3 / 14
リピート:1
3話 キャベツ女
しおりを挟む
「キャベツ女ぁ! おらぁ」
「やめてよ!」
「うるせぇ、キャベツー! へい、パス」
20年以上たった今でも覚えている通学路を歩いて行くと、そこには二人の少年と少年よりも少し背が高くガタイもいい少女がふざけ合っているのが見えた。
少女の髪はボサボサで、色さえ緑であったならば、それはまさにキャベツと見紛う様相。
顔はお世辞にも可愛いとは言い難い上に、男子に言い返すその喋り方もどこかたどたどしい。
知的障害があるのかもしれない。
「お、友君! へい、パぁス!!」
「え、あ」
友作の登場に気付いた事で男子陣に活気が増し、中空を汚らしい靴が弧を描いて友作の元へ投げ込まれた。
元はピンクと白の可愛いスニーカーであったろうそれは、今や使い古され、土汚れに塗れてその影もない。
反射的にそれをキャッチしてしまった友作は、手に嫌悪感を感じながらふとある記憶を脳裏でなぞっていた。
この少女は確か6年ではなかっただろうか。
そう、自分はこの少女をイジメていた。
というより当時はそんな自覚は無く、ここにいる
大地と宏、その他数名の男子と取っ替え引っ替え帰り道にこの少女をからかいながら過ごしていたのだ。
少女は身なりも汚く、外見も良くない上に今思えば少しの知的障害を抱えていたのだろう。
通学路が同じと言う事もあり、例え上級生であってもそれはまだ理性の育っていない小学生には格好の遊び道具だ。
次々と友作の脳裏からは、まるでタンスをひっくり返したかのように昔の記憶が溢れだす。
「ぬーがせ! ぬーがせぇ! 友君今だぁ!!」
「いやぁだぁ!やめっ」
「んだよ、ブルマじゃん」
気付けば友作の身体は歴史に抗えないかのように、RPGの決まったストーリを見るかのように、仲間に拘束された少女のスカートを下ろしていた。
そこから出てきたのが、女子用の体操着である事に苛立ちを覚えている宏。
自分は一体何をしているのだろうか。
そんな気持ちを抱えながらも、記憶の断片に同様の景色を持っている自分。
過去の自分は確かにこんなふざけ合い、否、一方的なイジメを楽しんでいたのかもしれない。
「もう一丁脱がせ、友君!」
「あ、ちょっ、やめて」
友作はまるで意識の無い人形のようにその少女のブルマを勢い良く下ろしていた。
可愛いらしい小さい蛙のマークがついた白いパンツ。
それはだがその少女の身体に合わせて大きく伸びている。
「うっわぁ! だっせぇ、蛙!」
「やめてよぉ!! この馬鹿ぁ!」
「うぉ、逃げるぞ! キャベツが怒ったぁ!」
キャベツと呼ばれた少女は脱がされたブルマとスカートを履き直しながら、叫ぶ。
三人の男子はそんな少女の姿にケラケラと笑いながら、絶妙な距離を保ちつつ逃げる。
友作はふと少女を振り返り、その表情を伺いながら歩速を緩めていた。
少女は顔を若干赤らめ、口では怒っているものの満更でもなさそうな表情。
そう、友作達は傍から見たらいじめ以外の何物でもないが、この少女とは仲が悪くなかった。
つまらない登下校に一輪の華とまでは言わないが、一つの遊び道具を見出していたのだ。
そしてそれは、恐らくこの少女も同じ。
この少女はこんななりと、知的障害者扱いで同学年に友達等いなかった筈なのだ。
むしろ本物の、陰湿なイジメに合いながらもいつも一人気丈に振る舞いながら日々を寂しそうに過ごしていた。
「友作ぅーー!!」
「うぇ!?」
「うわ、やべぇ! 友作がキャベツに捕まったぁ!」
「友作も脱げぇー」
「あ、ちょっ!」
友作はキャベツ女の以外に強い力とそのガタイに捕まり、自分がそうしたようにズボンを脱がされた。
その姿を嬉しそうに見て笑う少女が、友作のパンツに手を掛けた所で仲間がキャベツ女のランドセルに突進する。
倒れるキャベツ女、逃げる男子陣。
それをまた追いかけるキャベツ少女。
そう、こんな日々が、当時の自分には大切な思い出などとは思えなかったのだ。
大人になって、いつから自分は自分を変えてしまったのか。
それが普通か、それとも変わらない事が本当の幸せか。
その答えは30年たった今の友作にも分からない。
「やめてよ!」
