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令状
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突然けたたましく扉が鳴る。
使用人達が慌ただしく扉を開けると身なりが整い精錬さが自然に滲み出ている人達が雪崩れこんで来た。
「だ、誰だ!」
中央に立ち睨みを利かせている人物に震え上がりながらもレヴィリア侯爵がそう問うと、その人物は荘厳な声で言う。
「我々は貴顕秩序衛務院だ。」
「な、なんで……、」
「レヴィリア侯爵家のご息女であるフィラル・レヴィリア殿に文書偽造の罪の容疑がある為、レヴィリア侯爵家に正式に調査に参った次第。こちらは正式な調査令状だ。」
「どうしてそんなことに!」
差し出された令状には確かにフィラルに対しての罪状が細かく書かれており、それに伴いレヴィリア侯爵家の屋敷を調査するとも書かれていた。
「なんで、どうしてこんな、……フィラル!フィラル!」
大声で部屋の外に呼べば大声と屋敷の騒ぎが気になりフィラルがゆっくりと歩いて来た。
「何、父様。この騒ぎどうしたの?」
「ふぃ、フィラル!見ろ!これを!」
「え?」
「フィラル・レヴィリア殿ですね。我々は貴顕秩序衛務院。貴方には文書偽造の疑いがあるので調べさせていただきます。」
「何、それ……そんなことひとつもしてない!」
「そうですか……。ではここに書いてある内容に見覚えは一切ないということですか?」
フィラルにも見せられた令状の内容は、フィラルが王家を騙り王族にしか使えない封筒と封蝋を使いリリーベル家へパーティへ誘ったと書かれている。
「これは……アレンシカちゃんとパーティに出る為に……。」
「見覚えはあるのですか?ないのですか?フィラル様は侯爵家なのでここで取調べを受けることも出来ますが、罪の多さや重さによってはこちらへ来ていただき改めて調査のすることもあり得ます。」
「フィラル……お前なんてことを……。」
レヴィリア侯爵は項垂れ力なく座り込んでしまった。
「ちょっと、これはどういう騒ぎ?」
侯爵の伴侶も騒ぎに戸惑いやって来たがただならぬ雰囲気にますます戸惑うことしか出来ない。
「フィラルが……罪を……、」
「罪なんか何もしてない!アレンシカちゃんが中々パーティに出ないからうちの家門を通じて手紙を出しただけ!」
「……それだけではないだろう……!王族しか使ってはならない封筒と封蝋を使い、王族の手紙に偽装したのだから……!」
「なんてことをしたのフィラル!」
侯爵の口から語られる罪状に伴侶も悲鳴を上げた。
「アレンシカちゃんは未来の義弟で第二王子の婚約者だよ!それに俺も第一王子の婚約者で未来の王妃だ。俺たちの仲に罪があると思ってるの!」
「馬鹿者!」
侯爵が大きな声を上げる。今フィラルの言ったことが到底信じられなかった。それでも今まさに直接フィラルの口から事実として語られてしまった。
「……お前はまだ婚約者の立場だ。未来の王族ではあるが今王族ではない。たかが婚約者というだけで好きに王族のみが使える封筒と封蝋を使える訳がないだろう!」
昔から侯爵も伴侶も厳しく教育していた。家格的にも婚約者に選ばれる可能性が高かった上、実際に婚約者に選ばれてからは王家に恥をかかせないように丁寧に厳しく教育していたはずだ。それなのにどうしてこうなったのか、レヴィリア侯爵も伴侶も目の前の娘が信じられなかった。
「でも、……でも!婚姻も近いし、アレンシカちゃんとは王族の婚約者同士、どうしてこんな罪になるの!なんで罪にさせられたの!」
「フィラル……。」
「リリーベル家でしょう?!でなきゃこんなことになる訳がない。どうしてただの身内同士の話がこんな大事に……。」
「当たり前ですよ。」
黙っていた衛務院職員が話に入ってきた。今のままなら黙っていれば話が聞けると思っていたのだろう。
「リリーベル家が違反者を告発するのは当然です。しかも王族の文書に偽装することは重罪。見逃す訳がありません。」
「でも未来の身内なのに!」
「それに告発者はリリーベル家だけとは限らないのでは?」
「え?」
その問いかけにフィラルは訳が分からなくなった。
だってこうして罪にさせられるならリリーベル家からの告発しかあり得ない。手紙は全てリリーベル家への手紙なのだから。
「その手紙は何に使ったのかよく考えてみては?」
「な、何に使ったんだ!他にも使ったのか!」
「いや……アレンシカちゃんに送る為の手紙で……パーティをしようと思って……。」
そこでフィラルはひとつの考えが思い浮かぶ。でもそれはフィラルにとって本当にあり得ないことだと考えていた。未来どころではなく、フィラルに、レヴィリア侯爵家にとって本当に身内。
