天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ

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「妹……エイリには妹さんがいたんだね。」

「えっ、ええまあ……。」

「あら。」

エイリークはどこかぎこちなく顔が落ち着きがない。
アイリーナはアレンシカとエイリークを物珍しそうに交互に見た。

「まあ、お兄ちゃんの珍しいところを見たわ。」

「おい……。」

秘密を知ってしまったようにエイリークを見ながらにやにやとしている。

「ああ、僕の紹介がまだでしたね。ア……えっとエレシュカです。こちらはメイメイとジュスティ。ごめんなさい、僕の監督不行き届きです。」

「この人は私の弟です。ジュスティが申し訳ございませんでした、アイリーナ様。」

たとえ友人の妹でも、どこで漏れるか分からないので正しい名前が伝えられないのでまた隣国式の名前で名乗った。メイメイとジュスティは頭を下げる。

「まあ、私の父親が傷つけてしまった人でしたのね。その節は大変申し訳ありませんでした。」

「ああ……いえ、あの時のは本当にただの偶然だったので気にしないでください。」

「でも……きっとエレシュカ様は騎士様もメイドさんも連れているからいいところの人でしょう?それに領主様のお客様だとか。そんな人を傷つけてしまったなんて……。」

「あ、いえ、ただの一般人ですから……。それに今回はアイリーナさんを傷つけてしまったのですから責める立場ではありません。」

「それだって私が怪しい行動をしていたからですよ。そちらの騎士さんが私を捕らえたのは正当な仕事ですわ。」

「そうですよ!アイリーナが不審者なのが悪いんです!」

「エイリ……。」

「お兄ちゃんはムカつくけど……そういう訳でこれでおあいこですわね。」

ニコニコと笑いながら淑やかにアイリーナは笑った。話をしながらもメイメイがさり気なく怪我の有無を確認していた。
土汚れはついてしまったが怪我は無かったらしく、相手は少女ということもありジュスティは手加減していたようだ。

「ああ……でも葉っぱや土で汚れてしまいましたね……。」

「ここの領はどこも農業だから娘でも泥んこは当たり前みたいなものだから気にしないくてもいいのですわ。それに土は今自分で座ったからですわ。」

「お前なんでそんなにお嬢様ぶってる訳?」

「ホホホ何のことかしら。」

アイリーナは咄嗟にエイリークのそばに寄って笑っている。その後ろでエイリークの腕をつねっていたことはメイメイとジュスティだけが気づいていた。
エイリークはうっすら冷や汗をかきつつもアレンシカの手前笑っている。

「そ、れでアイリーナはどうしてここにいるんだよ。みんなは知ってるのかよ……。」

「だってお兄ちゃんがソワソワしながら出かけてるんだもの、気になって。」

「そっか、せっかくエイリの地元にいるのにご家族に挨拶もしていなかったね。失念していたよ。」

「いいんですよ!エレシュカ様はこんなやつ会わなくて。」

「まああ!お兄ちゃんったらひどいですわねー。」

「ぐっ……!」

エイリークはさらに冷や汗をかいたが悟らせまいと努めた。

「そうだ、汚れた姿のままお帰しする訳にもいかないし良ければ家までお送りしましょうか。」

「え!そんなことしなくてもいいですよ!ボクがいますし!」

「まあ、でしたら是非うちにご招待したいわ!エレシュカ様に合うおもてなしになるかは分かりませんが、兄のお友達ですもの!是非ご招待させてくださいまし!」

「はあ?!あのせっまい家にエレシュカ様を?!お前何考えてる訳?!」

「でも突然来たらご迷惑じゃないですか?」

「いえいえいえお兄ちゃんのお友達が来るのを皆楽しみにしていますよ!」

「そっか……それなら馬車を借りるついでに帰りが遅くなるって言っておかなくちゃね。」

「ええー!考え直してくださーい!」

エイリークは泣き真似のようにアレンシカに縋っている。
焚き火の横でメイメイが火杖で中に入れた芋の具合を確かめていた。

「エレシュカ様、そろそろ芋がいい具合に焼ける頃ですが。」

「あっそうだ、せっかくなんだしアイリーナさんも一緒に食べませんか?この間エイリが持ってきてくれたお芋を焼いてたんです。」

「まあ!よろしいんですの?ありがとうございますわ!」

「お前なんで今日はそんなに図々しいんだー!」

目の前の兄妹のやりとりにアレンシカもつい笑ってしまう。きょうだいのいないアレンシカにはささやかな家族のやりとりが新鮮で楽しげで微笑ましく思った。
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