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東京事編
第六話 本能
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え~っと、第三第三……
研究所って結構広いんだな
「この近くか」
移動も一苦労。ここで普段から仕事してる人は本当にすごいな
あれ?所長さんが部屋の前にいる
「あの、どうしたんですか?」
「ん?ああ、ちょっとね……」
考え事でもしてたのかな……
「さて、私もそろそろ戻らないとな」
そう言って所長さんは【使用者】という札のところに自分の名前らしきものが書かれたカードを挿して研究室に入っていった
「へ~、長崎千尋さんって言うんだ」
そういえば自己紹介ろくにしてなかったな
……した方がいいのかな、自己紹介
「あ、スマホ返してもらうの忘れてる」
何しにここに来たんだよって感じじゃん……
一応ノックして声をかけてみる
「すみません、今入って良いですか?」
「構わないよ」
じゃあお邪魔しま~す、っと
ん?結構整頓されてる
あんな目に隈があって髪がボサボサないかにも研究一筋な人の部屋ってぐちゃぐちゃなイメージがあったんだけど
(あ、でもよく考えたらここあの人の部屋じゃなかったか)
研究室だからそれなりに整えてるのかも知んないね
「そっちの機械には触らないでくれ。今データの整理中だから」
「解りました~。それと、僕のスマホを出来れば返して欲しいですね~」
やっと本題を言えた……
「ああ、すまなかったね。ほら」
そう言って、見覚えのあるスマートフォンを渡してくれた
それを受け取って所長が向き合っているパソコンの画面を覗いてみる
「今はなんの実験をしているんですか?」
「細胞を体内に入れた際の自己増殖速度の調整だな。あんまり速すぎるとがんと変わらないものになってしまう」
へぇ、よく分からないな
生物は基礎科目しか取ってなかったからかな?
でも、何だかそれ以外にも悩んでるような気がするけど
まあ、僕の入っていくような範囲じゃないか
そうだ!ここならあの新生物について調べられるんじゃないか?
「すみません、僕の目について調べてくれませんか?」
「……すまないが、ここでは治療は出来ないんだ。病院なら少し伝手があるから」
あ、そっか。今の言い方だと治療して欲しいみたいに聴こえるのか
「いや、この前目の中に装備みたいなものが入ったんで、治療というよりは調査とか解析って言った方がいいことなんですけど」
そう言ったとき、所長の反応が僕でも分かるくらい明らかに変わった
「そうか。なら、できるだけ早いうちに日程を組んでおくからこのカレンダーの青い日から都合が良いものを選んでくれ」
ええ……流石に仕事が速くない……
「っていうか、紙のカレンダー使ってるんですね」
家ではもう電子カレンダーしか使ってないからちょっとびっくりした
まあ、家にはいっつも僕一人しか居ないからカレンダーを紙で置いてもスマホに入れてもあんまり関係ないってのもあるけど
「最近、前まで使っていたカレンダーのアプリがサービスを終了したからね」
うわぁ……大変だなぁ……
えっと……このカレンダーを見てみると……
あれ?何時が開いてるんだっけ
「すみません……ちょっと予定がわからないんで一旦持ち帰ってから決めていいですかね?」
他の皆とも相談してから予定は決めた方が良いよね
「ああ、構わないさ。よくある【一旦持ち帰って】にならなければね」
お、一旦持ち帰ってその後持ってこないアレの話か
「大丈夫ですよ。僕は結構ストレートに言う方ですから」
確信が持てないときは言葉を濁すんじゃなくてそもそも言わないから
「そうか」
無言の時間が続く
あれ?僕なんか不味いこと言ったっけ?
「えっと……僕はそろそろ帰った方がいいですかね?」
「ああ、そうだな」
あ、邪魔だったんだ……じゃあもう帰ります
「なら、せっかくだし送っていこうか?」
「え?大丈夫なんですか?予定とか」
時間つぶしみたいなことは確かに言ってた気がするけど、さっきから忙しなく機会を操作する姿を見ていると、どうも暇そうには見えない
「操作しなければいけない部分はもうじき終わる。後は経過を待たなければならないからな」
へー、生物学の実験は時間がかかるってこういうことだったんだ
「で、どうする?早いうちに答えを聞いておきたいんだが……」
――――――――――――――――――――
いや~やっぱり乗り物を使うと楽だわ
単純な時間で言えば抜刀して走ったほうが早いんだろうけど、体感時間的にはこっちの方が断然早い
そして何より、疲れない
「っていうか、あんまり荒れてないんですね」
うちの学校は普段からは想像できないくらいには荒れてたのに
「何がだ?」
「いや、皆思ったより暴れてないんで……もうちょっと荒れてるものかと」
安全運転のためなのか、こちらに見ないまま表情を変えずに所長は口を開けた
「多分、まだ何が起こったかあまり理解出来ていないんだろう」
理解できない方が暴れるんじゃないの?と思いながらも話を聞く
「今の状況は色々とイレギュラー過ぎる。ほとんどの人は理解したところでパニックになって終わりだ。だから生物の本能として理解しようとしてないんだろ」
なるほど
「じゃあそんな本能が働いてないやつの事はどう思います?例えば、理解して上で冷静なやつとか」
「さぁ?ただ、生存本能が欠けてるってことは長生きは出来ないんじゃないか?個人的には興味があるからできるだけ長く生きてほしいんだがね」
