人類戦線

さむほーん

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東京事編

第五十六話 脅威

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よし、離脱離脱

戦えないのに敵地にずっといても特に意味がないしね

「あれ?そういえば須斎ってどこに行ったのかな?」

一回合流した気がするけど、その後の行方がわかっていない

ゆっくりと歩いていると、周りから変な音がした

「……ぅ……ぇあ……お」

……なんだコレ?

ホラー系はあんまり得意じゃないんだけど……

一応辺りを見回してみる

すると、想定外の存在がいた

生き物と言って良いのかよくわからないものが近くで震えている

「あの……どちら様でしょ

「うぇアぉお!」

日本語……通じてないのかな?

近くに行ってみたけど、これはもしかしたらあんまり近寄らないほうがいいタイプの人かもしれない

「じゃ……じゃあ、僕はこの辺りで帰らせてもらいますね……」

面倒な相手は無視するのが一番

三十六計逃げるに如かずとかいう兵法マスター孔子さんの考えをバカにしたような言葉を思い出しながらゆっくりと後ずさる

どうやら、相手はこちらに気付いていないようだ

と、思いたいけど、この謎生物に僕達人間のものと同じ思考回路が有るとも限らないのでこの予測は危険かもしれない

早めに抜刀を使って逃げ失せるのが良さそうだ

一応小石を蹴っ飛ばしてから……

(抜刀)

その後、小石の様子を見る

「……よし、ほぼ止まってるな」

さっきは変なことが起こったのか、加速がうまく働いていなかったけど、今回は大丈夫みたいだ

走って立ち去ろうとすると、後ろの化け物が動いた

振り返って見ると、そいつが立っていた

(あれ?こんなに素早く立つと体が持たないと思うんだけどな……人間じゃないだろうからその辺とかあんまり関係ないのかな?)

口元をヒクつかせながらそんなことを考える

やばい

そう思い、猛スピードで走り出した

すると、地面を滑るように相手も追いかけてくる

足……有るのかな?あれ

「ぅえお!イぁうぇオ!」

ホラゲーの実況者が叫ぶ理由は前から分からなかった

そして、今でも分からない

こんなに怖い状況で声なんて出るわけないでしょ

やっぱりあれは演技だったんだ

急いで逃げるも、相手との距離が広がらない

加速状態でこの速さってことは元に戻ったら本当に見えないレベルで動いてそうだ

安全なところに逃げるまでは解除は無しだな

あ、でもこいつをさっきの相手の所に連れて行く、っていうのもアリだな

見たところ僕が誰かを確認してから行動した感じでは無いし、無差別に攻撃しているように見えるから、連れて行けば戦力になりそうではある

そうと決まれば早速行動だ

急遽方向を転換して、城崎達のいる方へ走る

居た!あそこだ!

そうして、相手を僕と謎の生物で挟むような形になったタイミングで加速状態を解除した

すると、相手のスピードが急に上がら……無かった

(え?)

化け物は今までと変わらないスピードでこちらに向かって走ってくる

何でだ?

まさか加速状態が解除されたのを知ってスピードを下げた訳でもあるまいし……

もしかして、装備の効果を無効化・軽減したり出来るのかな?

まあ、それはそれで相手のボスをどうにかするのに使えそうだから助かるけど

頼むから相手のボスを倒してくれよ

もし出来なくても削るくらいはしてくれよ

「?!こいつ!」

相手はどうやら僕のことを追いかけてきた物を知っているようだ

なら、対処はこの人に任せるとしよう

「城崎!一旦離れよう!あれの近くに居ると不味い!」

「分かった!」

城崎を連れて少し離れる

落ち着いてから、城崎が僕に話を聞いてきた

「……それで、あいつは一体何なんだ?」

僕にそんなことを言われても分からない

「さあ?多分ギリギリ生物の枠に収まってるってことくらいしか知らない」

そもそも、僕も歩いていたら突然襲われたようなものだ

そんなこと知っているわけがないだろう

「そうか……まあ、構わない。一旦須斎と合流するぞ」

須斎……か

さっきから居場所が分からないと思ってたけど、どこにいたんだろうか

「ん?でも、須斎の装備って身を隠す系統じゃなかったっけ?」

確か隠れられるとかそういったものの筈だ

なら、僕たちが近寄ると場所がバレルからやめた方がいいんじゃないだろうか?

「いや、どうやら先程から上手く装備が使えないらしい。そうなった時、直接の戦闘能力が無いあいつを一人にするのはむしろ危険だ」

装備が使えない?

そんなことも有るんだ……

まあ、僕もあんまり使いすぎたら体が熱くなることはあるけど

須斎にも何か制限が有るのかな?

もしくは、体調が悪いとか

体調が装備に影響するかは分からないけど、装備が万全でも体調が悪ければ行動するのは避けるだろう

でも、城崎から聞いた情報ではは装備の調子が悪いって言うことになってた

ってことは、本当に装備に何か制限が有るのかも

そういうことなら、早いうちに救助に向かっておかないと

「おっけー。じゃあそっちに移動しようか」

城崎にそう答えて、僕も移動方向を決める

ところで、あれは本当に何なんだろうか?

――――――――――――――――――――

クソ!

あいつら……俺にとって最悪のタイミングで最悪の行動をしてきやがった!

こいつの制御方法は無いわけでも無いが……今それをやるのは難しい

「逃げられる、か?」

目の前の脅威に対し、俺はその結果を感じ取らざるを得なかった
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