人類戦線

さむほーん

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東京事編

第十話 農業

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「え?僕が行くの~?」

話を持ちかけると伏原はこう答えた

いちいち話し方が気に障る奴だ

「ああ、お前から前に聞かされた装備の話が本当なら救助には向いているだろ」

「う~ん、まあ、出来ないことは無いと思うけど……」

こいつの場合、恐らくだが渋っているのはこの行動で得れる利権のうようなものを最大にするためだろう

つまり、どう転んでもこいつは救助には行くつもりだということだ

なら、大してこの言葉は重要視しなくていい

「そうか、行って来い」

「ええ!?ちょっとその言い方は流石にどうなの?傷つくわぁ~」

そう言いながら、伏原は校門に向かって歩き始めた

「さて、俺もそろそろ仕事に取り掛からないとな」

他人に指示するのも仕事の内だが、別にそれだけが仕事と言うわけではない

俺の装備を活かした上でやることもある

(ひとまずは校内の破損部分の確認をするか)

ちょうど一時間ほど前に校舎の完全支配が終わったところだったからいい機会だろう

「さて……と」

片腕にしかついていない手袋を壁につける

(処理開始)

……三階は特に壊れている箇所は無い。二階はところどころが入っているな

俺たちや2年の生徒会以外にも何か揉めていた連中が居たのか?

一階は……結構壊れてるな

二階は今少しだけ修理すれば済む問題だが……

一階は修理や建築専門の装備を持ったやつに任せた方が良いかもしれないな

まあ、今のうちに二階だけでも修理しておこう

確か、AL教室と3-4の教室だったか

――――――――――――――――――――

修理と言っても遠隔操作では大したことはできない

こうやって現地に向かわないと修理と呼べることが何もできないこともある

まあ、棒を使えばそこそこ遠くからでもものの状態が分かるが、長い棒を使って修理するのは難しいのと同じようなものだ

「これで南館は大体終わったか……」

南館は二年前に建て直したばかりで補修するべき場所も少なかったが、北館はどうなるか

朱子学の学問所だった時代もあるこの学校の校舎は、かなり破損している所も多い

北館なんて普段から見ていても何故倒壊しないのかいつも不思議に思うくらいだ

(この調子だと北館の一階二階は他のやつに任せたほうがいいかもな)

誰がどのような装備を持ってるかを調べる口実にもなる

何より、建築系の装備持ちはそれなりに居るがその能力を試す機会は今まであまり無かった

操作が不慣れで上手く修理できないところもあるだろうが、その程度の手間はかかっても問題無い

今後を考えれば使える人材は一人でも増やしたい

「……南館の一階を少しだけ修理して帰るか」

とりあえず少しの間は壊れない程度には修理しておこう

――――――――――――――――――――

城崎と別れてから中庭に向ったけど、凄いことになってるな

もうこれ庭じゃ無くて農場でしょ

中庭ってこんなに耕されてたっけ?

僕の記憶が正しければ、中庭は石庭だったと思うんだけど

まぁ、一回掘り起こした時は下に土っぽいものがあったんだけども

あれ?誰か作業してる

城崎一人じゃなかったんだ

「あ……あの……こんにちは」

やっぱり初対面の人と話すのは緊張する

小学校にいた頃はこんなんじゃなかったんだけどな……

「あ~ども~」

結構軽い感じで返された

「えっと……ここで何をやってるんでしょうか……」

変なことを聞いてしまった
そんなの農作業だってことくらい見れば分かる

「えっと~今は肥料の撒き方を調整してるんだよ~家庭菜園とは勝手が違って結構難しいんだ~」

あ、普通に答えてくれた

しっかし、マイペースな人だな
僕が言うのも何だとは思うけど

「家庭菜園なんてやってたんですね」

施設育ちだから僕も野菜くらいは育てたことはあるけど、ここまで本格的にしたことは無い

まあ、『あの』施設には相当本格的に家庭菜園をやってる人は居たには居たか

それを思い出してみると家庭菜園を超えて『農業』の領域に入った物って外からちょっと見るだけでも分かるものなんだな

「お~い、大丈夫~?」

「え?」

一人で考えていたら声をかけられた

「なんかさっきからず~っと止まってたからさ~」

あぁ、一人で考えていたのが変に見えたのか

「いや、大丈夫だよ」

基本的に一人で動いてたからその辺の基準がよく分からないんだよな……

「ところで、えっと……誰?」

やっと僕がこの人の名前を知らないことに気付いた

多分この学校の生徒ではあるんだろうけど

「あ~そうだね~自己紹介はしとこうか~」

そう言った後、くるりと一周回って彼女はこう答えた

「三年四組十三番、小松芳恵だよ~」

「え?三年生?」

へぇ~先輩だったんだ~

なんか失礼なこととか言って無かったよな……

「それで~君は~?」

あ、そっか
こっちも自己紹介しといた方が良いか

「一年三組九番、神柱賢明です」

「おっけ~。神やん、よろしく~」

おお、もうあだ名を付けられた
たまにいるすぐ人に名前をつける人か

「丁度いいし~肥料撒くの手伝ってよ~」

「はい、良いですけど……」

そう答えると、相手は嬉しそうに説明を始めた

「この『芳恵ちゃんJG-MAX』はじゃがいも専用で、硬めの土でも根っこが掘り進めるようにクエン酸の量を多めにしてるんだ!それでね、巻き方は……」

うん、今からでも断れたりしないだろうか
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