今度は、少し笑いながら答えた
研究所って結構広いんだな
「この近くか」
移動も一苦労。ここで普段から仕事してる人は本当にすごいな
あれ?所長さんが部屋の前にいる
「あの、どうしたんですか?」
「ん?ああ、ちょっとね……」
考え事でもしてたのかな……
「さて、私もそろそろ戻らないとな」
そう言って所長さんは【使用者】という札のところに自分の名前らしきものが書かれたカードを挿して研究室に入っていった
「へ~、長崎千尋さんって言うんだ」
そういえば自己紹介ろくにしてなかったな
……した方がいいのかな、自己紹介
「あ、スマホ返してもらうの忘れてる」
何しにここに来たんだよって感じじゃん……
一応ノックして声をかけてみる
「すみません、今入って良いですか?」
「構わないよ」
じゃあお邪魔しま~す、っと
ん?結構整頓されてる
あんな目に隈があって髪がボサボサないかにも研究一筋な人の部屋ってぐちゃぐちゃなイメージがあったんだけど
(あ、でもよく考えたらここあの人の部屋じゃなかったか)
研究室だからそれなりに整えてるのかも知んないね
「そっちの機械には触らないでくれ。今データの整理中だから」
「解りました~。それと、僕のスマホを出来れば返して欲しいですね~」
やっと本題を言えた……
「ああ、すまなかったね。ほら」
そう言って、見覚えのあるスマートフォンを渡してくれた
それを受け取って所長が向き合っているパソコンの画面を覗いてみる
「今はなんの実験をしているんですか?」
「細胞を体内に入れた際の自己増殖速度の調整だな。あんまり速すぎるとがんと変わらないものになってしまう」
へぇ、よく分からないな
生物は基礎科目しか取ってなかったからかな?
でも、何だかそれ以外にも悩んでるような気がするけど
まあ、僕の入っていくような範囲じゃないか
そうだ!ここならあの新生物について調べられるんじゃないか?
「すみません、僕の目について調べてくれませんか?」
「……すまないが、ここでは治療は出来ないんだ。病院なら少し伝手があるから」
あ、そっか。今の言い方だと治療して欲しいみたいに聴こえるのか
「いや、この前目の中に装備みたいなものが入ったんで、治療というよりは調査とか解析って言った方がいいことなんですけど」
そう言ったとき、所長の反応が僕でも分かるくらい明らかに変わった
「そうか。なら、できるだけ早いうちに日程を組んでおくからこのカレンダーの青い日から都合が良いものを選んでくれ」
ええ……流石に仕事が速くない……
「っていうか、紙のカレンダー使ってるんですね」
家ではもう電子カレンダーしか使ってないからちょっとびっくりした
まあ、家にはいっつも僕一人しか居ないからカレンダーを紙で置いてもスマホに入れてもあんまり関係ないってのもあるけど
「最近、前まで使っていたカレンダーのアプリがサービスを終了したからね」
うわぁ……大変だなぁ……
えっと……このカレンダーを見てみると……
あれ?何時が開いてるんだっけ
「すみません……ちょっと予定がわからないんで一旦持ち帰ってから決めていいですかね?」
他の皆とも相談してから予定は決めた方が良いよね
「ああ、構わないさ。よくある【一旦持ち帰って】にならなければね」
お、一旦持ち帰ってその後持ってこないアレの話か
「大丈夫ですよ。僕は結構ストレートに言う方ですから」
確信が持てないときは言葉を濁すんじゃなくてそもそも言わないから
「そうか」
無言の時間が続く
あれ?僕なんか不味いこと言ったっけ?
「えっと……僕はそろそろ帰った方がいいですかね?」
「ああ、そうだな」
あ、邪魔だったんだ……じゃあもう帰ります
「なら、せっかくだし送っていこうか?」
「え?大丈夫なんですか?予定とか」
時間つぶしみたいなことは確かに言ってた気がするけど、さっきから忙しなく機会を操作する姿を見ていると、どうも暇そうには見えない
「操作しなければいけない部分はもうじき終わる。後は経過を待たなければならないからな」
へー、生物学の実験は時間がかかるってこういうことだったんだ
「で、どうする?早いうちに答えを聞いておきたいんだが……」
――――――――――――――――――――
いや~やっぱり乗り物を使うと楽だわ
単純な時間で言えば抜刀して走ったほうが早いんだろうけど、体感時間的にはこっちの方が断然早い
そして何より、疲れない
「っていうか、あんまり荒れてないんですね」
うちの学校は普段からは想像できないくらいには荒れてたのに
「何がだ?」
「いや、皆思ったより暴れてないんで……もうちょっと荒れてるものかと」
安全運転のためなのか、こちらに見ないまま表情を変えずに所長は口を開けた
「多分、まだ何が起こったかあまり理解出来ていないんだろう」
理解できない方が暴れるんじゃないの?と思いながらも話を聞く
「今の状況は色々とイレギュラー過ぎる。ほとんどの人は理解したところでパニックになって終わりだ。だから生物の本能として理解しようとしてないんだろ」
なるほど
「じゃあそんな本能が働いてないやつの事はどう思います?例えば、理解して上で冷静なやつとか」
「さぁ?ただ、生存本能が欠けてるってことは長生きは出来ないんじゃないか?個人的には興味があるからできるだけ長く生きてほしいんだがね」
今度は、少し笑いながら答えた
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