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16>>家族会議
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姉妹喧嘩を知らされた母が慌てて駆けつけて、騒ぐ姉妹を連れて父の居る執務室へとやって来た。
ドーシュ伯爵家の執務室にて、緊急の家族会議が行われる事となった。
「カリンナ、どうしたの?
貴女らしくないわ」
今までの人生で見た事もない悲しげな顔で妹を見る長女に、母親は心配げに声を掛けた。
「……お母様からもマリリンに言って下さいな。
マリリンにはティオレイド様の婚約者になるのは無理だと……」
「酷いわよ、お姉様!
ティオレイド様をわたくしに取られたくないからってそんな事を言うのね!」
カリンナの言葉にマリリンは瞬時に反論する。だがその言葉にカリンナの方も反論した。
「違うわ! わたくしにはロッシュ様が居るのです、そんな感情はありません!」
「なら邪魔しないでよ!!
わたくしは侯爵夫人になるの!!」
またもや始まった姉妹の言い合いに、母はオロオロとして、父は目を見開いて驚いた。カリンナがこんなに感情を顕にするなど初めてだった。
「だからそれが無理だと言っているのです!!
男爵位の勉強すら碌に出来なかった貴女が!!」
「っ! 今からするわよ!!
ねぇ! お父様! わたくしに立派な家庭教師を付けて下さいますわよね!?」
カリンナの言葉に顔を赤くしたマリリンが反論と共に父に提案した。
姉は直ぐに馬鹿にしてくるが、マリリンはやらないだけで馬鹿ではないのだ、と自分で思っている!
「しかし……、
また投げ出したりするんじゃ」
躊躇する父にマリリンは食い下がった。
「投げ出したりなんてしませんわ!
ティオレイド様の婚約者になるんですもの!!」
そんなマリリンにカリンナは悲しげに眉尻を下げて弱々しくマリリンに伝える。
「勉強だけじゃないわ……、ティオレイド様は新緑の色がお好きなの。
貴女はそんな色、好きじゃないじゃない……
新緑色のドレスなんて……貴女は着れないでしょう?」
哀れみを含んだカリンナの表情にマリリンはただただ腹が立った。
そんな程度の事でっ!!
「それくらい何の問題も無いわよ!!
今はその色を持っていないってだけ!!
ねぇ、お母様! 今から新緑色のドレスを買いに行きましょう!
ねぇ……お願い……っ!!」
マリリンは今度は母に縋って上目遣いでお願いした。
「そうね……ティオレイド様が好きなら、揃えるべきね……」
母は戸惑いながらもマリリンの為にと返事をした。
「やった! なら直ぐにでも行きましょ!!
お父様はわたくしの家庭教師を探して下さいね!
お姉様に何を言われ様とも、わたくしはティオレイド様の婚約者になるんですからっ!!」
怒り顔を直ぐに笑顔に変えたマリリンが母の手を取って執務室を出て行く。
最後にカリンナに勝ち誇った顔を見せてしっかりと宣言した。
姉の言う事など聞かないと。
「あぁ……マリリン……」
部屋を出て行く妹に縋る様な目をして涙を流したカリンナが、この世の終わりかの様に妹の名を呼んだ………
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姉妹喧嘩を知らされた母が慌てて駆けつけて、騒ぐ姉妹を連れて父の居る執務室へとやって来た。
ドーシュ伯爵家の執務室にて、緊急の家族会議が行われる事となった。
「カリンナ、どうしたの?
貴女らしくないわ」
今までの人生で見た事もない悲しげな顔で妹を見る長女に、母親は心配げに声を掛けた。
「……お母様からもマリリンに言って下さいな。
マリリンにはティオレイド様の婚約者になるのは無理だと……」
「酷いわよ、お姉様!
ティオレイド様をわたくしに取られたくないからってそんな事を言うのね!」
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「違うわ! わたくしにはロッシュ様が居るのです、そんな感情はありません!」
「なら邪魔しないでよ!!
わたくしは侯爵夫人になるの!!」
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「だからそれが無理だと言っているのです!!
男爵位の勉強すら碌に出来なかった貴女が!!」
「っ! 今からするわよ!!
ねぇ! お父様! わたくしに立派な家庭教師を付けて下さいますわよね!?」
カリンナの言葉に顔を赤くしたマリリンが反論と共に父に提案した。
姉は直ぐに馬鹿にしてくるが、マリリンはやらないだけで馬鹿ではないのだ、と自分で思っている!
「しかし……、
また投げ出したりするんじゃ」
躊躇する父にマリリンは食い下がった。
「投げ出したりなんてしませんわ!
ティオレイド様の婚約者になるんですもの!!」
そんなマリリンにカリンナは悲しげに眉尻を下げて弱々しくマリリンに伝える。
「勉強だけじゃないわ……、ティオレイド様は新緑の色がお好きなの。
貴女はそんな色、好きじゃないじゃない……
新緑色のドレスなんて……貴女は着れないでしょう?」
哀れみを含んだカリンナの表情にマリリンはただただ腹が立った。
そんな程度の事でっ!!
「それくらい何の問題も無いわよ!!
今はその色を持っていないってだけ!!
ねぇ、お母様! 今から新緑色のドレスを買いに行きましょう!
ねぇ……お願い……っ!!」
マリリンは今度は母に縋って上目遣いでお願いした。
「そうね……ティオレイド様が好きなら、揃えるべきね……」
母は戸惑いながらもマリリンの為にと返事をした。
「やった! なら直ぐにでも行きましょ!!
お父様はわたくしの家庭教師を探して下さいね!
お姉様に何を言われ様とも、わたくしはティオレイド様の婚約者になるんですからっ!!」
怒り顔を直ぐに笑顔に変えたマリリンが母の手を取って執務室を出て行く。
最後にカリンナに勝ち誇った顔を見せてしっかりと宣言した。
姉の言う事など聞かないと。
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