【完結】何でも欲しがる妹?お姉様が飽き性なだけですよね?

水江 蓮

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トランスキー侯爵家とアルバス侯爵家が手紙を見て慌てていた同時刻、モルガナイト侯爵家は運命の分かれ道に立たされていた。

トパゾライト公爵家という格上且つ関わりのなかった貴族から届いた面会要請の手紙、その1時間後に現れたトパゾライト公爵家当主ロージス本人。
何が起こったのか全く分からないモルガナイト侯爵は青い顔でトパゾライト公爵と対峙する事となった。


何がどうしてこうなったのだ!?
わざわざトパゾライト公爵が我が家までこんな朝早くに来られるなんて…。

どう声を掛ければいいのか悩んでいた時、トパゾライト公爵から声を掛けられた。

「お前の息子はカルサイト家のキャロットと婚約中であったな?間違いないか?」

何故そんな事を聞かれるのか分からなかったが、モルガナイト侯爵は正直に答えることにした。


「はい。うちのザイオンと婚約しておりましたが…「婚約していただと!?今はしていないのか!?」え??は、はい。カルサイト侯爵家よりアンリ嬢がザイオンと婚約したいと騒いだとのことでアンリ嬢と婚約する事になっています。」

トパゾライト公爵はほうっと黒い笑みを浮かべた。

「それはザイオンとやらも納得しているのか?」

「はい。そんなに自分を欲しがっているのなら構わないと…それにキャロット嬢から泣きながら頼まれたから仕方がないと…。」

「成程…。それは自分の息子がカルサイト家を継げなくても構わないということか?」

トパゾライト公爵に尋ねられて、モルガナイト侯爵は呆然とした。
当たり前に入婿に入り継げるものだと思っていたからだ。

「継げないのですか?」

「あぁ間違いなく継げない。あの家はキャロットのモノらしいからな。お前の息子はただキャロットの為に働かされる居候ぐらいにしかならないだろう。」

「そんな…アンリ嬢もカルサイト侯爵家のご令嬢ではないですか!」

トパゾライト公爵は不敵な笑みを浮かべモルガナイト侯爵に伝えた。

「知っている貴族もいるが、もうアンリはカルサイト侯爵家の人間ではない。カルサイト侯爵家がどう言おうが婚約することは出来ない。さぁ、モルガナイト侯爵家はどうする?ここで手を引くか?それともカルサイト侯爵家に噛み付くか?」

その言葉を聞きモルガナイト侯爵は顔を赤くして怒った。

「息子の結婚式の日取りは決まっています!今更なしには出来ません!そもそもアンリ嬢が欲しがったのですよ?なのに何故婚約出来ないのですか!?」

怒りを露わにするモルガナイト侯爵は、トパゾライト公爵に食ってかかった。
トパゾライト公爵は深いため息をつくと、冷めた目でモルガナイト侯爵を睨みつけた。

「貴殿は本当にアンリが欲しがったのだと思っているのか?少しキャロットとやらの周辺を調べてみたら、欲しがってなんかいない事が分かるぞ?婚約するんだから相手を調べて当たり前だろう…まぁ、ウチも失敗した所だから強く言えんが…さて、アンリと婚約できない事が分かった今貴殿はどう動く?あぁ、息子もな?」

「……そ、そんな…それにどう動くとはどういう事ですか?」

「それは簡単だ。カルサイト侯爵家のキャロットと婚約を結び直すのか、アンリと無理矢理既成事実を作ろうとするのか…カルサイト侯爵家とは縁を切り違う相手を探すのか…どれが一番モルガナイト侯爵家にとっていいと思う?」

その質問にモルガナイト侯爵は息をのんだ。
ここで間違うとこの家が潰れる予感がしたのだ。
暫く悩んだ後、モルガナイト侯爵は結論を出した。

「元々はキャロット嬢との縁談でした。アンリ嬢と婚約できないのでしたら、カルサイト侯爵家を継ぐキャロット嬢との縁を結び直します。もしそれが不可能だった場合は、慰謝料を請求します。」

その答えを聞いたトパゾライト公爵は、成程…と呟き椅子から立ち上がった。

「貴殿とその息子がカルサイト侯爵家と関わりを持つことに対して私は何も言わない。それを決めたのは貴殿達だからな。ただこれだけは覚えておけ。アンリに手を出すな!もし出したら…どうなるか分かっているな?キャロットとやらに頼まれたとしてもだ。手伝ったと認識したらすぐに潰す。しっかり覚えておけ。」

その言葉を残してトパゾライト公爵は去っていった。

その場に残されたモルガナイト侯爵は答えを間違えた事に気付いた。
今からでも対応を変えるべきか?
しかし、日取りが決まっている…。
今から中止など恥でしかない…。
ならばどうしたらいいのか?
幾ら考えてもプライドの高いモルガナイト侯爵に答えは出なかった。



せめてアンリ嬢には近づくなと伝えたいのに、本人である息子はまだ帰宅してこない。

この日モルガナイト侯爵は眠ることが出来なかった。
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