「うるせぇ、キャベツー! へい、パス」
20年以上たった今でも覚えている通学路を歩いて行くと、そこには二人の少年と少年よりも少し背が高くガタイもいい少女がふざけ合っているのが見えた。
少女の髪はボサボサで、色さえ緑であったならば、それはまさにキャベツと見紛う様相。
顔はお世辞にも可愛いとは言い難い上に、男子に言い返すその喋り方もどこかたどたどしい。
知的障害があるのかもしれない。
「お、友君! へい、パぁス!!」
「え、あ」
友作の登場に気付いた事で男子陣に活気が増し、中空を汚らしい靴が弧を描いて友作の元へ投げ込まれた。
元はピンクと白の可愛いスニーカーであったろうそれは、今や使い古され、土汚れに塗れてその影もない。
反射的にそれをキャッチしてしまった友作は、手に嫌悪感を感じながらふとある記憶を脳裏でなぞっていた。
この少女は確か6年ではなかっただろうか。
そう、自分はこの少女をイジメていた。
というより当時はそんな自覚は無く、ここにいる
大地と宏、その他数名の男子と取っ替え引っ替え帰り道にこの少女をからかいながら過ごしていたのだ。
少女は身なりも汚く、外見も良くない上に今思えば少しの知的障害を抱えていたのだろう。
通学路が同じと言う事もあり、例え上級生であってもそれはまだ理性の育っていない小学生には格好の遊び道具だ。
次々と友作の脳裏からは、まるでタンスをひっくり返したかのように昔の記憶が溢れだす。
「ぬーがせ! ぬーがせぇ! 友君今だぁ!!」
「いやぁだぁ!やめっ」
「んだよ、ブルマじゃん」
気付けば友作の身体は歴史に抗えないかのように、RPGの決まったストーリを見るかのように、仲間に拘束された少女のスカートを下ろしていた。
そこから出てきたのが、女子用の体操着である事に苛立ちを覚えている宏。
自分は一体何をしているのだろうか。
そんな気持ちを抱えながらも、記憶の断片に同様の景色を持っている自分。
過去の自分は確かにこんなふざけ合い、否、一方的なイジメを楽しんでいたのかもしれない。
「もう一丁脱がせ、友君!」
「あ、ちょっ、やめて」
友作はまるで意識の無い人形のようにその少女のブルマを勢い良く下ろしていた。
可愛いらしい小さい蛙のマークがついた白いパンツ。
それはだがその少女の身体に合わせて大きく伸びている。
「うっわぁ! だっせぇ、蛙!」
「やめてよぉ!! この馬鹿ぁ!」
「うぉ、逃げるぞ! キャベツが怒ったぁ!」
キャベツと呼ばれた少女は脱がされたブルマとスカートを履き直しながら、叫ぶ。
三人の男子はそんな少女の姿にケラケラと笑いながら、絶妙な距離を保ちつつ逃げる。
友作はふと少女を振り返り、その表情を伺いながら歩速を緩めていた。
少女は顔を若干赤らめ、口では怒っているものの満更でもなさそうな表情。
そう、友作達は傍から見たらいじめ以外の何物でもないが、この少女とは仲が悪くなかった。
つまらない登下校に一輪の華とまでは言わないが、一つの遊び道具を見出していたのだ。
そしてそれは、恐らくこの少女も同じ。
この少女はこんななりと、知的障害者扱いで同学年に友達等いなかった筈なのだ。
むしろ本物の、陰湿なイジメに合いながらもいつも一人気丈に振る舞いながら日々を寂しそうに過ごしていた。
「友作ぅーー!!」
「うぇ!?」
「うわ、やべぇ! 友作がキャベツに捕まったぁ!」
「友作も脱げぇー」
「あ、ちょっ!」
友作はキャベツ女の以外に強い力とそのガタイに捕まり、自分がそうしたようにズボンを脱がされた。
その姿を嬉しそうに見て笑う少女が、友作のパンツに手を掛けた所で仲間がキャベツ女のランドセルに突進する。
倒れるキャベツ女、逃げる男子陣。
それをまた追いかけるキャベツ少女。
そう、こんな日々が、当時の自分には大切な思い出などとは思えなかったのだ。
大人になって、いつから自分は自分を変えてしまったのか。
それが普通か、それとも変わらない事が本当の幸せか。
その答えは30年たった今の友作にも分からない。
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる