人類戦線

さむほーん

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東京事編

第五十七話 援護

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「二人とも、こっちだ」

須斎がこちらに向かって手招きをしている

「あれ?こんなところに居たの?もうちょっと離れておいた方が良かったんじゃない?」

随分と主戦場に近いところに居たんだな

戦えないならもっと離れてると思ってた

いや、僕みたいに逃げてきた可能性も有るのか……

その場合は、何から逃げてきたんだろうか?

もしあの変なやつから逃げてきたんならちょっと話を聞きたい

具体的には、あいつの行動の特徴とかを

「それで、何でここにいるの?」

須斎は少し顔をしかめてから答える

あ、ちょっと言い方がきつかったかな?

「妙な敵に見つかった。その対処が厳しいと思ったから一旦その場を離れたんだが……」

ん?この言い方は……

「もしかして、あの変なやつ、須斎も見たの?」

「……お前もか?」

どうやら、僕たちが見たものは同じらしい

「それで、そいつはどういう感じの行動をしてたの?」

須斎も見ていたみたいだから、少し聞いてみよう

あの変なのは怖い

ちょっとでも情報があるなら知っておきたい

「お前の想像と同じだと思うぞ……まあ、一応言っておくと、おかしな叫び声を上げながらこちらに向かって走ってきた。その時に装備が一旦無効化された感覚が有ってな。それ以来上手く装備が使えない」

上手く装備が使えない?

どういうことだ……?

「少なくとも、僕の装備に不具合とかは出てないんだけど……」

その辺は個人差が有るのかな……?

「なるほど、もう少し調査をしたいところだが、今はそれよりも優先したいことがある」

城崎が会話に割り込んできた

「何?優先したいことって?」

もうここから逃げるくらいしかやることは無いような気がするんだけど

「簡単だ」

少し時間を開けてから、城崎は口を開いた

「あいつらを無力化、出来れば殺しておきたい」

……え?この状況で?

――――――――――――――――――――

はぁ……

こいつをどうにかするよりも敵を追いかけたほうが良いような気もするが……

まあ、侵入者に関しては今後いつでも対処できると言えばそうだしな

相手の身分も割れている

そうなると、今後の我々の行動に支障を来しそうなこのをどうにかしたほうが良い、というのが長官の判断なのだろう

「そういうことなら、我も援護する必要が有りそうだな」

作戦行動中はあの男に従うことになっているからな

ライフルを構えて、スコープを覗く

(それにしても、ウィンチェスターか……日本でもこういったものを調達出来るものなのだな……)

確かに、安定性にかけてはかなりのものだとは聞いているが……

一応我は自衛隊員なのだが、国を守るための武器を同盟国とは言え他国に頼っていて大丈夫なのだろうか……?

足元を見られることもある上、いざとなった時に情報の流出が危険だと思うんだが……

いや……アメリカならそんなことをせずとも日本を従えることは出来そうではあるか……

まあ、どちらにせよ、一隊員である我には大きく関係のあることでは無いな

国をどう守るかを考えるのは一旦落ち着いてからだ

向こうか……狙いをつけておこう

この場での我の役割は邪魔をしようとしてくる者たちの妨害である

そのため、今やるべきことは状況の把握だ

まずは、これだな

あらじめ仕掛けておいた銃を遠隔で起動させ、相手に向かって撃たせる

これで相手の動きを見ておきたいが……

「……これは、流石に予想外だな……」

銃に撃たせると、それを刀で弾いてきた

刀を持っているやつは強そうには見えないが、人間を辞めたタイプなのか?

なら、牽制射撃で相手の邪魔を防ぐことだけに集中したほうが良いな

では、そろそろ我自身も行動すべきか?

移動先を狙って銃を撃つ

どうやら、それは察知できていないようだ

「なるほど、自分への脅威は認識するが、他はその限りでは無い、と」

なら、あの少年以外の相手にはうまく攻撃できそうだな

もう一度狙いをつけて、今度は隣の少女を撃った

「む?当たったか」

どうやら、隣の少女は回避手段も防御手段も持っていなかったようだ

ならば、まずは数を減らす方向で考えるとしよう

その少女に狙いをつけて、頭に向かって銃を撃つ

……今回は躱されたか

まあ、頭への銃撃は少し体を捻れは回避できるものだからな

最初に撃った弾のこともあって、警戒していたのだろう

む?連絡が来たか

……なるほど、先に麻酔弾を撃て、と

しかし、あの化け物には薬物の類は一切効果がないことは確かめてあったはずなのだが……

冷静さが失われているのか?

と、なると……一体何があったというのだ?

彼はかなり冷静な人物だと記憶しており、取り乱すのはおろか、笑顔を崩すところも見たことがない

もちろん、そもそも付き合いが短いという問題もあるだろうが

それでも、彼の落ち着きっぷりは見事なものだった

一緒にいて気味が悪くなる程だった

その彼が冷静さを失うような事態になっている、となると……

あまり悠長にはしていられないかもしれないな……

とはいえ、効果のない行動をする気は無い

俺なりに最適だと思われる行動をしたいが……

銃を構え直し、相手の場所を探す

「……よし、そこだな」

俺が銃を向けた先は化け物の居るところでは無く、先程まで探している敵がいた場所だった
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