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7>>魅了薬
「み、ミリョウヤク……? そ、それはなんですか?
わ、わたくし何の事か…………」
顔を青褪めさせ、唇を震わせながらなんとか否定したフリーネが、周りに救いを求めるように視線を彷徨わせるが、あの日守ると誓ってくれた男たちは誰一人としてフリーネと目を合わせてはくれなった。
「……セリーが私によくお茶を入れてくれた」
公爵は静かに語り出す。
「政略結婚だからと妻を疎かにして、自分を傍目も気にせず慕ってくれる女性に安らぎを求めた……。
セリーから向けられる隠さない好意を信じきり、疲れが取れると言われて出されたお茶を飲んでいた。
……魅了薬は蜂蜜に似た見た目と、甘い味が特徴の様だね。
セリーの出してくれるお茶は甘く……心も体も解してくれる気がしたよ………
君たちもそうじゃなかったかい?」
公爵の問いかけにギルベルトとその側近たちが顔を上げた。
その顔は全員血の気が失せて死人の様だった。
「はい。……フリーネのくれるクッキーはとても甘く、気持ちが楽になりました」
「……何度も食べたくなり……」
「っ、フリーネから貰えて嬉しかった」
「あの甘さだけは苦にならずに食べられました」
4人の男たちはそれぞれに呟いた。
それにフリーネは困惑するように胸の前で祈るように手を握る。
「っ!! ……知りません! わたくしは知りません!!
魅了薬なんてわたくし使ってません! 甘いのは砂糖ですわ! それにただの蜂蜜!! そうです! ただの蜂蜜を使っていただけです!!」
頭を振って否定するフリーネに公爵はポケットから取り出した瓶を見せる。
「っっ!?!」
黄色い液体の入った瓶は光に当たり輝いている様にも見えた。
「フリーネの部屋から持ってきた物だよ。鑑定の結果、魅了薬で間違いないと言われた」
「知りません!! そんなの知りません!!」
「……セリーの部屋からも同じ物が見つかったよ。そして毒入りの瓶もね」
「っ!! っ……お、お義姉様ですわ!? お義姉様がわたくしとお母様の部屋に隠して行ったのです!! わたくしたちは嵌められたのですわ!! 信じてくださいお父様!!」
叫びにも近いフリーネの言葉に公爵はただ悲しそうに眉を下げただけだった。
「邸の皆に話を聞いた。
……フリーネを支持していた者は皆、フリーネが手作りした物を食べた事があると言った」
「っ!!」
「元はリネット付きの者たちも、フリーネに作り過ぎたから食べてと言われて出された物をその場で食べて、その後なんだかリネットが嫌になって持ち場を変えてもらったと言っていた。リネット付きの侍女2人は、フリーネから何度か物を渡されそうになったが、リネットから注意されていたから断っていたと言っていた。……2人とも、違和感を感じていたそうだ。突然フリーネの方が良いと言い出した同僚に何かあると警戒していたと言っていたよ」
「……そんなの酷いわ……わたくしはただみんなにお菓子を食べて貰いたかっただけなのに……」
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