妹はわたくしの物を何でも欲しがる。何でも、わたくしの全てを……そうして妹の元に残るモノはさて、なんでしょう?

ラララキヲ

文字の大きさ
15 / 22

──15──

しおりを挟む
 
 
 
 
 
 全て、全て、と言う言葉がずっと気になっていました。
 『全て』とはどこからどこまでを指すのか。

 1から10まであって、その、1から10までを入れ替えた時、それはだと言えるのでしょうか?
 そんな疑問を持っていたわたくしは自分が消える期待と、もあるのだろうと思っていました。

 ──わたくしの全てを手に入れたベアトリーチェは、わたくしエカテリーナになる──

 答えは……わたくしの予想通りでした。

 『愛するベアトリーチェ』を失ったと気付いた両親が泣き叫んでいますが、そんな両親に悪魔は優しく声を掛けます。

「どうして泣いているんです?
 あなた方とその最愛の娘様が願いを叶えて差し上げたでしょう?」

「こんなことは望んでいない!!
 望む訳がない!!!」
「そうよ!! 娘を返して!!
 わたくしのを返して!!!」

「おかしなことを言うご夫人だ。
 あなたの娘のベアトリーチェ嬢は目の前にいるでしょう?」

 悪魔の言葉にわたくしも続きます。

「えぇ、お母様。わたくしはですわ。

 ベアトリーチェですわ」

 お母様に向かってニッコリと微笑めば、お母様は白くなった顔を更に絶望に染めて悲鳴を上げました。

「違うわ!!!! 違う!!!!
 ベアトリーチェは!? わたくしの娘はっ!! 違うの?! そうじゃっ……! そうじゃないのっ!!!」

 顔を両手で覆って床に頭を付けるようにして母は頭を振りました。違う違うと騒いでも、悪魔はベアトリーチェの願い』を叶えたのです。今更騒いでも……

「おかしいだろう!?!」

 父が叫びます。

「ならはどこに消えた?!
 私の娘だ!! ではない方の娘だ!? 今までそこに居た娘はどこに消えた?!!!」

 悪魔を射殺さんばかりに睨んで父は訴えます。しかしそんな目で見られていても悪魔は涼しい顔で微笑んでいます。

「困ったなぁ。何を言っているのか分からないよ?
 消えた? 消えてはいないだろう?
 消えたのは『望まれなかった姉』の方だ。

 ちゃんとて、

 あなた方の娘様はここにいるじゃないか? 目の前に。
 願い事を理解していなかったのかな?

『全てが欲しい』と、はそう言ったんだ。

 だから『エカテリーナの全てを奪って』、
 彼女は、
 『エカテリーナになった』んだよ」

 子供にさとすように、優しい声で、ゆっくりと語った悪魔の言葉に、父は両目を目一杯に開き、その言葉の意味を受け入れたようでした。

「あ、……そ、そんな………そんな…………」

「違う……、違うの…………ちが……」

 床にへたり込んだ両親が生気の無くなった顔で小さく呟くばかりになってしまいました。

 自分たちのというのに……
 
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

冴えない子爵令嬢の私にドレスですか⁉︎〜男爵様がつくってくれるドレスで隠されていた魅力が引きだされる

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のラーナ・プレスコットは地味で冴えない見た目をしているため、華やかな見た目をした 義妹から見下され、両親からも残念な娘だと傷つく言葉を言われる毎日。 そんなある日、義妹にうつけと評判の男爵との見合い話が舞い込む。 奇行も目立つとうわさのうつけ男爵なんかに嫁ぎたくない義妹のとっさの思いつきで押し付けられたラーナはうつけ男爵のイメージに恐怖を抱きながらうつけ男爵のところへ。 そんなうつけ男爵テオル・グランドールはラーナと対面するといきなり彼女のボディサイズを調べはじめて服まで脱がそうとする。 うわさに違わぬうつけぷりにラーナは赤面する。 しかしテオルはラーナのために得意の服飾づくりでドレスをつくろうとしていただけだった。 テオルは義妹との格差で卑屈になっているラーナにメイクを施して秘められていた彼女の魅力を引きだす。 ラーナもテオルがつくる服で着飾るうちに周りが目を惹くほどの華やかな女性へと変化してゆく。

