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四人組
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「ふっふふふーん。ふふふーん。」
「今日は随分とご機嫌だね、エイリ。」
学校にも慣れて暫くした頃。今日のエイリはとてもご機嫌だった。
いつも明るくて楽しい彼だけど、もっと明るくなっている。
周りの生徒も通りすぎる度になんか楽しそうだなと言ってくる。
今日はクラスで話し合いだ。
今から一ヶ月後にある合同キャンプだ。
フィルニース王立学園の一年時には校外学習として外でのキャンプが行われる。
クラスでの親睦を深め、貴族の子達に自然と教育の為に協力して一泊だけ外に泊まる行事は、意外と貴族の子達にも人気の行事だ。
「もう今からキャンプ!楽しみです!」
「エイリは気が早いね。」
「僕嬉しいんです。アレン様と一泊も出来るなんて……えへ。なんていい行事があるんでしょう!」
「毎日会ってるよ?」
「だってアレン様!園芸クラブが始まってからアレン様と全然ゆっくり出来ないんですもーん!」
「活動は週三日なんだけどな……。」
少し呆れながらもそれ程に自分といたいと思う程友情に熱いエイリークに嬉しく思いながら、アレンシカは笑った。
ついついエイリークの話に気を取られながらも、教師の話も聞いていると、説明は一通り終わり、キャンプでの組分けに移行した。
基本的に四人組行動で、食事を作ったり拠点を作ったりするらしい。
特に積極的に動かないエイリークに反して、アレンシカは周囲をキョロキョロと見回す。
絶対に自分と組むんだと言われて実際に組むつもりのエイリークは一番として、他の人はどうしようか悩む。
こんな時、ウィンノルと同じクラスなら一緒に組む希望が少しでもあったかもしれない、と一瞬だけ考えてしまい心の中で頭を振る。
どうせ同じクラスでもそんなことは絶対にあり得るはずがないのに、微かな希望に縋ろうとしている自分は愚かだと思った。
「よかったら俺達も入れてくれない?」
しばらくして周りもある程度の塊が出来てきた時、クラスメイトが話しかけて来た。
そこにいたのは子爵令息の大人しいプリム・ミラーと男爵令息で背の高いルジェ・ハルク。
「キミ達のいつもの仲間は?」
キッとした目で尋ねるエイリークに対してプリムはビクッとするが、ルジェは平然と答える。
「俺達五人だからさ、俺があぶれたんだ。」
ルジェが指指した方向を見るといつもルジェと一緒にいる人達がアレンシカとエイリークに向かって手を振った。
「私もあぶれてしまったので、こちらに入れさせてくださいアレンシカ様。」
そちらも見るとプリムと同じような大人しそうな子がチラチラとこちらを見ている。プリムは普段三人で居るのをよく見るが二人組と組んでいたのであぶれてしまったらしい。
「はい、僕達もちょうどなので嬉しいです。一緒に頑張りましょうね。」
二人にそう言って笑うとエイリークはサッとアレンシカの前に立った。
「ぷんだ!まあアレン様の許可があるならボク達の仲間に入れてあげなくもないです!」
「お前なんでそんな敵対的なの?」
エイリークがバチバチとした目で睨むルジェを飄々とした態度でいなすルジェを見ながら、配られた組分け票にメンバーの名前を書き込んでいると、横
から穴が開くほどの視線を感じた。
「……どうしました?」
少しだけ居心地が悪くてついそう聞いたら、プリムはキョトンとした後ににこやかに笑った。
「何にもないですよ。アレンシカ様。」
「今日は随分とご機嫌だね、エイリ。」
学校にも慣れて暫くした頃。今日のエイリはとてもご機嫌だった。
いつも明るくて楽しい彼だけど、もっと明るくなっている。
周りの生徒も通りすぎる度になんか楽しそうだなと言ってくる。
今日はクラスで話し合いだ。
今から一ヶ月後にある合同キャンプだ。
フィルニース王立学園の一年時には校外学習として外でのキャンプが行われる。
クラスでの親睦を深め、貴族の子達に自然と教育の為に協力して一泊だけ外に泊まる行事は、意外と貴族の子達にも人気の行事だ。
「もう今からキャンプ!楽しみです!」
「エイリは気が早いね。」
「僕嬉しいんです。アレン様と一泊も出来るなんて……えへ。なんていい行事があるんでしょう!」
「毎日会ってるよ?」
「だってアレン様!園芸クラブが始まってからアレン様と全然ゆっくり出来ないんですもーん!」
「活動は週三日なんだけどな……。」
少し呆れながらもそれ程に自分といたいと思う程友情に熱いエイリークに嬉しく思いながら、アレンシカは笑った。
ついついエイリークの話に気を取られながらも、教師の話も聞いていると、説明は一通り終わり、キャンプでの組分けに移行した。
基本的に四人組行動で、食事を作ったり拠点を作ったりするらしい。
特に積極的に動かないエイリークに反して、アレンシカは周囲をキョロキョロと見回す。
絶対に自分と組むんだと言われて実際に組むつもりのエイリークは一番として、他の人はどうしようか悩む。
こんな時、ウィンノルと同じクラスなら一緒に組む希望が少しでもあったかもしれない、と一瞬だけ考えてしまい心の中で頭を振る。
どうせ同じクラスでもそんなことは絶対にあり得るはずがないのに、微かな希望に縋ろうとしている自分は愚かだと思った。
「よかったら俺達も入れてくれない?」
しばらくして周りもある程度の塊が出来てきた時、クラスメイトが話しかけて来た。
そこにいたのは子爵令息の大人しいプリム・ミラーと男爵令息で背の高いルジェ・ハルク。
「キミ達のいつもの仲間は?」
キッとした目で尋ねるエイリークに対してプリムはビクッとするが、ルジェは平然と答える。
「俺達五人だからさ、俺があぶれたんだ。」
ルジェが指指した方向を見るといつもルジェと一緒にいる人達がアレンシカとエイリークに向かって手を振った。
「私もあぶれてしまったので、こちらに入れさせてくださいアレンシカ様。」
そちらも見るとプリムと同じような大人しそうな子がチラチラとこちらを見ている。プリムは普段三人で居るのをよく見るが二人組と組んでいたのであぶれてしまったらしい。
「はい、僕達もちょうどなので嬉しいです。一緒に頑張りましょうね。」
二人にそう言って笑うとエイリークはサッとアレンシカの前に立った。
「ぷんだ!まあアレン様の許可があるならボク達の仲間に入れてあげなくもないです!」
「お前なんでそんな敵対的なの?」
エイリークがバチバチとした目で睨むルジェを飄々とした態度でいなすルジェを見ながら、配られた組分け票にメンバーの名前を書き込んでいると、横
から穴が開くほどの視線を感じた。
「……どうしました?」
少しだけ居心地が悪くてついそう聞いたら、プリムはキョトンとした後ににこやかに笑った。
「何にもないですよ。アレンシカ様。」
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