町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

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閑話 ハーシーの過去と闇の芽

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ハーシーの過去と闇の芽

ハーシー・モートンの謹慎期間が終わり、王立聖都ヴァルシア学院に復帰する日が訪れた。ルシアン・ヴァルドールとセリア・フィオーレ、特待生クラスの仲間たちは、彼の動向に警戒を強める。ハーシーの瞳には、かつての傲慢さに加え、深い憎悪と不気味な暗さが宿っていた。学院の廊下でルシアンとすれ違う際、彼は低く呟く。「ヴァルドール‥お前も、セリアも、必ず後悔させてやる」その言葉には、単なる嫉妬を超えた異様な執念が感じられる。
ルシアンはハーシーの変化に違和感を覚えた。


ハーシーの少年時代 

冷たい父と孤独な日々

ハーシー・モートンは、ヴァルシア王国の宗教界を牛耳るモートン枢機卿の長男として生まれた。モートン家は表向きは国王レオニス・ヴァルシアに忠実な貴族だが、禁断の魔術を研究していた。ハーシーの母は彼が幼い頃に謎の病で亡くなり、枢機卿は息子に冷淡だった。「お前はモートン家の名を継ぐ者だ。弱さは許されん」と繰り返し、愛情らしいものを一切与えなかった。

ハーシーは幼少期、王都ルミエールの豪華な屋敷で孤独に育った。使用人たちは枢機卿の威光を恐れ、ハーシーに心から寄り添う者は誰もいなかった。唯一の救いは、フィオーレ男爵家の令嬢セリアとの婚約だった。8歳の頃、セリアの明るい笑顔と優しさに、ハーシーは初めて心の温もりを感じた。彼女の両親もハーシーを我が子のように可愛がり、彼にとってフィオーレ家は唯一の「家族」のような存在だった。

しかし、セリアが8歳の時に魔獣の襲撃で両親を失い、右頬に魔素の傷を負った。ハーシーはショックを受け、セリアを支えようとしたが、枢機卿は冷たく命じる。「傷物の娘に価値はない。婚約を破棄した」ハーシーは抗ったが、父の威圧と「モートン家の名誉」の重圧に屈し、セリアを突き放した。この決断はハーシーの心に深い傷を残し、セリアへの愛情は歪んだ執着へと変わっていった。

魔王の囁きと憎悪の増幅

ハーシーが12歳の頃、枢機卿は息子を秘密の儀式に連れ出した。モートン家の地下に隠された祭壇で、黒い水晶が不気味な光を放っていた。枢機卿はハーシーに告げる。「我が家は魔王の意志を継ぐ者。お前はその器となる定めだ」ハーシーは恐怖と混乱に震えたが、父の命令に逆らえず、水晶に触れる。すると、頭の中に暗い囁きが響く。「力こそ全て。弱者を支配し、敵を滅ぼせ」この日から、ハーシーの心は少しずつ闇に侵されていった。

学院に入学したハーシーは、セリアが再び現れたことで過去の罪悪感と執着が蘇る。彼女がルシアンと親しくする姿を見て、嫉妬と憎悪が爆発。黒い水晶の囁きはさらに強くなり、「セリアは私のもの」「ヴァルドール家は敵」と彼を煽る。謹慎中のハーシーは、ルシアンとセリアへの復讐を誓う。その憎悪は、魔王の残滓が求める「完璧な器」として彼をさらに蝕んでいった。

モートン枢機卿の企み

モートン枢機卿は、ハーシーの憎悪を意図的に育てていた。魔王の魂の残滓は、強い負の感情を持つ者に宿りやすい。枢機卿はハーシーを「器」として完成させるため、セリアやルシアンを利用して彼の心をさらに歪ませる計画を進めていた。表向きは国王に忠実な聖職者として振る舞いながら、裏では魔王復活の儀式の準備を着々と進めていた。ルシアンの父ギデオンが魔王を討った英雄であることを知る枢機卿は、ヴァルドール家を潰すことで魔王の復讐を果たそうとも画策する。
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