妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。

ラララキヲ

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23>> ルナリア 

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「……ごめんなさい、お姉様」

 ずっと静かだったルナリアがアリーチェを見ていた。

「ルナリア……」

 サバサが末娘の名を呟く。サバサはルナリアがアリーチェに謝った事に少なからずショックを受けていた。
 そんな母を気にすることなく、ルナリアはアリーチェにツラそうに歪めた表情で視線を向けた。

「わたくし、何も見ていなかったわ。
 お姉様が勉強ばかりしているのも、お庭に顔を出さないのも、遊びに誘っても断られるのも……、全部お姉様の意思だと思っていましたわ。
 わたくし……何も考えていなかったのね……」

「ルナリ……」
 ロッチェンが無意識に言葉を零す。

「あ、貴女が気にする事じゃないわ……っ」
 サバサはルナリアを庇おうとした。

 そんな両親を気にすることなくルナリアはアリーチェに向けて自分の気持ちを伝えた。

「……わたくし、子供の頃はずっとお姉様と遊びたかったの。
 綺麗な花を見つけたらお姉様に持って行って上げたかった……
 でもお母様が……、お姉様は勉強で忙しいから邪魔しちゃいけませんって……、わたくしが何故お姉様と一緒にお菓子を食べてはいけないかお母様に聞いた時も、お姉様は勉強の邪魔をされるのが一番嫌いなのよって言われて……」

 ルナリアに言われてアリーチェは少しだけ驚いた。

「まぁ、お茶に誘ってくれようとしていたの?
 わたくしも一度くらいルナリアと庭でゆっくりお菓子を食べてみたかったわ……
 邪魔になんて思う訳がないじゃない。
 むしろ誘ってもらえるのをずっとずっと待っていたのよ。だってそんな事がない限り、ずっと机に縛り付けられているみたいなものだったもの」

 その言葉にルナリアは母親を睨みつけた。小さい頃に、母が一度でも自分たち姉妹を一緒に遊ばせてくれていたなら、今の二人は違った関係になれただろうと、今の会話だけでもうかがい知れたからだった。
 そんなルナリアの視線にサバサは心が冷え切り青褪める。

「あ、そんな……、わたくしが悪いというの……?」

 酷いわ……、そう言いたそうな母の言葉に、アリーチェは呆れたような声で返した。

「少なくとも、わたくしとルナリアが一緒に遊べなかったのは、わたくしやルナリアが理由ではない、ということですわね」

 何か間違ってます?
 そう言いたそうな娘二人の視線にサバサは血の気の失せた手を合わせて震え、小さく頭を振った。

「わたくしは……わたくしは…………」

 さめざめと泣き出した母親に、ルナリアさえも冷めた視線を向けていた。




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