セディ、君と生きよう

明方夜子

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3.言えない秘密 ※

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 ウィルの一日は決まったリズムで進んでいく。

 起床し用を足すと、顔を洗って水を一杯飲んでから着替えて家中の窓を開ける。住人の家を一軒ずつ周って挨拶を交わし、帰宅して朝食をとった後、庭の小さな畑へ出る。

 そんな、いつもと変わらない朝を送ろうとしたウィルだったが、今朝は早々に頓挫していた。家中の窓を開けてなお、勃起が治まらないのだ。

「参ったな……」

 体温も普段より少し高い気がする。全身がぴりぴりとして、胸も――乳首さえも固く芯を持っていた。
 それだけではない。あまり意識したくないが、人に言えない場所が疼いてもいた。

 ウィルの唯一の秘密。亡くなった妻だけに明かした、誰にも言えない密事だ。

 自分の家なのに足音を消し、寝室へ近づく。
 そっと扉を開けると、中はいまだ静まり返っていた。この部屋だけは窓も閉じたままだから、室内は薄暗い。
 ベッドの側まで近づけば、男、セドリックは変わらず穏やかな寝息を立てていた。よく見れば、額には汗が浮いている。

 首にひっかけたタオルを取りその汗を拭いてやりながら、ウィルはそっと視線をずらした。力強く毛布を押し上げる、セドリックの股間へ。

 ごくりと喉が鳴る。心臓がどくどくと脈打つのが聞こえるようで、ウィルは何度か頭を振った後、深く呼吸をしながらベッドへ乗り上げた。

「お前も、これじゃ苦しいよな」

 言い訳じみた台詞を自分に言い聞かせる。これから己がなさんとすることが倫理に反していると、分かっていた。

 本当ならしてはいけない。するべきではない。
 本来のウィルは常識的で規律に準じる、生真面目な男のはずだ。けれど、頭が熱に浮かされたようで、腹の底から湧き起こる衝動を抑えきれない。
 毛布を足元まで捲り、ウィルが彼の左腿を跨いでも、男に起きる気配は無い。

 はー、はー、と己の吐く息が獣じみている。
 ウィルは無意識に唇を舐めると、セドリックの下着の紐へ指をかけた。しゅるりと解き、両手でゆっくりと下着をずらしていく。
 屹立を刺激しないように穿き口をそっと持ち上げれば、ぶるん、と勢いよく陰茎が飛び出してきた。
 同時にむせ返るような雄の匂いが鼻腔に届き、頭がくらむ。

「すごいな、お前……」

 語りかけたのはセドリックにではない。彼の陰茎にだ。
 体格に見合った、いや、それ以上の太さに長さ。
 張り出した裏筋から雁首までのラインは威風堂々として、矢印にも似たきつい段差に目が吸い寄せられる。
 剛直と呼んでも差し支えのない一物だ。
 蛇が這うかのごとく浮き出た血管も良い。これだけのものを持っているのにあまり使い込んでいないのか、色がうぶなのもまたそそられる。

 ウィルは己の下穿きをずらすと、取り出した自身の陰茎を彼のそれと見比べた。
 若い頃より控えめなサイズになったとはいえ、この年齢としては平均的な大きさのはずだ。
 けれど、セドリックのものと比べれば大人と子供の差、とは言い過ぎだろうか。

 久しぶりに目の当たりにした他人の性器だ。しかも、格が違う。
 興奮に息を荒げたまま、おそるおそる手を伸ばす。太い幹を指先でそっとなぞると、男の体がびくりと震えた。
 思わず手を引いて、誰にともなくごめん、と呟く。

「ごめんな、驚いたよな。ちゃんと、するから……」

 眠ったままの相手に詫び、ウィルは身を屈めた。右手で幹を握り、先端に顔を近づける。
 昨日は下着の中まで拭いてやれなかったし、当然しばらく体を洗えてなどいないのだろう。
 むわあ、とした濃すぎる匂いに一瞬むせそうになるが、堪えて鈴口へ唇を寄せた。
 ぷくりと浮き出た透明な粒へ舌先を伸ばす。
 ちろ、と舐めると、塩辛い味がした。途端、ぞくりと背に痺れが走る。

 男はウィルが触れるたびにびくびくと反応するが、一向に目を覚ます様子はない。それに励まされ、ウィルは次第に動きを大胆にしていった。
 太い幹を上下しながら、先端をれろれろと舐め回す。くびれの部分には汚れが溜まっていたが、それすらも舐め取ってやった。嫌悪感がまるで無いのが不思議だ。
 裏筋を辿って根本まで舌を這わせ、付け根のあたりで深く息を吸い込む。脳天まで突き抜けるような雄の匂いを肺に充満させ、重たくぶら下がる双球を片方ずつ口に含み、転がした。

