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2話 死後の世界
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「おい、友作! いつまで寝てんだよ、行くぞ、アイツイジメんだよ」
「んぁ」
古臭いが何処か懐かしい匂い。
茶色と、艶のない銀色で構成された机と椅子。
飲み込まれそうな程の深緑で埋め尽くされた全面には、消し損なった白いチョークの文字がムラを作っていた。
なんだ。
ただその一言だけが友作の頭を埋め尽くした。
「先行ってんぞ!」
使い古した黒いランドセルを乱暴に肩に掛けた少年が教室を出ていく。
それをぼうっとした頭で見送りながら、友作はゆっくりと立ち上がった。
あれは、誰だったか。
この教室は。
窓際から校庭を走る子供達が見える。
赤に黒のランドセルをガシャガシャと揺らし、思い思いの目的に向かって進む小学生。
教室の扉の上には5年3組と書かれた長方形の木版が掲げられ、今自分がいる住所を明確に示していた。
手を広げて見つめれば、そこにあるのはまだ苦労も知らぬ柔らかな小さい手。
窓ガラス越しに映る真ん中分けのダサい髪型。
生意気そうな子供顔はだが、何度も見て来た自分の子供時代そのものだった。
「夢、死んだのか、俺は」
今の体のシナプスは若いなりに健康なのか、友作はあの苦々しい現実を再び思い出し、これが初めて見る死後の世界だと理解した。
死後の世界はこんなにもリアルだと、死んだ人間は最後にそう思うのだろう。
だが死んだ後では伝えようもない。
死んだ者のみが享受できる体験。
人によってその場面は違うのだろうか、そんな事を考えながら友作は自分が小学5年の場面にいる事を再認識する。
どうあれあの醜く、辛い人生からはおさらばだ。
ここからどうなるにせよ、きっと最後は真っ暗な暗闇で意識もなく消えるのだろう。
もしくはこのままこの世界をぶらぶらし続けるのだろうか。
それは友作には分からない。
この世界を彷徨い続けるのも考えればなかなか辛いものがあるだろうが、自分の人生は既に詰んでいた。
だからこそあそこで死を選んだ。
下手に病院に担ぎこまれて、多大な治療費と方々からの罵詈雑言を思えば少しはマシなのかもしれない。
友作は一つ嘆息すると、目の前に自分のランドセルがある事に気付きそれを肩に担いで教室を出たのだった。
「んぁ」
古臭いが何処か懐かしい匂い。
茶色と、艶のない銀色で構成された机と椅子。
飲み込まれそうな程の深緑で埋め尽くされた全面には、消し損なった白いチョークの文字がムラを作っていた。
なんだ。
ただその一言だけが友作の頭を埋め尽くした。
「先行ってんぞ!」
使い古した黒いランドセルを乱暴に肩に掛けた少年が教室を出ていく。
それをぼうっとした頭で見送りながら、友作はゆっくりと立ち上がった。
あれは、誰だったか。
この教室は。
窓際から校庭を走る子供達が見える。
赤に黒のランドセルをガシャガシャと揺らし、思い思いの目的に向かって進む小学生。
教室の扉の上には5年3組と書かれた長方形の木版が掲げられ、今自分がいる住所を明確に示していた。
手を広げて見つめれば、そこにあるのはまだ苦労も知らぬ柔らかな小さい手。
窓ガラス越しに映る真ん中分けのダサい髪型。
生意気そうな子供顔はだが、何度も見て来た自分の子供時代そのものだった。
「夢、死んだのか、俺は」
今の体のシナプスは若いなりに健康なのか、友作はあの苦々しい現実を再び思い出し、これが初めて見る死後の世界だと理解した。
死後の世界はこんなにもリアルだと、死んだ人間は最後にそう思うのだろう。
だが死んだ後では伝えようもない。
死んだ者のみが享受できる体験。
人によってその場面は違うのだろうか、そんな事を考えながら友作は自分が小学5年の場面にいる事を再認識する。
どうあれあの醜く、辛い人生からはおさらばだ。
ここからどうなるにせよ、きっと最後は真っ暗な暗闇で意識もなく消えるのだろう。
もしくはこのままこの世界をぶらぶらし続けるのだろうか。
それは友作には分からない。
この世界を彷徨い続けるのも考えればなかなか辛いものがあるだろうが、自分の人生は既に詰んでいた。
だからこそあそこで死を選んだ。
下手に病院に担ぎこまれて、多大な治療費と方々からの罵詈雑言を思えば少しはマシなのかもしれない。
友作は一つ嘆息すると、目の前に自分のランドセルがある事に気付きそれを肩に担いで教室を出たのだった。
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