人類戦線

さむほーん

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怪奇編

第九話 テケ

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さてと……まずはこれだ

書類の1ページ目に書いてある「素手での遺伝子の操作」を行うこととしよう

久しぶりだから、ちょっと練習しとかないと

そう思ったから、僕は遺伝子のような小さなものを操作するための装備を手に取り付けた

「えっと……確かここをこうして……」

操作が複雑だから、覚えている方法でやってもあんまり上手くいかない

「あ、そっか。加速しないと駄目なのか」

(抜刀)

すると、装備の動きがゆっくりになったから、随分と操作しやすくなった

よし、これで何とかなりそうだ

っていうか、そもそも遺伝子操作を腕でさせるのって無茶苦茶じゃない?

僕の腕は本来マイクロ単位の操作には対応してないんだけど

まあ、頼まれたからやるのはやる

「……よし、大分使いやすくなってきたな」

そろそろ本番に行っても良いかもしれない

じゃあ、始めよう

まずはこの部分を編集する

ここは成長速度に大きく関わるところだ

普通なら、ここを変更して成長を早めたところで栄養が足りなくなって死ぬだけだ

けど、どうやら土壌を改造できるから大丈夫らしい

僕も、そういう便利な装備が欲しかったな……

まあ、今更気にしても仕方無い

幸い、この装備は使えてるんだから

しかし、これって誰の装備なんだろう……?

こんど話すときに聞いてみようかな?

「……よし、まずは何とかなった」

ここで一旦経過を観察する、っていう手筈になっている

様子を見ないといけないから、加速状態は解除しないと

あ、でも、その前に今のうちにできることをやっておこう

他にも操作しないと行けない部分があるんだよね

「確か……ここと、ここ、だっけな?」

よし、これで完了

(解除)

「そういえば、自分以外だけを加速させる、って出来るのかな?」

失敗したらさっきの作業が台無しになるから今はやらないけど

今度時間があったら試してみよう

作業が一段落ついたから芳枝ちゃんに電話をしてみる

「もしもし~」

「何~?忙しいから要件は手短にね~」

ヤバい

要件がない

ちゃんと出てくれたから、それっぽいことを言わないと

「いや~そういえば弘岡はどこにいるのかな~って」

ちょうど気になってたことを聞いてみる

共同の任務を終えてから、任務をする前について僕は弘岡の動向を知らないのだ

丁度いいし、ここで知りたい

「ああ!弘ちゃんね。あの子なら、最近は道場ばっかり行ってるよ」

「道場?」

弘岡って道場とか行ってたんだ

でも、刀を使えるなら不思議でも無いか

「うん。それで、稽古が忙しくてこっちに来れないんだって」

稽古が忙しくて……?

僕の感覚では自分の稽古よりも任務とかを優先するものなんだけど……

その辺は人によるのかな?

「……っていうか、それなら、今ここにいる戦力って少なくない?本来は弘岡が防衛でしょ?万が一誰か攻めてきたらどうするの?」

戦力、足りるのかな?

「やだな~。だから神やんを呼んだんじゃん!」

「ん?」

あれ?……僕、戦力として数えられてたの?

やだなぁ……戦いたくないんだけど……

「ちょっと……防衛の仕事があるとは聞いてないんだけど」

そういうことが有るなら先に言っといてくれ……

「え?書類にちゃんと書いてたと思うんだけど……」

書類?

ああ……これ、あれだ

利用規約を滅茶苦茶長くして利用者の読む気を削り、最後の方に大事なことを書いておくタイプのやつだ

これからは、ちゃんと読んでから考えないとな

「まあ、とは言っても、そうそう襲撃なんて無いだろうから……」

いやいや……そんなことを言ってると来ると思うんだけど……

フラグって言うやつ?

すると、サイレンが鳴り出した

「へぇ……凄いな。本当にこういうことって有るんだ」

フラグって鼠と地震の関係みたいなのじゃ無かったんだ

「敵襲?……いや、防衛体制はかなり厳しくしておいたはず……」

芳枝ちゃんは混乱しているみたいだけど、今はそんなことを気にしている場合ではない

「じゃあ、防衛に参加するけど、そんなに期待しないでね。僕、防衛とか自信無いし」

「だいじょーぶ。参加してくれれば多少は状況がマシになるだろうし」

マシ?

何か状況がわかっていたりするのかな?

「このサイレンがなるのは緊急事態になったときだけなんだけど……」

緊急事態?

まあ、そんなことを言えば、そもそも施設内に部外者が入り込んでる時点で緊急事態ではあるんだけど……

その中でも特に重大な事態、ってことかな?

「じゃあ、神やんは三番の出入り口に向かってくれないかな?そこから一番近いでしょ?」

まあ、別に良いか

この施設は結構重要だし、今は僕も協力したほうが良さそうだ

「オッケー。三番ね」

そして、通信を切った

こっちか

しかし……ちゃんと増援みたいなのは出してくれるんだろうか……?

僕一人で守るのは嫌だぞ……

「よし、ここで待つとしよう」

防衛なのにわざわざ自分から出向くなんてことはしなくてもいい

今はゆっくりと待つのがベストだ

「あれ?……もしかして今の言葉も……」

壁が壊された

その先から、何かどことなく不穏な空気を醸し出す相手が出てきた

「足……無い……のかな?」

その相手は上半身だけで歩いてきた

まあ、手だけで地面を這うことを歩くと言うかは判断しかねるけど

それはそうと

「さて」

どうしようか
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