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人類戦線編
第四十二話 経緯
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全部糸を引いていた……
「詳しく説明してもらえますかね?」
僕は少し大きな声でそう聞いた
「大丈夫大丈夫、ちゃんと今から話すから」
そう言って、大きく伸びをする
「僕はさ、現状に文句を言う割に行動をしない奴ってダメだと思うんだよ」
と、結構多くの人に刺さりそうな言葉を言う
ちなみに僕は文句を言わないタイプの人間だからこの言葉による精神的なダメージは殆ど無い
「僕はそんな人間には成りたく無かった。だから、現状を変える為に行動を始めたんだ」
「でも、当時の僕はただの一人の社会人。商社に所属して色んな国を飛び回っている人間だったから、大抵の人よりは社会的立場は上だったけど、その程度で社会に大きな変革をもたらせることなんて到底不可能だ」
「もちろん、出世することで社会的な地位を上げて社会を変える、っていう方法もあった」
「でもね、それじゃあ駄目なんだよ」
「僕が超巨大企業の社長になっても、財閥の当主になっても、大国の大統領になっても、民主主義や自由経済という既存のシステムを利用しなければ大きなことは成し遂げられない」
「このことに妙な嫌悪感を抱いてね。そのタイミングでもう一度自分自身を見つめ直してみたんだ」
「そうしたら、気付いたんだ」
「僕が退屈に思っていた現状というのは僕の周りの環境や、自分の地位、財産なんかじゃない」
「ましてや、命を賭けてまで守りたい人が居ないことに不満を抱いていたんでもない」
「僕は多分、この社会システムそのものが気に食わなかったんだ」
「どうして気に入らなかったのかは正直分からない。声の大きさで勝負する『多数決』が嫌いだったのかもしれないし、ただ単純に社会を回す人間と社会に回される人間しか存在できないこと嫌だったのかもしれない」
「詳しい理由は分からないけど、嫌いなことだけは確かだったんだ」
「だから僕は新しい社会システムを作ろうと思った」
「とはいえ、社会システムを作るのはそんなに簡単なことじゃない」
「まずは基盤が要る」
「『基盤』とは即ち、動力だ。ヨーロッパの封建社会では奴隷や農民を扱き使うことによってその動力を捻出していた。近代社会ではその農民の役目が労働者に変わった」
「そして、労働者の人権が意識されるようになった現代社会ではその奴隷に当たる役目は様々なロボットが担うことになる」
「こんな風に、古今東西ありとあらゆる社会にはその社会特有の動力源があった」
「動力と社会というのは切っても切り離せない関係にあるんだよ」
「そしてまた、新たな社会が生まれる時には決まって新たな動力源が発見されていた」
「僕が何か新しい社会を作りたいんなら、そういった新しい動力源が必要になる」
「けど、当時の僕にはそんなものを作り出したり発見したりする能力は無かった」
「だから何か良い方法は無いかな~と仕事の合間に色んな文献を漁ったり様々な技術について学んだりしたんだ」
「そんな風に調べているうちに、僕の夢を叶える為の物がこの世にはあると知ったんだ」
そこまで喋ってから、手元においてあるグラスを持ち上げる
「これさ。名前は……聖杯、とでも呼べば良いかな?まあ、名前は別に何でも良いんだよ。問題はこれが一体どういうものなのか、だ」
「僕はこの聖杯の話を最初に聞いたときは正直耳を疑ったよ。だって、願いを叶えるとかいう馬鹿げた性能だもの」
その話を聞いて、僕は一瞬思考が止まる
(いやいや……そんな無茶苦茶な物が……)
「もちろん、ただ願いを叶えるだけみたいなのじゃあ無い。流石にそんなものがこの世に存在するわけ無いからね」
「僕はとある遺跡でこれが見つかったと聞いて、僕はすぐさまその場に向かったよ。願いを叶えるというものが仮に存在するのなら、僕の夢である『新たな社会システムを作る』というものが現実味を帯びてくるからね」
「そして実際にその遺跡に着くと、本当に聖杯は有ったんだ。僕は誰か……例えば、巨大な財閥の関係者に知られる前に僕の溜め込んで来た財産のざっと七割から八割ほどを使ってこの聖杯を買い取った。そのせいでマイホームの購入は見送ることになったけどね」
まあ、マイホームを買ったしても当時は世界中を飛び回っていたから結局使わないような気もするけど、と付け足す
「まあ、それはともかく僕はこの聖杯を手に入れることが出来たんだ。効能に関してはそんなに疑って無かったんだよ。買い取る前に確かめたからね。ただ、それでも予想外の事態というのはやはり発生するものでね。聖杯を使っていく内にあることに気が付いたんだよ」
「この聖杯は願いを叶える……というよりは、願いを吸い取っていると言った方が近いんだ」
「周囲の人間の願いを無制限に叶えるんだよ」
「この性質のせいで色んな副産物が出来ちゃってさ……僕もそれに対処するのに結構苦労したんだよ?」
「まあ、その辺りの問題とか僕が具体的にどんな願いを叶えたのかとかは後々話すとして……何かこの時点で質問とか無いかな?」
永遠に続くのでは無いかという喋りを一旦止めて、ライアンさんはそう聞いた
「そうだな」