「まさか……レヴィリア家門……?」
使用人達が慌ただしく扉を開けると身なりが整い精錬さが自然に滲み出ている人達が雪崩れこんで来た。
「だ、誰だ!」
中央に立ち睨みを利かせている人物に震え上がりながらもレヴィリア侯爵がそう問うと、その人物は荘厳な声で言う。
「我々は貴顕秩序衛務院だ。」
「な、なんで……、」
「レヴィリア侯爵家のご息女であるフィラル・レヴィリア殿に文書偽造の罪の容疑がある為、レヴィリア侯爵家に正式に調査に参った次第。こちらは正式な調査令状だ。」
「どうしてそんなことに!」
差し出された令状には確かにフィラルに対しての罪状が細かく書かれており、それに伴いレヴィリア侯爵家の屋敷を調査するとも書かれていた。
「なんで、どうしてこんな、……フィラル!フィラル!」
大声で部屋の外に呼べば大声と屋敷の騒ぎが気になりフィラルがゆっくりと歩いて来た。
「何、父様。この騒ぎどうしたの?」
「ふぃ、フィラル!見ろ!これを!」
「え?」
「フィラル・レヴィリア殿ですね。我々は貴顕秩序衛務院。貴方には文書偽造の疑いがあるので調べさせていただきます。」
「何、それ……そんなことひとつもしてない!」
「そうですか……。ではここに書いてある内容に見覚えは一切ないということですか?」
フィラルにも見せられた令状の内容は、フィラルが王家を騙り王族にしか使えない封筒と封蝋を使いリリーベル家へパーティへ誘ったと書かれている。
「これは……アレンシカちゃんとパーティに出る為に……。」
「見覚えはあるのですか?ないのですか?フィラル様は侯爵家なのでここで取調べを受けることも出来ますが、罪の多さや重さによってはこちらへ来ていただき改めて調査のすることもあり得ます。」
「フィラル……お前なんてことを……。」
レヴィリア侯爵は項垂れ力なく座り込んでしまった。
「ちょっと、これはどういう騒ぎ?」
侯爵の伴侶も騒ぎに戸惑いやって来たがただならぬ雰囲気にますます戸惑うことしか出来ない。
「フィラルが……罪を……、」
「罪なんか何もしてない!アレンシカちゃんが中々パーティに出ないからうちの家門を通じて手紙を出しただけ!」
「……それだけではないだろう……!王族しか使ってはならない封筒と封蝋を使い、王族の手紙に偽装したのだから……!」
「なんてことをしたのフィラル!」
侯爵の口から語られる罪状に伴侶も悲鳴を上げた。
「アレンシカちゃんは未来の義弟で第二王子の婚約者だよ!それに俺も第一王子の婚約者で未来の王妃だ。俺たちの仲に罪があると思ってるの!」
「馬鹿者!」
侯爵が大きな声を上げる。今フィラルの言ったことが到底信じられなかった。それでも今まさに直接フィラルの口から事実として語られてしまった。
「……お前はまだ婚約者の立場だ。未来の王族ではあるが今王族ではない。たかが婚約者というだけで好きに王族のみが使える封筒と封蝋を使える訳がないだろう!」
昔から侯爵も伴侶も厳しく教育していた。家格的にも婚約者に選ばれる可能性が高かった上、実際に婚約者に選ばれてからは王家に恥をかかせないように丁寧に厳しく教育していたはずだ。それなのにどうしてこうなったのか、レヴィリア侯爵も伴侶も目の前の娘が信じられなかった。
「でも、……でも!婚姻も近いし、アレンシカちゃんとは王族の婚約者同士、どうしてこんな罪になるの!なんで罪にさせられたの!」
「フィラル……。」
「リリーベル家でしょう?!でなきゃこんなことになる訳がない。どうしてただの身内同士の話がこんな大事に……。」
「当たり前ですよ。」
黙っていた衛務院職員が話に入ってきた。今のままなら黙っていれば話が聞けると思っていたのだろう。
「リリーベル家が違反者を告発するのは当然です。しかも王族の文書に偽装することは重罪。見逃す訳がありません。」
「でも未来の身内なのに!」
「それに告発者はリリーベル家だけとは限らないのでは?」
「え?」
その問いかけにフィラルは訳が分からなくなった。
だってこうして罪にさせられるならリリーベル家からの告発しかあり得ない。手紙は全てリリーベル家への手紙なのだから。
「その手紙は何に使ったのかよく考えてみては?」
「な、何に使ったんだ!他にも使ったのか!」
「いや……アレンシカちゃんに送る為の手紙で……パーティをしようと思って……。」
そこでフィラルはひとつの考えが思い浮かぶ。でもそれはフィラルにとって本当にあり得ないことだと考えていた。未来どころではなく、フィラルに、レヴィリア侯爵家にとって本当に身内。
「まさか……レヴィリア家門……?」
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