初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ

文字の大きさ
9 / 34

9>>悟った女と気付きもしない男

しおりを挟む
-



 ただの平民の女が2つの侯爵家の契約に水をさしたのだ。
 それをどれだけコザックのせいだと言ったところで、『断るどころか自らの意思でコザックを受け入れ自ら望んで愛人となった』リルナに責任が無い訳がなかった。リルナは当事者であり、問題を起こした責任を取らなければならない。
 リルナがどれだけ無知を盾に言い訳しても、貴族の契約や侯爵家の令嬢を馬鹿にしたツケは払わなければならなかった。

 3年。この期間、リルナがどれだけ嫌がったところでこの期間が短くなる事は絶対にない。
 白い結婚が終わるまでの3年間をリルナが楽しみに出来たのはそのが始まった最初の数日だけだった。
 その後はただ地獄が待っていた。

 リルナは覚える事も出来ない勉強を強要されてはミスをして叱られ、ダンスの基礎だという動きを強要されては出来ずに叱られ、叱られる度に躾ムチで手の甲を叩かれた。
 会いに来たコザックは話も聞いてくれずにただ朝まで獣の様にリルナを抱いた。まともな話し相手も居らず、外出は一切出来ず。両親への手紙も禁止され。
 聞かされ続ける言葉は
「これは貴女が望んだ事だから」
だった。


 コザックが異変に気付いた時にはもうリルナは貴族令嬢の様に口元に小さな笑みを浮かべているだけの廃人と化していた。
 もう侯爵当主の夫人などになりたいなどという気持ちはリルナの中のどこにも存在していなかった。


「……疲れてるのか?」

 さすがにリルナの異変に気付いたコザックがソファに座った自分の横に座って貴族の令嬢の様に微笑んでいるリルナの顔を窺いながら聞いた。
 リルナは表情を変えずにコザックを見る。

「……いいえ。そんな事はありませんわ」

 そんなリルナにコザックは内心『リルナってこんなに静かな子だったっけ?』と思ったが、自分を心配させまいとリルナが健気な嘘をついているんだなと勝手に納得して話の話題を変えた。

「夫人教育は順調か? リルナは商人で手伝いをしていたぐらいだからな、着飾って笑ってるだけでいい貴族夫人の勉強なんてもう覚えてしまっただろ? 難しいのはやっぱり立ち振る舞いとダンスだな。あぁいうのはやはり子供の頃からの積み重ねがかなり影響するんだ。リルナは大雑把な方だから貴族の動きを覚えるのは大変だと思うが俺たちの将来の為に頑張ってくれ。
 俺も今は父上の仕事の一つを任されていてな。大変だがリルナの為に頑張っているんだ」

 リルナの肩を抱き寄せ、リルナに寄り添うような発言をしている気になっているコザックの言葉をリルナは変わらない表情で聞いていた。
 その事に『おや?』とコザックも思わなくはなかったが、抱き寄せたリルナの匂いと柔らかな体に触れるとコザックはどうしてもムラムラとする欲求を抑えられなくなった。
 リルナの肩や腕を優しく労るように撫でていた手を徐々にずらしていってもリルナが嫌がる事はない。隠れ家に来てから半年ぐらいは「話を聞いて」と嫌がられた様な気がするが、コザックが甘い声で囁き、優しく抱きしめて体を弄ってやるとリルナは直ぐに嬉しそうに甘い声で鳴いてよがるので、コザックは純粋にリルナが喜んでいるのだと思っている。
 今だってリルナはコザックの手を嫌がらない。前はもっと自分の手に力を入れてリルナを宥めていた様な気もするが、今は力を入れずともリルナはコザックに体を委ねる。それが2人の心が深く繋がった親愛の証拠だと、コザックは嬉しくて自然と口元が緩んだ。

「リルナ……愛しているよ……」

 愛する2人に言葉なんて要らないのだ。
 コザックはリルナと愛を深める為にリルナを抱く。
 涙を流して自分に抱かれる事を喜ぶリルナにコザックは幸せを実感する。

 ただ身分が違うというだけだ不遇を強いられている2人だが、後2年我慢すれば幸せが掴めるのだとコザックは信じて疑わなかった。



-
しおりを挟む
感想 153

あなたにおすすめの小説

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。 王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。 貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。 だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。 政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。 しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。 「承知致しました」 夫は二つ返事で承諾した。 私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…! 貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。 私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――… ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

処理中です...