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アンリが疲れ果てて眠りについた後、帰宅したトパゾライト公爵家の面々と使用人はサロンに集まっていた。
「さて、今日アンリにワインを掛けたあのバカ共は婚約破棄でいいか?」
トパゾライト公爵が聞くと、ライドとカイルは頷いた。
「最近プレゼントの要求も酷くなってきていたから相談しようかと思っていたんだ。最初は素直で可愛いお嬢様だったんだけどな…まるで自分が偉くなったみたいに振る舞うようなった!アイツが偉い訳でもない。勿論俺が偉い訳でもないけどな!それにしても腹が立つ!!アンリに何様って聞いていたんだよ!?お前の方こそ何様なんだよ!!」
カイルの発言に皆そうだそうだと騒ぎ始める。
「カイル様とライド様はおモテになられますから…そういう意味でもあのクズ共は選ばれたと思って調子に乗ったのでしょうね…許すまじ!!」
メイド長は顔を赤くして怒っていた。
そんな彼女の周りにいるメイド達も…。
「そうです!アンリ様身体が冷えておられました!お可哀想に…震えていらしたんですよ?」
「なんだと!?アンリは無事か!?」
「はい。入浴でしっかり身体を温めていただき、その後お休みになられました。特に体調不良等はないようです。」
「よし。もし何かあればスグに医師を呼ぶように!あんな事があったんだ…傷ついているかもしれない。心のケアも頼む。」
「はい!勿論そうさせていただきます!」
公爵家の面々と使用人達は頷きあっていたが、アンリは傷ついてもいないしましてやワイン一つで風邪を引いたりする様な身体の持ち主ではない。
アンリが震えていたのは、ドレスや宝飾類がワインで濡れてしまった事が原因であった。
高いものを汚してしまったという事に対して恐怖で震えていただけなのだ。
決してワインをかけられたから等ではない。
傷ついたからでもない。
ここにアンリが居ないため誰も否定せずに話はより過激な方向へ加速していく。
「あの女達には、今回のアンリちゃんのドレス代と宝飾品の賠償、そしてアンリちゃんへの慰謝料を払ってもらいましょう。勿論婚約破棄になるのだから、そちらも別途で慰謝料頂くわ。あ、今まで勝手にうちのツケで買っていた宝飾品やドレスの返済もね!」
「それは勿論だ!今すぐに纏めて上げて明日の早朝に早馬で送ることにしよう。事業提携の破棄と今までの出資金の回収もな。」
何も言えずにそこに居たエマは、お嬢様カルサイト家ではなく別の家が没落しそうですよとアンリに早く伝えたいと思いながら少し震えていた。
そんな時、エマに声がかかった。
「エマ、会場を出た後あのカルサイト家がアンリに無礼な態度をとったと聞いたが本当か?」
怒りのせいで少し…いや、だいぶ怖い顔になっている公爵に向かってエマは頷いた。
そして、勇気を出して起こったことを説明した。
「何!?やっと治ってきた腕を掴んだだと!?」
「しかも元姉の婚約者を押し付ける気だって!?」
「レポートの為にアンリを狙っているのは知っていたけど、連れていかれていたら既成事実作られる可能性があったって事か!!」
「アンリちゃんが震えていたのはカルサイト家のせいでもあるということね…許さないわ…私のアンリちゃんになんて事を…」
公爵家の面々は机を殴ったり扇子を折ったり、グラスを握りしめて割ったりと…それはもう色んな音をたてた。
そんな面々を見て冷静に執事長が皆を咎めた。
「お怒りなのは分かります。しかしその様な音を立ててはアンリお嬢様が目覚めてしまわれるかもしれません。ここは少し落ち着きましょう。」
執事長の発言により音をたてる事をやめた公爵家の面々は、目の前に再度出された紅茶を飲み落ち着くことにした。
冷静に皆を咎めた執事長だが、エマは知っている…。
カルサイト家の事を伝えた時に袖口からナイフを取り出し木に投げた事を…。
あれが当たっていたら間違いなく怪我をする…当たり所が悪ければ…死だ。
お嬢様!!
助けてください!!
貴女の事で今大変なことになってますよ!!
私もあの女共やカルサイト家に怒っていましたが…まさかここまでとは…。
ん?
でも迷惑な奴らが消えるだけか!
ならいっか!
とエマは気持ちをすぐに切り替えた。
そう考えると逆に今後どうなるかが楽しみになってきたエマだった。
「カルサイト家には怪我を悪化させた慰謝料を請求するとしよう。しかしその前にモルガナイト侯爵はこの件をどう考えているのか確認しようじゃないか。モルガナイト侯爵の出方によってはモルガナイト侯爵家も敵となる。明日モルガナイト侯爵に面会要請の手紙をだそう。カルサイト家は簡単には潰さない。じわじわと攻撃をして行かなければならないからな…。最後のトドメは王家が直々にしたいと申し出ているからな…。とりあえず今日の夜会で分かった事を纏めて王家に提出する。今日は皆疲れただろう。ゆっくり休み明日以降に備えよう。解散!」
こうしてトパゾライト公爵家の会議は終了した。
翌朝、昨日の事をエマに聞きアンリは顔を青くした。
もう制裁がスタートしているなんて思っていなかったのだ。
…なんで制裁のスタートがこんなに早いの!!
私そんな理由で震えてなんかいないよ!?
