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9>>悟った女と気付きもしない男
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ただの平民の女が2つの侯爵家の契約に水をさしたのだ。
それをどれだけコザックのせいだと言ったところで、『断るどころか自らの意思でコザックを受け入れ自ら望んで愛人となった』リルナに責任が無い訳がなかった。リルナは当事者であり、問題を起こした責任を取らなければならない。
リルナがどれだけ無知を盾に言い訳しても、貴族の契約や侯爵家の令嬢を馬鹿にしたツケは払わなければならなかった。
3年。この期間、リルナがどれだけ嫌がったところでこの期間が短くなる事は絶対にない。
白い結婚が終わるまでの3年間をリルナが楽しみに出来たのはその3年間が始まった最初の数日だけだった。
その後はただ地獄が待っていた。
リルナは覚える事も出来ない勉強を強要されてはミスをして叱られ、ダンスの基礎だという動きを強要されては出来ずに叱られ、叱られる度に躾ムチで手の甲を叩かれた。
会いに来たコザックは話も聞いてくれずにただ朝まで獣の様にリルナを抱いた。まともな話し相手も居らず、外出は一切出来ず。両親への手紙も禁止され。
聞かされ続ける言葉は
「これは貴女が望んだ事だから」
だった。
コザックが異変に気付いた時にはもうリルナは貴族令嬢の様に口元に小さな笑みを浮かべているだけの廃人と化していた。
もう侯爵当主の夫人などになりたいなどという気持ちはリルナの中のどこにも存在していなかった。
「……疲れてるのか?」
さすがにリルナの異変に気付いたコザックがソファに座った自分の横に座って貴族の令嬢の様に微笑んでいるリルナの顔を窺いながら聞いた。
リルナは表情を変えずにコザックを見る。
「……いいえ。そんな事はありませんわ」
そんなリルナにコザックは内心『リルナってこんなに静かな子だったっけ?』と思ったが、自分を心配させまいとリルナが健気な嘘をついているんだなと勝手に納得して話の話題を変えた。
「夫人教育は順調か? リルナは商人で手伝いをしていたぐらいだからな、着飾って笑ってるだけでいい貴族夫人の勉強なんてもう覚えてしまっただろ? 難しいのはやっぱり立ち振る舞いとダンスだな。あぁいうのはやはり子供の頃からの積み重ねがかなり影響するんだ。リルナは大雑把な方だから貴族の動きを覚えるのは大変だと思うが俺たちの将来の為に頑張ってくれ。
俺も今は父上の仕事の一つを任されていてな。大変だがリルナの為に頑張っているんだ」
リルナの肩を抱き寄せ、リルナに寄り添うような発言をしている気になっているコザックの言葉をリルナは変わらない表情で聞いていた。
その事に『おや?』とコザックも思わなくはなかったが、抱き寄せたリルナの匂いと柔らかな体に触れるとコザックはどうしてもムラムラとする欲求を抑えられなくなった。
リルナの肩や腕を優しく労るように撫でていた手を徐々にずらしていってもリルナが嫌がる事はない。隠れ家に来てから半年ぐらいは「話を聞いて」と嫌がられた様な気がするが、コザックが甘い声で囁き、優しく抱きしめて体を弄ってやるとリルナは直ぐに嬉しそうに甘い声で鳴いてよがるので、コザックは純粋にリルナが喜んでいるのだと思っている。
今だってリルナはコザックの手を嫌がらない。前はもっと自分の手に力を入れてリルナを宥めていた様な気もするが、今は力を入れずともリルナはコザックに体を委ねる。それが2人の心が深く繋がった親愛の証拠だと、コザックは嬉しくて自然と口元が緩んだ。
「リルナ……愛しているよ……」
愛する2人に言葉なんて要らないのだ。
コザックはリルナと愛を深める為にリルナを抱く。
涙を流して自分に抱かれる事を喜ぶリルナにコザックは幸せを実感する。
ただ身分が違うというだけだ不遇を強いられている2人だが、後2年我慢すれば幸せが掴めるのだとコザックは信じて疑わなかった。