 セドリックの呼吸が荒くなる。指先がぴくりと動き、脚もじり、と動きはするが、それ以上の反応はなかった。
 黒い茂みに鼻を埋め、縮れた毛に頬ずりをする。根本から先端まで横笛を吹くようにして舐め上げてから一気に腔内へ呑み込むと、男のものがいっそう力強く漲るのが分かった。

「ん……っ、ぶっ、んぐ、ぅ……」

 濁った音が鼻から漏れる。セドリックの陰茎は長く、喉奥まで当てても、まだ根本を握ることができた。
 唾液が次から次に溢れ出る。ウィルは歯を当てないよう慎重に頭を前後させながら、舌の上を滑る陰茎の感触にうっとりと目を閉じた。

 弾力があって、ごつごつしている。しょっぱくて、苦い。
 忘れかけていた味だ。
 若い時分、無理に咥えさせられた時は吐いてしまうこともあったのに。なぜだろう、セドリックのものはどこか旨味がある。

 もっと欲しい。そう思ってきつく吸い上げると、低く呻くような声が耳に届いた。
 気がついただろうかと上目に顔を見るが、瞼は閉じている。男の体を流れる魔力は昨晩に比べずいぶん回復しているが、蓄積した疲労が彼の覚醒を遅らせているのかもしれない。

 もしいま目を覚ましたら殴られて当然だ。
 それだけのことをしていると分かっているのに、ウィルは知らず、セドリックの脚へ尻のあわいを擦り付けていた。丸太のように太く、黒い毛の生えた脚へ。

 初め控えめだった動きは次第に大胆になり、かくかくと腰を前後に振り始めてしまう始末だ。
 触っていない己の陰茎が動きに合わせてぶるぶると揺れている。先端から溢れた先走りがセドリックの腿を濡らしていることに、ウィルは気づいていなかった。

 いきり勃った陰茎を咥えたまま、恥じらいも建前も捨てて会陰を、窄まりを擦り付ける。快感に支配され、ウィルは目に涙を浮かべていた。

 後ろがひくついているのがわかる。もう何年も自分で慰めるだけだったそこが、雄の威容を見せつけられて悦んでいる。
 ウィルは左手でセドリックの根本を握り直すと、右の指を己の胸元へ伸ばした。もうずっと、痛いほど疼いているそこを服の上からそっと撫でる。

「んんっ」

 たったそれだけで背筋が震えた。指の腹ですりすりと擦り、乳輪をくるりと撫で回す。
 鼻息を荒くしながら自分を焦らしつつ、口の中では男の陰茎へ舌を絡みつかせていた。
 深く呑み込み、舌と頬で扱き上げながら先端まで吸い上げる。雁首をちろちろと可愛がってやりながら己の胸をぴんぴんと弾くと、腹の奥がぎゅううと収縮した。

「ふっ、ン、う、んっ」

 胸の先端を指先でかりかりと掻きながら尻を擦り付け、男の陰茎を舐めしゃぶる。およそ尋常でない行いに陶酔しながら、ウィルは一際強くセドリックのものを吸い上げた。
 途端、強い力で後頭部を押さえつけられる。え、と思う暇もなく、喉奥へ先端が叩きつけられた。

「んごぉっ!」

 それまでとは比べ物にならない勢いで真下から突き上げられる。ウィルは状況が理解できないまま必死で喉を開き、両手をシーツについて体を支えねばならなかった。

「おっ、ぶっ、んぐっ、うっ、んごっ」

 遠慮のない打ち付けに、鼻からも喉からも濁った音が漏れる。
 歯が当たっても構わず抜き差しされる陰茎に涙と鼻水を垂れ流していると、ふいに耳の裏をすり、と撫でられた。

 固い指先が皮膚を辿る。それだけで全身を電流が通り抜けたかのような痺れが走り、気づけばウィルはがくがくと震えながら達していた。
 射精をした感覚は無い。ただ、きゅううと孔が収縮し、全身が柔らかい棘に包まれたようにぞわりとする。

 深い快感に気を失いかけたウィルだが、間髪入れず喉奥を突かれて覚醒する。頭を押さえられ逃げることも休むこともできない。
 口の中を乱暴に犯されて苦しいのに、達したばかりの体は快楽を追って腰を振ってしまう。
 射精で味わうものとは違う長引く絶頂感に支配されながら、ウィルは夢中で男のものを愛撫した。