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

(完)実の妹が私を嵌めようとするので義理の弟と仕返しをしてみます

青空一夏
ファンタジー
題名そのままの内容です。コメディです(多分)

妹は私のものを欲しがるのです・・・。だから私は・・・

かぜかおる
ファンタジー
1話目は妹視点、2話目は姉視点です。 ふんわり設定・・・

私から全てを奪おうとした妹が私の婚約者に惚れ込み、色仕掛けをしたが、事情を知った私の婚約者が、私以上に憤慨し、私のかわりに復讐する話

序盤の村の村人
恋愛
「ちょっと、この部屋は日当たりが悪すぎるわ、そうね、ここの部屋いいじゃない!お姉様の部屋を私が貰うわ。ありがとうお姉様」 私は何も言っていません。しかし、アーデルの声を聞いたメイドは私の部屋の荷物を屋根裏部屋へと運び始めました。「ちょっとアーデル。私は部屋を譲るなんて一言も言ってないです」 「お姉様、それは我が儘すぎるわ。お姉様だけこんな部屋ずるいじゃない」「マリーベル。我が儘は辞めてちょうだい。また部屋を移動させるなんてメイド達が可哀想でしょ」私たちの話を聞いていた義理母のマリアは、そう言うと、メイド達に早くするのよと急かすように言葉をかけました。父の再婚とともに、義理の妹に私の物を奪われる毎日。ついに、アーデルは、マリーベルの婚約者ユーレイルの容姿に惚れ込み、マリーベルから奪おうとするが……。 旧タイトル:妹は、私から全てを奪おうとしたが、私の婚約者には色仕掛けが通用しなかった件について ·すみません、少しエピローグのお話を足しました。楽しんでいただけると嬉しいです。

彼女が微笑むそのときには

橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。 十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。 それから一年後の十六歳になった満月の夜。 魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。 だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。 謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが…… 四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。 長編候補作品

私は私として生きていく

青葉めいこ
ファンタジー
「私は私として生きていく」 あら、よく私がこの修道院にいるとお分かりになりましたね。辺境伯閣下。 ずっと君を捜していた? ふふ、捜していたのは、この体でしょう? 本来姉が宿っているはずの。 「私は私のまま生きていく」 せっかく永らえた命ですもの。 望んでいた未来を絶たれても、誰に愛されなくても、私は私のまま精一杯生きていく。 この体で、この中身の、私は私のまま生きていく――。 この話は「私は私として生きていく」の主人公の姉の一人語りです。 「私は私のために生きていく」 まさかあなたが、この修道院に現れるとは思いませんでしたわ。元婚約者様。 元じゃない。現在(いま)も僕は君の婚約者だ? 何言っているんですか? 婚約は解消されたでしょう? あなたが本当に愛する女性、今は女子爵となった彼女と結婚するために、伯爵令嬢だったわたくしとの婚約を解消したではないですか。お忘れになったんですか? さして過去の事でもないのに忘れたのなら記憶力に問題がありますね。 この話は「私は私のまま生きていく」の主人公と入れ替わっていた伯爵令嬢の一人語りです。「私は私~」シリーズの最終話です。 小説家になろうにも投稿しています。

婚約破棄された私と、仲の良い友人達のお茶会

もふっとしたクリームパン
ファンタジー
国名や主人公たちの名前も決まってないふわっとした世界観です。書きたいとこだけ書きました。一応、ざまぁものですが、厳しいざまぁではないです。誰も不幸にはなりませんのであしからず。本編は女主人公視点です。*前編+中編+後編の三話と、メモ書き+おまけ、で完結。*カクヨム様にも投稿してます。

処理中です...