城崎が何か答えようとする
その時、相手の足元の地面がめくれ上がってライアンさんは潰された
「詳しく説明してもらえますかね?」
僕は少し大きな声でそう聞いた
「大丈夫大丈夫、ちゃんと今から話すから」
そう言って、大きく伸びをする
「僕はさ、現状に文句を言う割に行動をしない奴ってダメだと思うんだよ」
と、結構多くの人に刺さりそうな言葉を言う
ちなみに僕は文句を言わないタイプの人間だからこの言葉による精神的なダメージは殆ど無い
「僕はそんな人間には成りたく無かった。だから、現状を変える為に行動を始めたんだ」
「でも、当時の僕はただの一人の社会人。商社に所属して色んな国を飛び回っている人間だったから、大抵の人よりは社会的立場は上だったけど、その程度で社会に大きな変革をもたらせることなんて到底不可能だ」
「もちろん、出世することで社会的な地位を上げて社会を変える、っていう方法もあった」
「でもね、それじゃあ駄目なんだよ」
「僕が超巨大企業の社長になっても、財閥の当主になっても、大国の大統領になっても、民主主義や自由経済という既存のシステムを利用しなければ大きなことは成し遂げられない」
「このことに妙な嫌悪感を抱いてね。そのタイミングでもう一度自分自身を見つめ直してみたんだ」
「そうしたら、気付いたんだ」
「僕が退屈に思っていた現状というのは僕の周りの環境や、自分の地位、財産なんかじゃない」
「ましてや、命を賭けてまで守りたい人が居ないことに不満を抱いていたんでもない」
「僕は多分、この社会システムそのものが気に食わなかったんだ」
「どうして気に入らなかったのかは正直分からない。声の大きさで勝負する『多数決』が嫌いだったのかもしれないし、ただ単純に社会を回す人間と社会に回される人間しか存在できないこと嫌だったのかもしれない」
「詳しい理由は分からないけど、嫌いなことだけは確かだったんだ」
「だから僕は新しい社会システムを作ろうと思った」
「とはいえ、社会システムを作るのはそんなに簡単なことじゃない」
「まずは基盤が要る」
「『基盤』とは即ち、動力だ。ヨーロッパの封建社会では奴隷や農民を扱き使うことによってその動力を捻出していた。近代社会ではその農民の役目が労働者に変わった」
「そして、労働者の人権が意識されるようになった現代社会ではその奴隷に当たる役目は様々なロボットが担うことになる」
「こんな風に、古今東西ありとあらゆる社会にはその社会特有の動力源があった」
「動力と社会というのは切っても切り離せない関係にあるんだよ」
「そしてまた、新たな社会が生まれる時には決まって新たな動力源が発見されていた」
「僕が何か新しい社会を作りたいんなら、そういった新しい動力源が必要になる」
「けど、当時の僕にはそんなものを作り出したり発見したりする能力は無かった」
「だから何か良い方法は無いかな~と仕事の合間に色んな文献を漁ったり様々な技術について学んだりしたんだ」
「そんな風に調べているうちに、僕の夢を叶える為の物がこの世にはあると知ったんだ」
そこまで喋ってから、手元においてあるグラスを持ち上げる
「これさ。名前は……聖杯、とでも呼べば良いかな?まあ、名前は別に何でも良いんだよ。問題はこれが一体どういうものなのか、だ」
「僕はこの聖杯の話を最初に聞いたときは正直耳を疑ったよ。だって、願いを叶えるとかいう馬鹿げた性能だもの」
その話を聞いて、僕は一瞬思考が止まる
(いやいや……そんな無茶苦茶な物が……)
「もちろん、ただ願いを叶えるだけみたいなのじゃあ無い。流石にそんなものがこの世に存在するわけ無いからね」
「僕はとある遺跡でこれが見つかったと聞いて、僕はすぐさまその場に向かったよ。願いを叶えるというものが仮に存在するのなら、僕の夢である『新たな社会システムを作る』というものが現実味を帯びてくるからね」
「そして実際にその遺跡に着くと、本当に聖杯は有ったんだ。僕は誰か……例えば、巨大な財閥の関係者に知られる前に僕の溜め込んで来た財産のざっと七割から八割ほどを使ってこの聖杯を買い取った。そのせいでマイホームの購入は見送ることになったけどね」
まあ、マイホームを買ったしても当時は世界中を飛び回っていたから結局使わないような気もするけど、と付け足す
「まあ、それはともかく僕はこの聖杯を手に入れることが出来たんだ。効能に関してはそんなに疑って無かったんだよ。買い取る前に確かめたからね。ただ、それでも予想外の事態というのはやはり発生するものでね。聖杯を使っていく内にあることに気が付いたんだよ」
「この聖杯は願いを叶える……というよりは、願いを吸い取っていると言った方が近いんだ」
「周囲の人間の願いを無制限に叶えるんだよ」
「この性質のせいで色んな副産物が出来ちゃってさ……僕もそれに対処するのに結構苦労したんだよ?」
「まあ、その辺りの問題とか僕が具体的にどんな願いを叶えたのかとかは後々話すとして……何かこの時点で質問とか無いかな?」
永遠に続くのでは無いかという喋りを一旦止めて、ライアンさんはそう聞いた
「そうだな」
城崎が何か答えようとする
その時、相手の足元の地面がめくれ上がってライアンさんは潰された
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