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人類戦線編
第七十話 試合終了
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城崎の頭にライアンのスペアの腕が突き刺さる
寸前で僕はその腕を切り落とし、弾いた
「よし!間に合った!」
ラッキーなことに、僕が加速状態に入る方が、城崎の頭に腕が突き刺さるよりも早かった
そのままライアンに切りかかろうとするが、そこで僕の体がグラリと揺れる
同時に、加速状態が解除された
(まさか、嘘でしょ?!)
このタイミングで僕の肉体的な限界が来たってこと!?
最悪じゃん!!
(クソ!何か方法は……)
僕は地面に倒れて朦朧とする意識の中、打開策を考える
(……駄目だ。思いつかない。もしかしたらもう駄目かもしれないな)
半ば諦めながら、隣で倒れている城崎の方を見る
城崎の口角は少し上がっていた
「?」
僕がその意味を考えようとした時
ライアンの全身が突然壊れた
「……え?」
僕は状況について行けず、そんな声を発する
ボケっとしながら見ている間に、ライアンの体はもう首から上しか残っていないような状況になった
「何とか間に合ったか。神柱。感謝するぞ」
城崎はゆっくりと立ち上がりながらそう言った
まださっき倒れていたことによるダメージが回復しきっていないのか、少しフラついている
「え?……城崎、これの原因が何か、知ってるの?」
僕は城崎にそう聞く
「ああ。だが、細かいことを話すのは後だ。研究所内では最大戦力であろうこのクローンを潰したとはいえ、ここはまだ敵の敷地内だ。何が起こるか分からん。一旦脱出するぞ」
そう言って、少しフラフラしながら外に向かって歩いていく
いや、さっき城崎が天井を壊したから僕達は既に外に居ると言えばそうなんだけど……
「って、そんな場合じゃない!それよりも早く外に出ないと!城崎!ちゃんと外に出たら説明してくれるんだよね?!」
僕はそう言いながら城崎に着いていった
――――――――――――――――――――――――――
「で、どういう原理なわけ?」
僕達は外に出てから少し歩いて、先程エンジニアの人達が解析に使っていた車に乗った
今はただ帰るだけなので、さっきみたいに何かの解析を行う訳では無い
つまり、車内のスペースを広く使える
だから、僕達が乗っても大丈夫らしい
正直なことを言うと、赤の他人と一緒の車に乗るのに不安が無い訳では無いけど、今はそんなことよりも気になることがある
「あいつ―ライアンのクローンだろうが―の体が崩れた理由は、俺の支配とライアン本体が事前に付与しておいたと見られる命令が相反していたからだ」
ん?
「一旦今はライアンがどうやって事前にクローンに命令をしていたのかに関する質問は省くけど……何で命令が反してたら体が崩壊するの?」
僕はそのことを聞く
「まあ、簡単な話だ。そもそもあのライアンのスペアは単体で動くことは出来ない。これはこいつらが解析したデータに書かれていたことだったからほぼ間違い無い」
城崎は車の中にいる人達を指差す
「アレは再生医療や細胞を分化前に戻す技術を利用したもの……簡単に言えばクローンなんだけど、調べてみたところ、脳のチューニングが上手く行ってなかったみたいなんだ」
「チューニング?」
分からない単語が出てきたので聞き返す
すると、何かの機械を弄っている人(以下エンさん―エンジニアから取った―と呼称)が答えてくれる
「えっとね、そもそも人間の脳は細胞を作って組み合わせれば大人みたいに動くわけじゃあ無いんだ。実際に人間と呼べる動きができるようにするには脳の神経細胞同士を電気的に繋ぎ合わせる必要が有る。けど、今のところどう繋ぎ合わせれば良いのかは分かってないんだよね」
なるほど
「レンガ用の石を集めても接着剤が無ければ石壁は作れない、みたいな感じですかね?」
「いや、どっちかというと適当にトランジスタを並べてもコンピューターにはならない、っていう方が近いかな?」
僕の例えをそう正してからエンさんは話を続ける
「まあそんな訳だから、あの肉人形は本来なら動けない訳。そもそもどうすれば歩けるのかを知らない新生児みたいなものだからね」
けど、と続ける
「僕たちが手に入れたデータにはそのことを織り込み済みで『特秘処置』と称される何らかの処置を行ったと書いてあった。もしかしたら、例のすごい道具で無理矢理動かしてたのかもね」
ああ、なるほど
ここで合点がいった
「つまり、正規の手段とは違う方法で肉体を動かしていたから、城崎が無理やり割り込んだらそこにバグが出た。だから体が耐えられずに崩れた、ってことですね」
「そう!理解が速くて助かったよ!」
久々に『理解が速い』と褒められた気がする
小学生の頃以来だろうか
「まあ、そんな訳だ。これをあの場所で話すのは危険だった。納得できたか?」
「うん。ありがとね」
ここで、城崎のスマートフォンが鳴る
城崎はその画面を確認して、少し笑った
「見ろ。神柱」
城崎が僕に画面を見せてくる
そこには、指一本動かしていない巨人を撮ったと見られる動画が映っていた
「……これ、弘岡がやったの?」
「ああ、そのようだな」
満足気に城崎はスマホを仕舞った
僕達がライアンのスペアを潰し、あの巨人も動きを止めた
このまま一週間待つことだって出来るだろう
ってことは……
「城崎、これって……」
「そうだ。事実上、俺達の勝利だ」
寸前で僕はその腕を切り落とし、弾いた
「よし!間に合った!」
ラッキーなことに、僕が加速状態に入る方が、城崎の頭に腕が突き刺さるよりも早かった
そのままライアンに切りかかろうとするが、そこで僕の体がグラリと揺れる
同時に、加速状態が解除された
(まさか、嘘でしょ?!)