なんでこうなった!?
アンリの思いは誰にも届くことがなかった…。
「さて、今日アンリにワインを掛けたあのバカ共は婚約破棄でいいか?」
トパゾライト公爵が聞くと、ライドとカイルは頷いた。
「最近プレゼントの要求も酷くなってきていたから相談しようかと思っていたんだ。最初は素直で可愛いお嬢様だったんだけどな…まるで自分が偉くなったみたいに振る舞うようなった!アイツが偉い訳でもない。勿論俺が偉い訳でもないけどな!それにしても腹が立つ!!アンリに何様って聞いていたんだよ!?お前の方こそ何様なんだよ!!」
カイルの発言に皆そうだそうだと騒ぎ始める。
「カイル様とライド様はおモテになられますから…そういう意味でもあのクズ共は選ばれたと思って調子に乗ったのでしょうね…許すまじ!!」
メイド長は顔を赤くして怒っていた。
そんな彼女の周りにいるメイド達も…。
「そうです!アンリ様身体が冷えておられました!お可哀想に…震えていらしたんですよ?」
「なんだと!?アンリは無事か!?」
「はい。入浴でしっかり身体を温めていただき、その後お休みになられました。特に体調不良等はないようです。」
「よし。もし何かあればスグに医師を呼ぶように!あんな事があったんだ…傷ついているかもしれない。心のケアも頼む。」
「はい!勿論そうさせていただきます!」
公爵家の面々と使用人達は頷きあっていたが、アンリは傷ついてもいないしましてやワイン一つで風邪を引いたりする様な身体の持ち主ではない。
アンリが震えていたのは、ドレスや宝飾類がワインで濡れてしまった事が原因であった。
高いものを汚してしまったという事に対して恐怖で震えていただけなのだ。
決してワインをかけられたから等ではない。
傷ついたからでもない。
ここにアンリが居ないため誰も否定せずに話はより過激な方向へ加速していく。
「あの女達には、今回のアンリちゃんのドレス代と宝飾品の賠償、そしてアンリちゃんへの慰謝料を払ってもらいましょう。勿論婚約破棄になるのだから、そちらも別途で慰謝料頂くわ。あ、今まで勝手にうちのツケで買っていた宝飾品やドレスの返済もね!」
「それは勿論だ!今すぐに纏めて上げて明日の早朝に早馬で送ることにしよう。事業提携の破棄と今までの出資金の回収もな。」
何も言えずにそこに居たエマは、お嬢様カルサイト家ではなく別の家が没落しそうですよとアンリに早く伝えたいと思いながら少し震えていた。
そんな時、エマに声がかかった。
「エマ、会場を出た後あのカルサイト家がアンリに無礼な態度をとったと聞いたが本当か?」
怒りのせいで少し…いや、だいぶ怖い顔になっている公爵に向かってエマは頷いた。
そして、勇気を出して起こったことを説明した。
「何!?やっと治ってきた腕を掴んだだと!?」
「しかも元姉の婚約者を押し付ける気だって!?」
「レポートの為にアンリを狙っているのは知っていたけど、連れていかれていたら既成事実作られる可能性があったって事か!!」
「アンリちゃんが震えていたのはカルサイト家のせいでもあるということね…許さないわ…私のアンリちゃんになんて事を…」
公爵家の面々は机を殴ったり扇子を折ったり、グラスを握りしめて割ったりと…それはもう色んな音をたてた。
そんな面々を見て冷静に執事長が皆を咎めた。
「お怒りなのは分かります。しかしその様な音を立ててはアンリお嬢様が目覚めてしまわれるかもしれません。ここは少し落ち着きましょう。」
執事長の発言により音をたてる事をやめた公爵家の面々は、目の前に再度出された紅茶を飲み落ち着くことにした。
冷静に皆を咎めた執事長だが、エマは知っている…。
カルサイト家の事を伝えた時に袖口からナイフを取り出し木に投げた事を…。
あれが当たっていたら間違いなく怪我をする…当たり所が悪ければ…死だ。
お嬢様!!
助けてください!!
貴女の事で今大変なことになってますよ!!
私もあの女共やカルサイト家に怒っていましたが…まさかここまでとは…。
ん?
でも迷惑な奴らが消えるだけか!
ならいっか!
とエマは気持ちをすぐに切り替えた。
そう考えると逆に今後どうなるかが楽しみになってきたエマだった。
「カルサイト家には怪我を悪化させた慰謝料を請求するとしよう。しかしその前にモルガナイト侯爵はこの件をどう考えているのか確認しようじゃないか。モルガナイト侯爵の出方によってはモルガナイト侯爵家も敵となる。明日モルガナイト侯爵に面会要請の手紙をだそう。カルサイト家は簡単には潰さない。じわじわと攻撃をして行かなければならないからな…。最後のトドメは王家が直々にしたいと申し出ているからな…。とりあえず今日の夜会で分かった事を纏めて王家に提出する。今日は皆疲れただろう。ゆっくり休み明日以降に備えよう。解散!」
こうしてトパゾライト公爵家の会議は終了した。
翌朝、昨日の事をエマに聞きアンリは顔を青くした。
もう制裁がスタートしているなんて思っていなかったのだ。
…なんで制裁のスタートがこんなに早いの!!
私そんな理由で震えてなんかいないよ!?
なんでこうなった!?
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