 男の息も相当に荒い。絶頂が近いのだろうか。早く飲ませてほしい。この男の、セドリックの種を自分の一部にしてしまいたい。
 説明のつかない衝動に突き動かされるようにして、頬をすぼめ、口唇に力を込め、他人に見せられない顔で男に奉仕する。

 固い雄が、口の中でびきびきと筋を浮かせる。いっそう強く吸い上げると、男が息を詰めたのがわかった。次の瞬間、喉奥に熱いものが叩きつけられる。
 反射的に呑み込んだそれが胃の腑に落ちていくことに不思議な満足感を覚えながら、ウィルはじゅるじゅるとはしたない音を立てて男の精を啜り続けた。

 そうしてどれくらい経っただろう。時間にすれば僅かな間だったかもしれない。
 残滓まで呑み込んだウィルがようやく陰茎から唇を離した時には、部屋の中には淫靡な匂いが充満していた。

「は、あ……」

 ぼやける思考のままに男を見やる。
 彼の手は確かにウィルの頭を押さえていたのに、いつのまにか元通り四肢を投げ出し、目を閉じていた。

「セドリック?」

 名を呼ぶが、反応は無い。気を失っているかのように、呼吸も静かだ。
 見下ろせば、彼の股間もウィルのものもくったりと萎えている。周囲には唾液と淫液、そしてウィルの吐き出した白濁が散っていた。

「ひどいな……」

 呟くと、次第に意識がはっきりとしてくる。
 ウィルは緩慢な動きでベッドから降りると、汗と淫液に汚れた服と下着を脱いで風呂場へ向かった。ぬるい水で体を流して着替えると、二階へ上がる。
 義父の遺した衣装箱から状態の良い服を取り出し、濡らしたタオルを手に寝室へ戻った。

 セドリックの股間を拭き、下着を脱がして服を着せてやる。替えの下着は彼に合うサイズが無く申し訳ないが、勘弁してもらいたい。
 固く引き締まった彼の体を見下ろしながら、改めてとんでもないことをしてしまったと自覚する。途中、彼が覚醒したのは本能的なものだろうか。

 反省しているのに、気を抜けばまたいやらしい気分になりそうだ。魔力の相性が良いからといって、ここまで発情してしまうのだろうか。

 あんなに性欲を覚えたのは久しぶりだ。いや、初めてかもしれない。
 若い頃、騎士団の見習いだった時期に無理やり覚えさせられた男の味。同じ目に遭った仲間は日に日にやつれていったが、ウィルは自分の体がすぐさまその状況に馴染んだことに戸惑った。乱暴な行為は初め痛みを伴ったが、準備さえすれば次第に快感を拾えるようにもなっていったからだ。

 男女が結ばれ子を成すことが当然の価値観の中で生きてきて、それまで女性に恋をしたことは無くとも、自分が奥手なだけだと思いこんでいた。
 だから、公衆浴場で逞しい男の体に目がいくのも、見習いの仲間に肩を組まれて胸が震えるのも、ただの憧れだと信じていたのだ。まさか、同性に欲情していただけだったなんて。

 自覚をすれば恐ろしく、晴れて団員へ昇格してからは一切の性的な誘いを断った。
 鍛錬に打ち込み、苦手な魔法もわずかながら習得し、さあこれからというところで膝をやられ、町へ戻ったという経緯がある。

 縁があって結ばれた妻にだけは何度目かの夜に告白し、優しく抱きしめてもらったことが忘れられない。義父や町の人間からは子を作らないのかとせかされることは何度もあったが、それとなくかわしているうちに誰も何も言わなくなった。

 性欲を発散する相手が居ないことは若いウィルにとって歯がゆい場面もあったが、月日が経てばそれが当たり前になる。
 あとは老いるのを待つだけ、という時になって、こんな相性の良い男が目の前に現れるとは、誰が予想できただろう。

 ウィルは大柄なセドリックをどうにか着替えさせると、足元で丸まっていた毛布を胸までかけてやり、寝室を出た。
 いつもよりだいぶ遅くなってしまったが、町の見回りに行かねばならない。昨夜の豪雨でどこかの屋根が崩れていなければいいのだが。

 玄関を開けると、強い日差しが目を灼いた。軒先に引っ掛けていた帽子を被り、ウィルは乾いたばかりの地面に足を踏み出した。
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