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13話 進みゆく時間
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嘘だ、嘘だ、そんな訳がない。
植え込みを一気に飛び越え、元々の身体能力を総動員させて公園から県道へと走る友作。
その間も友作の脳裏には、最初の歴史の否定と三河の笑顔が繰り返し過ぎっていた。
「やめろ、やめてくれ……そんな走馬灯みたいなの!」
そんな筈はないと何度も自分に言い聞かせる。
元々の歴史で三河が死ぬ事等はなかった。
次の歴史で三河が死んだのは、友作自身が未来の記憶に振り回され、そんな些細な結果に招かれた本来とは違う歴史の筈なのだ。
だがもしそれがどこかで狂ってしまっているとしたら?
どうあっても三河さゆりは今回の歴史で死ななければならないとしたら?
友作の頭は冷静さを欠いてぐちゃぐちゃだった。
「くそ、くそ、くそぉぉっ!! さゆりぃ!!」
「わぁ、ど、どうしたの友君!?」
「ほわぁっ」
県道の角から突然現れた三河さゆりの姿に、友作の思考と運動は同時に停止する。
「さ、さゆ?」
「う、うん。何か今凄い叫んでなかった?」
居るはずのない少女。
否、それは居なければならない少女。
ニ度目の安堵が友作の胸に広がり、目の前の少女を無性に抱きしめたくなった。
そんな気持ちを必死に抑え、自分の勘違いだった事を理解する。
「ね、大丈夫? 友君、そんなに私が――」
「さゆり、危ない!」
ふと眼前の県道を走るトラックが目に入り、反射的に友作は三河の手を取りその身体を引き寄せていた。
「わぁっ!?」
トラックは何事も無かったかのように県道を走り抜ける。
歴史は既に変わっていたのか。
三河が元々死ぬ事のない歴史へ。
それでも過剰に反応してしまうのは、友作の記憶には確かにあの時の悲惨な状況が残っているからだ。
「……どんだけトラウマになってんだよ、俺は」
「ゆ、ゆぅ君……は、恥ずかしぃよ、そ、それは、さ、さすがに」
「あ、あ! あ、わ! ごごごめん!!」
自分が今三河の身体を強引に引き寄せ、抱きとめていた事を思い出して恥ずかしさと背徳感が友作の思考回路を麻痺させる。
「おおぉお! お熱いねぇ!! お二人ぃ! そんなとこじゃ目立つぜぇ」
「ヒューヒュー! カップル誕生! おめでとうぉ!」
「あ、ば、ばかや、ろ……」
気付けばそんな友作と三河の抱き合う姿を背後から眺めていた宏と大地は、今見たもののを気恥ずかしさを誤魔化すように二人を茶化し戯けて見せていた。
だが恥ずかしさの上では友作、三河さゆりも同様だ。
今まで友作にふざけてちょっかいを掛けていた三河ですら、今は顔を真っ赤にさせて俯き、何を言ったらいいか分からないと言った様子で膠着していた。
「こ、これは! ど、道路が危なかったから、車が」
「「車ぁー?」」
動揺した友作の言い訳に、更に輪を掛け煽る二人の男子。
「こ、この、覗き見してんじゃねぇー!」
「お前が叫んで走ってんたんだろー! さゆりー! ってなぁ!」
「さゆりぃ!!」
「おまえらぁーー!!」
限界まで友作を茶化して公園へと走り出す宏と大地。
それを思わず追いかけようとして、友作は安堵からか、ふっと笑みが溢れていた。
「行こ、さゆ」
「あ……うん!」
赤らめた顔のまま、それでも微笑む三河のそれは、嘘の欠片もない純粋無垢な笑顔だった。
歴史は動く。
それは確かに間違いない。
これは間違いなくやり直しなのだと、友作は確かな手応えを感じこの今を、さゆりの柔らかな手の感触と共に心で噛み締めていた。
植え込みを一気に飛び越え、元々の身体能力を総動員させて公園から県道へと走る友作。
その間も友作の脳裏には、最初の歴史の否定と三河の笑顔が繰り返し過ぎっていた。
「やめろ、やめてくれ……そんな走馬灯みたいなの!」
そんな筈はないと何度も自分に言い聞かせる。
元々の歴史で三河が死ぬ事等はなかった。
次の歴史で三河が死んだのは、友作自身が未来の記憶に振り回され、そんな些細な結果に招かれた本来とは違う歴史の筈なのだ。
だがもしそれがどこかで狂ってしまっているとしたら?
どうあっても三河さゆりは今回の歴史で死ななければならないとしたら?
友作の頭は冷静さを欠いてぐちゃぐちゃだった。
「くそ、くそ、くそぉぉっ!! さゆりぃ!!」
「わぁ、ど、どうしたの友君!?」
「ほわぁっ」
県道の角から突然現れた三河さゆりの姿に、友作の思考と運動は同時に停止する。
「さ、さゆ?」
「う、うん。何か今凄い叫んでなかった?」
居るはずのない少女。
否、それは居なければならない少女。
ニ度目の安堵が友作の胸に広がり、目の前の少女を無性に抱きしめたくなった。
そんな気持ちを必死に抑え、自分の勘違いだった事を理解する。
「ね、大丈夫? 友君、そんなに私が――」
「さゆり、危ない!」
ふと眼前の県道を走るトラックが目に入り、反射的に友作は三河の手を取りその身体を引き寄せていた。
「わぁっ!?」
トラックは何事も無かったかのように県道を走り抜ける。
歴史は既に変わっていたのか。
三河が元々死ぬ事のない歴史へ。
それでも過剰に反応してしまうのは、友作の記憶には確かにあの時の悲惨な状況が残っているからだ。
「……どんだけトラウマになってんだよ、俺は」
「ゆ、ゆぅ君……は、恥ずかしぃよ、そ、それは、さ、さすがに」
「あ、あ! あ、わ! ごごごめん!!」
自分が今三河の身体を強引に引き寄せ、抱きとめていた事を思い出して恥ずかしさと背徳感が友作の思考回路を麻痺させる。
「おおぉお! お熱いねぇ!! お二人ぃ! そんなとこじゃ目立つぜぇ」
「ヒューヒュー! カップル誕生! おめでとうぉ!」
「あ、ば、ばかや、ろ……」
気付けばそんな友作と三河の抱き合う姿を背後から眺めていた宏と大地は、今見たもののを気恥ずかしさを誤魔化すように二人を茶化し戯けて見せていた。
だが恥ずかしさの上では友作、三河さゆりも同様だ。
今まで友作にふざけてちょっかいを掛けていた三河ですら、今は顔を真っ赤にさせて俯き、何を言ったらいいか分からないと言った様子で膠着していた。
「こ、これは! ど、道路が危なかったから、車が」
「「車ぁー?」」
動揺した友作の言い訳に、更に輪を掛け煽る二人の男子。
「こ、この、覗き見してんじゃねぇー!」
「お前が叫んで走ってんたんだろー! さゆりー! ってなぁ!」
「さゆりぃ!!」
「おまえらぁーー!!」
限界まで友作を茶化して公園へと走り出す宏と大地。
それを思わず追いかけようとして、友作は安堵からか、ふっと笑みが溢れていた。
「行こ、さゆ」
「あ……うん!」
赤らめた顔のまま、それでも微笑む三河のそれは、嘘の欠片もない純粋無垢な笑顔だった。
歴史は動く。
それは確かに間違いない。
これは間違いなくやり直しなのだと、友作は確かな手応えを感じこの今を、さゆりの柔らかな手の感触と共に心で噛み締めていた。
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