晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ

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1>>追放





「……ロッド公爵令嬢、ここが国境になります……」

 声からも戸惑いが伝わる。
 出された命令を実行するしかない騎士は心底申し訳なさそうに豪華な馬車から支えもなく降りてきた令嬢を見て言った。

 ロッド公爵令嬢と呼ばれた女性はきらびやかな豪華なドレスと宝石を身に着けたままの姿で真っ暗な森の中に足を下ろした。
 全くその場所に似つかわしくない、いるべきでは無い姿で人里離れた森の中で凛と立つロッド公爵令嬢ことリネットは、自分をここまで運んできてくれた騎士達に完璧なカーテシーをしてお礼を述べる。

「ここまで運んで来て下さった事に感謝いたします」

 そう言って何事もなさそうに微笑んだ令嬢に騎士の方が心底戸惑う。

「……この先は隣国への国境も遠い、隣国と我が国の狭間の土地となります。我らはこの先へは行けません。

 …………本当に行かれるのですか?」

 騎士としては間違っているが、人として言わずには居られなかったのだろう言葉を口にした騎士に、令嬢は少しだけ驚いた目をして直ぐに柔らかくその目を細めて微笑んだ。

「わたくしは第一王子殿下より国外追放を言い渡された身です。その命に従うまで。
 皆様もどうか、この身はお気になさらずにお仕事にお戻りくださいませ」

 そう言って頭を下げる令嬢にそれ以上何も言えなくなった騎士たちは、乗ってきた馬車に乗り込んで後ろ髪を引かれながらもその場に令嬢だけを残して来た道を戻って行った。

 そろそろ夜が明けるのだろう。
 しらんできた空の下で場違いな姿をした令嬢が誰もいなくなった森の中で笑う。

「これでやっと自由だわ」

 伸びをする様に上に伸ばした両腕を左右に大きく広げたリネットは心底楽しそうな笑顔で来た道の先に目を向けた。

「さようなら、私が生まれた国。
 私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」

 そう嬉しそうに呟いたリネットが手を振ると小さな光がサラリと舞った。

 ニコリとリネットが笑い、くるりとその場で踊るように回る。

 揺れる空気だけを残して、リネットは消えた。



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