晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ

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3>>婚約者より愛した女性


「ギル様。大変でしたわね。

 ……わたくし、お姉様が居なくなってやっと安らかに眠る事が出来たのですよ。
 これも全てギル様のおかげです。ありがとうございます。

 わたくしが出来るお礼なんて、クッキーを作る事しか出来ませんが……ギル様の事を思って心から作りましたの。
 どうぞ召し上がって下さいな……」

 恥ずかしそうに頬を染めたフリーネ・ロッドが微笑みながら差し出したクッキーをギルベルトは1枚食べた。

「……いつものように美味しいよ」

「ふふ♪ ありがとうございます」

 照れ笑いするフリーネは可愛い。
 ギルベルトは今までと変わらずにフリーネを見ていた筈だった。

 追放した元婚約者の義妹であるフリーネ・ロッド。義姉に虐げられ、殺されそうになったギルベルトの最愛の女性。婚約者よりも好きになってしまった心優しき聖女の様な女性。
 彼女を泣かせる義姉であるリネットが許せなかった。自分の婚約者がこんな心が狭く悪質な事に嫌悪した。いくら婚約が政略であってもこんな女を伴侶にしたくなかった。リネットなんかよりフリーネと一緒になりたいと思った。だけど両親である国王や王妃はそれを許さなかった。
 庶子であるフリーネは駄目だと言われた。同じ公爵家の令嬢なのにそんな些細な事でリネットなんかを大事な息子と結婚させようとする親に失望もした。そんな事を言っている内にフリーネがリネットに殺されそうになった。親の承諾を待っている時間は無い。親以外の味方をつけて、リネットを追い出す事でフリーネを自分の婚約者として世間に認めさせようと思った。
 全てが上手く行った。
 悪女であるリネットは居なくなった。
 両親が帰ってきたらフリーネを紹介して正式な婚約者としてもらう。

 何も問題ない。
 何も間違ってない。

 だけど何かがおかしい……

 自分の前で微笑んでいるフリーネに卒業式の日にまで感じていた、常に側に置いて触れていたいと願うほどの渇望を一切感じていない。自分の何も揺るぐ事の無い平静とした心情に、ギルベルトは静かに混乱していた。



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