そこか」

そこに向かって弾丸ひろおかが文字通り飛んでいった

そしてそのままぶつかる

(何で姿が見えないんだよ!?!?)

「当たったのか?」

「絶対に人に当たった。でも逸らされたのか浅かった気もする」

気絶させる落とせるくらいじゃなかったってことか

それにしても気絶させなきゃ効果が解けないのか

須斎と言い、こいつと言い隠密系はやっぱり厄介だな

「どうする、城崎?範囲ごと潰す?」

そうすれば見えなくても倒せるはずだ

「……さっきの攻撃で逃げられた可能性もあるが、一応試しておくか」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

危ない危ない

やっぱ途中で追跡は切り上げて帰るべきだったかな?

さっきのちっちゃい子に左腕やられてからゆっくりしか動けないし

これはもう投降したほうがいいかな?

多分そっちの方が安全だし

「え」

そんなことを考えながら歩いていたら両足の膝から下が土に埋まっていた

(罠があるかは確認しながら進んでいたはず……)

ってことは即席攻撃か?

即席でこれかぁ……

よし、諦めよう

「ちょっといいかな?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ちょっといいかな?」

急に相手が話しかけてきた

「君がリーダーだと思うんだけど」

まあ、今回は結構派手に動いたしな

気づかれても仕方ない

「何の用だ?」

とはいえ、戦闘中に相手に話しかける意味など限られている

講和、降伏、警告、のどれかだな

こいつの場合はどれなのか

比較的有効的な態度で近寄ってきたことからおそらく講和か降伏だろうが

「ちょっと投降したいんだけど」

「なるほど、投降か」

ということはこいつ個人の判断か

とはいえ、まだ敵の潜入捜査要員スパイの可能性も残っている

弘岡もそれに気づいているのか、こちらに視線を向けてくる

(敵を殺さずに無力化しておけば後で洗脳して戦力にできる)

幸い、俺はすでに一人の洗脳を成功させつつある・・・・・・・・・・・

ここで味方に引き入れるのはリスクが高いが……

「投降は許可しよう。須斎、こいつを独房に運んでおけ」

こういうときのために以前からしっかり独房にする場所は決めてある

「おい、城崎。良いのか?潜入担当を一人で敵とともにいさせて」

「蒼井の装備は非戦闘用。まだ敵か味方かわからない相手と居せるのは危険」

まあ、二人の言いたいこともわかるが

「残りの人員は一人でも欠けるとこの隔離を抜けられるだろう?」

そろそろこいつ等にも指導者としての覚悟を持ってもらわねばな

「『リスク』と『確実に失うもの』を天秤にかけるな。本当に重要なものが何なのかを見失うな」

それができなければこの戦いは負ける
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