晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ

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6>>疑念




「お、お父様!? わたくしはお義姉様に殺されかけたのですよ!? なぜ今更そんな事を言い出すのですか!?」

 遂に泣き出したフリーネにロッド公爵は悲しげに顔を歪めて目を閉じた。

「……お前が毒を飲まされ、その毒の解毒薬をお前の母であるセリーが直ぐに飲ませる事が出来てお前は無事に難を逃れた……。当時はその事を心から喜び、大切なフリーネを殺そうとしたリネットを憎んだ……。
 だが今、冷静になって思い返してみると、お茶の席を用意出来た事、その席にはリネットを嫌っているメイドしかいなかった事、その場にリネット本人は居なかった事、セリーが直ぐに解毒薬を用意出来た事……全てに違和感が残るんだよ……。
 騒ぎの時、私はリネットが嘘を言っていると思ってまともに話を聞かなかったがリネットはこう言っていたんだ。
『わたくしは知りません。この家に居場所の無いわたくしに、何が出来ると言うのですか?』と。
 居場所が無いなどと訳の分からない事を言って話をはぐらかし、罪を隠蔽しようとしているのだと思ったが、もしリネットの言葉が事実なのだとしたら……お茶の席を用意したのは誰なんだろうな……」

 濃い疑いの色を浮かべた目でロッド公爵に見つめられたフリーネは顔を青くしてただただ否定するように首を横に振った。

「そ、そんな事知りません! わたくしは毒を飲まされたのです! あのお茶の席にはお義姉様から呼ばれたから行ったのです! 信じてください! こんな風に疑われる事こそお義姉様の策略ですわ! それ程にわたくしはお義姉様に憎まれていたのですね!? ただ母が違うというだけで同じ父の血を引いているのにっ! お義姉様は自分だけが裁かれるのを良しとせず、わたくしをも嘘の罪を着せて皆から嫌われるようにしているのです!! わたくしは何もしていないのにっ!! 
 あぁ! ギル様助けて! わたくし怖いのっ!!」

 自分の体を抱きしめて悲痛に泣きじゃくる顔でフリーネはギルベルトを見る。彼が直ぐに抱きしめてくれると疑いもなくフリーネはギルベルトを見た。

 しかしギルベルトはフリーネを見もしなかった。
 ただ俯き、一点を見つめているギルベルトにフリーネは驚き目を見開く。その目から数滴の涙が流れた後、止まった事を国王は静かに見ていた。

「ぎ、ギル様……?」

 おずおずとフリーネがギルベルトに声をかける。
 しかしギルベルトはフリーネを見ない。
 フリーネは横にいる側近たちを見た。
 皆、卒業式の日までフリーネを囲んで楽しく笑いあい、フリーネを愛おしそうに見てくれていた男たちだ。
 侯爵令息のマムリム。騎士団総長の息子のクリオン。辺境伯の息子のゼゼオ。
 3人ともフリーネを守ると誓ってくれた男たちだ。ギルベルトの妻になった後もずっと側にいるよと声をかけてくれたのに……。
 その全員が、今一番助けを求めている時に見向きもしてくれない。その事にフリーネは心底驚愕していた。

「……数日前に突如として異変が起きた」

 国王は静かに話し出した。

「必要な時に必要な薬を使う。それが人道に反していたとしても、それが国の為になるのであれば必要な処置として許される」

「……?」

 フリーネは国王が何を言い出したのか分からなかった。

「悪事を働く者、害になる者、将来災いになる事……、それらを事前に知る事や行動を把握する事も民を守る我らの仕事だ。
 その為ならば世に禁止されている物も使おう……」

「っ……!」

 国王の言葉にフリーネの顔が僅かに引きつる。それを国王も公爵も見ていた。

「フリーネ・ロッド。
 『魅了薬』を知っているな?」

「っ!!!」

「「「「…………」」」」

 国王の言葉にフリーネは傍目にも分かる程に体を強張らせた。悲鳴は上げなかったが、自分で我慢したというより『声も出ないほど驚いた』という方が正しいだろう。それほどにフリーネは全身で反応した。
 それを気配で感じ取ったギルベルトたちは、卒業式の日以降違和感を感じて薄々気付き始めていた事が当たっていたのだと確信した。




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