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友達
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それからアレンシカは時間一杯までエイリークとの会話を楽しんだ。
特に話しが上手な訳ではなかったが、あまり自分から話しをしないアレンシカを決して疎ましく思うことがなく、エイリークは明るく自分から話しを広げてくれるタイプだった。
いつの間にか一緒にランチをする前よりずっと気楽に話せるようになり、話しかける言葉も少しだけフランクになったアレンシカと、呼ぶ名前も愛称になったエイリークは、その後二人でペアになるスピーチをし合う授業の時も自然と組むほどの仲になっていた。
授業が終わると今日は園芸クラブの活動はないので真っ直ぐに帰宅することにした。さすがに入学式の翌日の慣れない授業に身体が休みを求めていたのでちょうど良かった。
エイリークは何だか名残惜しそうにしていたが、何となく一緒に帰ろうかと声を掛けると、可愛い犬がしっぽを振るように駆けてきたので、アレンシカは思わず笑った。
「僕、ずっとアレンシカ様とお話したかったのに、今日のアレンシカ様はお忙しそうで……。」
少し遠回りをしてエイリークが住む寮までの短い道のり、話をなんだか申し訳ないなと思いながらアレンシカは聞いていた。
表向きはただ忙しく教室から出ていただけだが、その実態は婚約者の未来の恋人とどう向き合えばいいか分からなかったからだなんて、エイリークはそんなアレンシカの心の内を知る由もない。
ちょっとした冗談まじりのお小言のようなものを聞きながら歩いていると、寮の大きな門の目の前まで来た。
「じゃあまたね。エイリ。」
「はい、アレン様。」
アレンシカが小さく手を振るとエイリークも本当に嬉しそうに大きく手を振った。
それに少しだけクスクス笑ってからもう一度だけまた手を振ってから、ゆっくり歩く。
今日は楽しかったな、と思いながら。
「あ、アレン様!」
急に呼びかけられた声に門を背にしていたアレンシカは振り返ると、エイリークはその場から動かずアレンシカの目を真っ直ぐに見つめていた。
今日はなんだか
「明日も、僕と仲良くしてくれますか?」
突然の問いかけ。アレンシカはそれがどういった意味か分からなかった。
今日は午後だけで随分と仲良くなったとアレンシカは思っていたし、すでにエイリークは入学してからの初めての友達とすら思っていたからだ。
「僕、アレン様と本当に、本当に仲良くなりたかったんです。仲良くなって……それで……。」
エイリークはアレンシカを真っ直ぐ見てくれているが、その瞳の中に何かが少し混ざっているようだった。
アレンシカにはそれが何かが分からなかったが、エイリークを安心させたくて側に寄ると同じくらいの大きさの手を取った。
「エイリ。僕は今日、エイリと仲良くなれて嬉しかった。ランチも一緒に誘ってくれて嬉しかったんです。今日はエイリが誘ってくれたから、明日は僕から誘いたい。ペアを組んでくれたことも。エイリが勇気を出してくれたから、仲良くなれた。明日もきっと仲良しです。」
アレンシカはエイリークの目を見る。
将来、この目の前の彼に婚約者を取られてしまう。それはこれから起きる未来としてしっかりとこの目で見た。
だけど、アレンシカは今目の前にいるエイリークを大切にしたかった。
まだ仲良くなってから少ししか時間は経っていないけど、一緒に過ごした時間は本当に楽しく、これからも仲良くしたいと心の底から思っている。
最初はエイリークが声を掛けてくれたから、次は自分から声を掛けたかった。
アレンシカはエイリークの視線をしっかり受け取った。
「エイリ。僕と友達になってください。」
アレンシカは綺麗な微笑んだ。
エイリークはアレンシカのその笑みを見て、少しだけ俯いた後再びしっかりとアレンシカを見た。
「……はい。ボクもアレンシカ様と友達になりたいです。」
特に話しが上手な訳ではなかったが、あまり自分から話しをしないアレンシカを決して疎ましく思うことがなく、エイリークは明るく自分から話しを広げてくれるタイプだった。
いつの間にか一緒にランチをする前よりずっと気楽に話せるようになり、話しかける言葉も少しだけフランクになったアレンシカと、呼ぶ名前も愛称になったエイリークは、その後二人でペアになるスピーチをし合う授業の時も自然と組むほどの仲になっていた。
授業が終わると今日は園芸クラブの活動はないので真っ直ぐに帰宅することにした。さすがに入学式の翌日の慣れない授業に身体が休みを求めていたのでちょうど良かった。
エイリークは何だか名残惜しそうにしていたが、何となく一緒に帰ろうかと声を掛けると、可愛い犬がしっぽを振るように駆けてきたので、アレンシカは思わず笑った。
「僕、ずっとアレンシカ様とお話したかったのに、今日のアレンシカ様はお忙しそうで……。」
少し遠回りをしてエイリークが住む寮までの短い道のり、話をなんだか申し訳ないなと思いながらアレンシカは聞いていた。
表向きはただ忙しく教室から出ていただけだが、その実態は婚約者の未来の恋人とどう向き合えばいいか分からなかったからだなんて、エイリークはそんなアレンシカの心の内を知る由もない。
ちょっとした冗談まじりのお小言のようなものを聞きながら歩いていると、寮の大きな門の目の前まで来た。
「じゃあまたね。エイリ。」
「はい、アレン様。」
アレンシカが小さく手を振るとエイリークも本当に嬉しそうに大きく手を振った。
それに少しだけクスクス笑ってからもう一度だけまた手を振ってから、ゆっくり歩く。
今日は楽しかったな、と思いながら。
「あ、アレン様!」
急に呼びかけられた声に門を背にしていたアレンシカは振り返ると、エイリークはその場から動かずアレンシカの目を真っ直ぐに見つめていた。
今日はなんだか
「明日も、僕と仲良くしてくれますか?」
突然の問いかけ。アレンシカはそれがどういった意味か分からなかった。
今日は午後だけで随分と仲良くなったとアレンシカは思っていたし、すでにエイリークは入学してからの初めての友達とすら思っていたからだ。
「僕、アレン様と本当に、本当に仲良くなりたかったんです。仲良くなって……それで……。」
エイリークはアレンシカを真っ直ぐ見てくれているが、その瞳の中に何かが少し混ざっているようだった。
アレンシカにはそれが何かが分からなかったが、エイリークを安心させたくて側に寄ると同じくらいの大きさの手を取った。
「エイリ。僕は今日、エイリと仲良くなれて嬉しかった。ランチも一緒に誘ってくれて嬉しかったんです。今日はエイリが誘ってくれたから、明日は僕から誘いたい。ペアを組んでくれたことも。エイリが勇気を出してくれたから、仲良くなれた。明日もきっと仲良しです。」
アレンシカはエイリークの目を見る。
将来、この目の前の彼に婚約者を取られてしまう。それはこれから起きる未来としてしっかりとこの目で見た。
だけど、アレンシカは今目の前にいるエイリークを大切にしたかった。
まだ仲良くなってから少ししか時間は経っていないけど、一緒に過ごした時間は本当に楽しく、これからも仲良くしたいと心の底から思っている。
最初はエイリークが声を掛けてくれたから、次は自分から声を掛けたかった。
アレンシカはエイリークの視線をしっかり受け取った。
「エイリ。僕と友達になってください。」
アレンシカは綺麗な微笑んだ。
エイリークはアレンシカのその笑みを見て、少しだけ俯いた後再びしっかりとアレンシカを見た。
「……はい。ボクもアレンシカ様と友達になりたいです。」
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