人類戦線

さむほーん

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人類戦線編

第十二話 違和感

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「さて、それは置いておいて……そろそろ準備をするか」

俺は執務室から出て会議室に向かう

今日は調査部隊の人間のうち、残った一名と補充した数名を呼び出してある

会議というよりは単なる報告だが、会議室でやった方が都合が良いこともあるからな

機密性の低いものは今は会議室で報告を受け付けている

会議室の扉を開けると、そこには既に今の諜報部隊のリーダーである黒部くろべ加恋かれんがいた

こいつは元々は俺の部下でもないし、俺が全体の指揮をとることに反対していた者だ

余り表立っては言っていなかったようだがな

「報告内容を簡潔に伝えろ」

「了解。まずは須斎との連絡だけど、深層ネットダークウェブ経由の物も衛星通信もどれも通じなかった。体に埋め込んだGPSも反応無し」

GPSが効かないとなると、電波を遮断した地下室のような場所に居ることになるか……

いや、この前の襲撃の際に神柱から聞いた話と合わせて考えると……

「特殊な場所……それも、直接行く手段のない場所か?」

だとすると、そこへの通行手段を持った者が相手になるということか

かなり厄介だな……

「ならば、今からやることは一つか」

俺は今後の予定を決めた

「出発だ。俺は一人で行ってくる。後の事は用意してある代役に頼んだ」

「了解。今後の報告についてはどうする?」

今後の報告か……

「取り敢えず、俺が帰るまでは独自で行動していろ。一週間以内には連絡すると思うが……十日、十日経ってまだ連絡が来なければそこからの指示は新たな指導者に仰げ」

「了解した」

それで話を終えて、俺は準備のために自宅に戻った

――――――――――――――――――――――――

「これで準備はできたか……」

須斎との連絡はあいつがエルサレムに着いてから途絶えた

単純に考えれば、そこに手掛かりが有ることになるが……

少なくとも、空港に着いた時点では須斎も弘岡も居たしな

(……?)

待て、何か違和感が有る

何処だ?何処がおかしい?

違和感の正体を探るため、俺は先程の思考を辿る

(単純に考えれば、須斎との連絡が途絶えた原因への手掛かりはエルサレムに有ることになる)

ここまでは特に問題は無い

(少なくとも、空港に着いた時点では須斎も弘岡も居たし……)

ここだ

弘岡が居たというところだ

前回の侵攻の際に弘岡とは連絡が取れなくなって居たはずだ

いつの間にあいつは帰ってきていた?

いや、それ以前に何故あの場で誰も弘岡が居ることに違和感を覚えなかった?

……ここに何か秘密が有りそうだな

この点を中心に考えていくのが良さそうだな

その為にも俺が今確認できている内、最も早い段階で何か細工がされていたと考えられる時点について調べるべきだろう

つまり、俺たちが空港で集まった時だ

「ならば……」

まずは須斎の居住地から空港までの道筋を辿るとするか

そう決めて俺は部屋を出た

そこには神柱俊樹、つまり、俺と神柱賢明の養父が居た

「よ!何処行くんだ?」

「少し用事だ。暫く帰らないと思う」

そう言ってすぐにその場を離れようとする

「まあ待てって。ちょっと位話聞いて行けよ」

「急いでるんだ!そんな時間は無い!」

この作戦は他の国も絡む重要な物だ

そんなものに不安要素が有ってはならない

「いや、多分だがお前が気になっていること絡みだぞ」

……何?

「お前の考えている者とはおそらく違うと思うぞ。前に話した時と今の俺では目的が少し違うからな」

「通常の交通手段が通じない場所のことだぞ」

そう言われて、俺は立ち止まる

「……詳しく聞かせろ」

何故こいつが俺の知りたいものが何なのかを知っているのかについては今は放っておこう

「まあ、簡単なことだ。そこへの行き方を俺は知ってる、ってこったな」

行き方か

どうやって知ったのか等気になるところは有るが、聞く価値は有りそうだな

「まず、そもそもお前は俺が話しているのがどんな場所についてなのかを知ってるか?」

「今の所は、知らないな」

そもそも、俺はその場所について神柱から少し聞いたくらいの情報しか持っていない

それによると異常に広い場所になっていて、奥に壁が有ったらしいが……

「まず、その場所に入る為にはとある人間の持っている装備、もしくは怪異を利用する必要がある」

「異空間と考えた方が良い、ということか?」

「そういうこった」

院長が歩いていくので、俺もそれに続く

「前に鐘の教会とやり合った時、敵側にテレポートみたいなことが出来るやつが居ただろ?そいつを利用しろ」

「出来るものなら既にしている」

その装備の使い手については気になっていたが、全く手掛かりが見つからなかったから一旦後回しにした

神柱がそいつの作り出したと見られるに入った結果その場所にたどり着いたから、それが原因であるということはおおよそ予想ができている

「ああ、勿論そうだ。行方が全く分からない以上、そいつを利用して須斎の居場所に辿り着くことは出来ねぇだろうな。だから、もう一つの手段を使う」

怪異の方か?しかし、何の怪異か分かっていない以上、それは不可能だ

「縦にだけ壁がある空間。相手側の会話の内容と行っていた儀式の内容。さらに通常の手段で入れないとなると、候補はかなり絞られてくる」

そして、院長はこう言葉を続けた

「お前、SCPって知ってるか?」
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