初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ

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5>>男は考えた

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 コザックは父に叱られた後すぐにリルナを別邸から連れ出した。
 突然の事に慌てながらも不満を募らせるリルナを今だけだからと大人しくさせて人目につかない場所に止めた馬車の中で待機させ、その間に急いで人目に付かない密会などにも使われる宿屋を手配させてリルナをそこに入れた。もっと高級な宿が良いと文句しか言わないリルナに今だけだからとなんとか納得させてコザックはリルナを隠す為の隠れ家を探す様に指示を出した。

 コザックが自分の足で隠れ家を探す訳にもいかない上に今後の事を考えなければいけない。コザック自身の仕事もある。
 コザックは考える必要のなかった事が突然降って湧いた事に苛立った。
 リルナを別邸内に囲えていれば家賃も食費もかからない上にリルナ自身がメイドとして雇われている扱いだった為に給料が出た。しかしそれが全て無くなった上にこれからリルナには侯爵夫人となる為の教育係を付けなければならない。
 侯爵家からのお金も、当然イリーナからの援助も期待できない今、コザック自身が貰えるお金だけでまかなうしか無い。
 蓄えが少ない訳では無いが、“侯爵家夫人レベルの教養を教えられる教育係”が安い訳がない事ぐらいコザックにも想像がつく。3年でいくら使うか予想すら出来ない今、出来るだけ節約していきたいのが心情だ。
 いままでリルナが望むままにプレゼントを買い与えていたがそれも出来なくなりそうだ。しかしそこは3年後の幸せの為に我慢してもらおう。
 贈り物も出来ない上にコザックがリルナの為にずっと側に居て構ってやる事も出来なくなりそうでコザックはその事にも肩を落とした。別邸にリルナを囲っていられれば何時でも会いに行けたのにこれからは頻繁に会う事も出来なくなりそうだ……。

 少し前までリルナも商家の手伝いをしていたのだが、コザックが自分の結婚を機にリルナを別邸付きのナシュド家のメイドにさせていた事が裏目に出てしまった。こんな事ならイリーナと離婚するまではリルナに元の生活をしていてもらえば良かった……。メイドとして侯爵家に入ってもらい、別邸に住んでもらえれば何時でも会えるからと欲を出した事がこんな事になるとは……。しかし現在侯爵家の全ての権限を持っている父親から駄目だと言われてしまえば従うしかない。別邸に匿ったところで逆に不法侵入者だとリルナを排除する理由にされてしまうかもしれない。外に出してしまえば父も手を出しては来ないだろう。


 コザックは侍従に色々指示を出した後、一人になった束の間の休憩時間に今後の事を考えた。

 まず、誰にも見られずにこっそり会いに行ける家を見つけてリルナをそこに住まわせる。
 そして、口の堅い教育係を雇ってリルナに最低限の貴族の教養を3年で身につけさせる。

 ……言われた時は絶望を感じたが、時間は3年もある事を考えると、そんなに難しい事でない気がしてきた。なんだ……これだけの事じゃないか……と、コザックは誰も居ない部屋で安堵の溜め息を吐いた。

「なんだ……そんな事でいいんじゃないか……」

 隠れ家でリルナを教育する。

 それだけなら簡単だと、焦っていた事が馬鹿らしくなってコザックは一人ほくそ笑んだ。



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