このタイミングで僕の肉体的な限界が来たってこと!?
最悪じゃん!!
(クソ!何か方法は……)
僕は地面に倒れて朦朧とする意識の中、打開策を考える
(……駄目だ。思いつかない。もしかしたらもう駄目かもしれないな)
半ば諦めながら、隣で倒れている城崎の方を見る
城崎の口角は少し上がっていた
「?」
僕がその意味を考えようとした時
ライアンの全身が突然壊れた
「……え?」
僕は状況について行けず、そんな声を発する
ボケっとしながら見ている間に、ライアンの体はもう首から上しか残っていないような状況になった
「何とか間に合ったか。神柱。感謝するぞ」
城崎はゆっくりと立ち上がりながらそう言った
まださっき倒れていたことによるダメージが回復しきっていないのか、少しフラついている
「え?……城崎、これの原因が何か、知ってるの?」
僕は城崎にそう聞く
「ああ。だが、細かいことを話すのは後だ。研究所内では最大戦力であろうこのクローンを潰したとはいえ、ここはまだ敵の敷地内だ。何が起こるか分からん。一旦脱出するぞ」
そう言って、少しフラフラしながら外に向かって歩いていく
いや、さっき城崎が天井を壊したから僕達は既に外に居ると言えばそうなんだけど……
「って、そんな場合じゃない!それよりも早く外に出ないと!城崎!ちゃんと外に出たら説明してくれるんだよね?!」
僕はそう言いながら城崎に着いていった
――――――――――――――――――――――――――
「で、どういう原理なわけ?」
僕達は外に出てから少し歩いて、先程エンジニアの人達が解析に使っていた車に乗った
今はただ帰るだけなので、さっきみたいに何かの解析を行う訳では無い
つまり、車内のスペースを広く使える
だから、僕達が乗っても大丈夫らしい
正直なことを言うと、赤の他人と一緒の車に乗るのに不安が無い訳では無いけど、今はそんなことよりも気になることがある
「あいつ―ライアンのクローンだろうが―の体が崩れた理由は、俺の支配とライアン本体が事前に付与しておいたと見られる命令が相反していたからだ」
ん?
「一旦今はライアンがどうやって事前にクローンに命令をしていたのかに関する質問は省くけど……何で命令が反してたら体が崩壊するの?」
僕はそのことを聞く
「まあ、簡単な話だ。そもそもあのライアンのスペアは単体で動くことは出来ない。これはこいつらが解析したデータに書かれていたことだったからほぼ間違い無い」
城崎は車の中にいる人達を指差す
「アレは再生医療や細胞を分化前に戻す技術を利用したもの……簡単に言えばクローンなんだけど、調べてみたところ、脳のチューニングが上手く行ってなかったみたいなんだ」
「チューニング?」
分からない単語が出てきたので聞き返す
すると、何かの機械を弄っている人(以下エンさん―エンジニアから取った―と呼称)が答えてくれる
「えっとね、そもそも人間の脳は細胞を作って組み合わせれば大人みたいに動くわけじゃあ無いんだ。実際に人間と呼べる動きができるようにするには脳の神経細胞同士を電気的に繋ぎ合わせる必要が有る。けど、今のところどう繋ぎ合わせれば良いのかは分かってないんだよね」
なるほど
「レンガ用の石を集めても接着剤が無ければ石壁は作れない、みたいな感じですかね?」
「いや、どっちかというと適当にトランジスタを並べてもコンピューターにはならない、っていう方が近いかな?」
僕の例えをそう正してからエンさんは話を続ける
「まあそんな訳だから、あの肉人形は本来なら動けない訳。そもそもどうすれば歩けるのかを知らない新生児みたいなものだからね」
けど、と続ける
「僕たちが手に入れたデータにはそのことを織り込み済みで『特秘処置』と称される何らかの処置を行ったと書いてあった。もしかしたら、例のすごい道具で無理矢理動かしてたのかもね」
ああ、なるほど
ここで合点がいった
「つまり、正規の手段とは違う方法で肉体を動かしていたから、城崎が無理やり割り込んだらそこにバグが出た。だから体が耐えられずに崩れた、ってことですね」
「そう!理解が速くて助かったよ!」
久々に『理解が速い』と褒められた気がする
小学生の頃以来だろうか
「まあ、そんな訳だ。これをあの場所で話すのは危険だった。納得できたか?」
「うん。ありがとね」
ここで、城崎のスマートフォンが鳴る
城崎はその画面を確認して、少し笑った
「見ろ。神柱」
城崎が僕に画面を見せてくる
そこには、指一本動かしていない巨人を撮ったと見られる動画が映っていた
「……これ、弘岡がやったの?」
「ああ、そのようだな」
満足気に城崎はスマホを仕舞った
僕達がライアンのスペアを潰し、あの巨人も動きを止めた
このまま一週間待つことだって出来るだろう
ってことは……
「城崎、これって……」
「そうだ。事実上、俺達の勝利だ」
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