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ただの平民の女が2つの侯爵家の契約に水をさしたのだ。
それをどれだけコザックのせいだと言ったところで、『断るどころか自らの意思でコザックを受け入れ自ら望んで愛人となった』リルナに責任が無い訳がなかった。リルナは当事者であり、問題を起こした責任を取らなければならない。
リルナがどれだけ無知を盾に言い訳しても、貴族の契約や侯爵家の令嬢を馬鹿にしたツケは払わなければならなかった。
3年。この期間、リルナがどれだけ嫌がったところでこの期間が短くなる事は絶対にない。
白い結婚が終わるまでの3年間をリルナが楽しみに出来たのはその3年間が始まった最初の数日だけだった。
その後はただ地獄が待っていた。
リルナは覚える事も出来ない勉強を強要されてはミスをして叱られ、ダンスの基礎だという動きを強要されては出来ずに叱られ、叱られる度に躾ムチで手の甲を叩かれた。
会いに来たコザックは話も聞いてくれずにただ朝まで獣の様にリルナを抱いた。まともな話し相手も居らず、外出は一切出来ず。両親への手紙も禁止され。
聞かされ続ける言葉は
「これは貴女が望んだ事だから」
だった。
コザックが異変に気付いた時にはもうリルナは貴族令嬢の様に口元に小さな笑みを浮かべているだけの廃人と化していた。
もう侯爵当主の夫人などになりたいなどという気持ちはリルナの中のどこにも存在していなかった。
「……疲れてるのか?」
さすがにリルナの異変に気付いたコザックがソファに座った自分の横に座って貴族の令嬢の様に微笑んでいるリルナの顔を窺いながら聞いた。
リルナは表情を変えずにコザックを見る。
「……いいえ。そんな事はありませんわ」
そんなリルナにコザックは内心『リルナってこんなに静かな子だったっけ?』と思ったが、自分を心配させまいとリルナが健気な嘘をついているんだなと勝手に納得して話の話題を変えた。
「夫人教育は順調か? リルナは商人で手伝いをしていたぐらいだからな、着飾って笑ってるだけでいい貴族夫人の勉強なんてもう覚えてしまっただろ? 難しいのはやっぱり立ち振る舞いとダンスだな。あぁいうのはやはり子供の頃からの積み重ねがかなり影響するんだ。リルナは大雑把な方だから貴族の動きを覚えるのは大変だと思うが俺たちの将来の為に頑張ってくれ。
俺も今は父上の仕事の一つを任されていてな。大変だがリルナの為に頑張っているんだ」
リルナの肩を抱き寄せ、リルナに寄り添うような発言をしている気になっているコザックの言葉をリルナは変わらない表情で聞いていた。
その事に『おや?』とコザックも思わなくはなかったが、抱き寄せたリルナの匂いと柔らかな体に触れるとコザックはどうしてもムラムラとする欲求を抑えられなくなった。
リルナの肩や腕を優しく労るように撫でていた手を徐々にずらしていってもリルナが嫌がる事はない。隠れ家に来てから半年ぐらいは「話を聞いて」と嫌がられた様な気がするが、コザックが甘い声で囁き、優しく抱きしめて体を弄ってやるとリルナは直ぐに嬉しそうに甘い声で鳴いてよがるので、コザックは純粋にリルナが喜んでいるのだと思っている。
今だってリルナはコザックの手を嫌がらない。前はもっと自分の手に力を入れてリルナを宥めていた様な気もするが、今は力を入れずともリルナはコザックに体を委ねる。それが2人の心が深く繋がった親愛の証拠だと、コザックは嬉しくて自然と口元が緩んだ。
「リルナ……愛しているよ……」
愛する2人に言葉なんて要らないのだ。
コザックはリルナと愛を深める為にリルナを抱く。
涙を流して自分に抱かれる事を喜ぶリルナにコザックは幸せを実感する。
ただ身分が違うというだけだ不遇を強いられている2人だが、後2年我慢すれば幸せが掴めるのだとコザックは信じて疑わなかった。
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