ここは乙女ゲームの世界でわたくしは悪役令嬢。卒業式で断罪される予定だけど……何故わたくしがヒロインを待たなきゃいけないの?

ラララキヲ

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「いいのですわ、ジェイド様。
 所詮しょせんわたくしたちの関係は政略結婚。互いの立場をちゃんと理解し、表向きの関係さえちゃんと取りつくろっていれば、ジェイド様は次期国王なのですもの……寵愛を向ける女性が他に居ても、誰も貴方様を責めたりいたしませんわ……」

「なっ?! 何をっ……?!」

 動揺するジェイド様にわたくしは畳み掛ける。

「わたくしは立場を理解しております。
 ジェイド様の婚約者として、次期国王の伴侶として、貴方様を側から支えることがわたくしの使命。
 ……そこにジェイド様のお心までもを求めるのは、強欲ごうよくが過ぎるというものですものね」

 寂しそうに眉尻を下げて笑ってみせれば、本来は優しく紳士的なジェイド様は、逆に傷付いた様な顔をして唇を噛んだ。

「……そんな事は、ない……

 …………すまなかった……無神経な質問をしたな……」

 そう言って一度言葉を切って目を閉じたジェイド様は、少しだけ大きく息を吐いた後に、目を開けてしっかりとわたくしと目を合わせた。

「私は政略結婚だからと互いの関係を義務的におこなおうなどとは思ってはいない。
 私は……少し貴女を誤解していた様だ……

 キャサリーナ。貴女が嫌でないのなら、これからはもう少し互いに踏み込んだ関係になれるだろうか?」

「まぁ……っ!
 それこそ、こちらからお願いしたい事ですわ!

 ……可愛らしさなどない女ではございますが……ジェイド様に寄り添える様に努力いたしますので、どうぞ、ジェイド様のお側に居る事をお許し下さいませ……」

 うかがう様に、あくまでも控えめに……こんなことを言って許されるのかしら?と怯える幼子の様に、見た目がキツい女のその内面は、とても弱く儚いものだと思われる様に……、わたくしは少し瞳を潤ませてジェイド様を見上げた。
 そんなわたくしを見て、少しだけジェイド様が驚いた様な表情をしてそして少しだけ頬を染めた。

 見た目は百万点の悪役令嬢わたくしの顔ですもの、そのわたくしが『相手の好みに合わせれば』、惚れない訳がないのよね。

「あ、貴女は、私の婚約者なのだ。
 そんなに控えめにならずとも、私と向き合ってくれればいい……」

 照れているのかわたくしから視線をらしたジェイド様に、わたくしは幸せそうに笑って、そして、そんな“素の笑顔”を見せてしまったことを恥じらう様にわたくしもジェイド様から視線をらして顔を下に向けた。

 モジモジと恥じらう女子……

 男性って、好きよね? そういう女。


 『運命で結ばれた女性』が居なくなってしまえば、恋愛特化の乙女ゲームの攻略対象者を落とすことは、案外大したことはないのよね。




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