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賢人マーリン・ネ・ベルゼ・マルアハ
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「ヒカリ、それと子供たち。あなたたちも知っておかなきゃいけない。ここにいるこの子のおかげで、あなたたちは今も幸せに暮らせているのだということを。けれどジョジロウはそういうところは変わっていないのでしょう?何があったのか今度ちゃんと聞かせてもらいなさい。」
そう言って、マーリンさんはヒカリさんと子供たちに微笑んだ。僕はジョジロウさんと目を合わせて、マーリンさんが何をどれだけ知っているのか怖くなった。おかげで朝食の味はあまりよくわからない。けれどジョジロウさんの子供たちはその後も元気に沢山食べ、あっという間に料理が空になっていく。
「足りなかったかしらね。僕たち、おかわりは?」
マーリンさんの問いかけに、満足げに笑いながら、子供たちは両手を合わせるとごちそうさまと答えた。
「ミラクーロ様とジョジロウ、ヒカリは?おなか足りた?」
ジョジロウさんとヒカリさんもうなづくと、ごちそうさまと言って両手を合わせ、頭を下げる。僕はそれがこの人たちの食事の挨拶なんだなと思って、同じようにした。
「そう、足りてしまったのね…。」
マーリンさんはなんだか寂しそうだった。その様子を察してなのか、ヒカリさんが声をかける。
「マルアハさま、子供たちの相手をお願いできますか?片付けは私と夫でやりますので。」
ヒカリさんがそう言って席を立って子供たちのところに歩いていく。子供たちに「マルアハ様に遊んでもらいなさい。」と言うと、子供たちがこぞってマーリンさんのところへ駆け出していった。そうしてマーリンさんの手を引っ張って船首側へと騒いで行く。何か楽し気に「あれは何?」「あれはね…。」と、船の船首から会話が聞こえてくる。
「ミラクーロさんも、子供たちとご一緒にいかがですか?」
そう言われて、だけど片付けを手伝うことにした。どうも今の心境で、子供たちと同じようにははしゃげない。ジョジロウさんも黙ってお皿を片付けだしている。
「ベントス、洗浄をおねがい。」
机に重ねられたお皿を前に、僕はベントスにそう声をかけた。するとテーブルの下から顔を出したベントスが、大きくコクンとうなづいて、お皿が宙を舞う。
「ミラクーロ様、水と洗剤をお借りできますか?」
「わかった。ちょっと待ってて。」
キャビンに降りて、キッチンでコップに水と洗剤を入れてベントスの目の前に持っていった。するとそれをベントスは器用に空気の膜で包み、宙を舞うお皿の入ったもう一つの空気膜の中に入れる。目の前であっという間に泡立つ球ができた。
「終わったら声をかけます。後でしまう場所をご指示ください。」
皿洗いはベントスに任せて、僕はジョジロウさんのところまで進み隣へと立った。
「なあ、坊ちゃん。なんであの方がここにいるんだ?」
ジョジロウさんは、船尾で海を眺めながらそう言った。僕はその隣に立って、首を傾ける。
「昨日、レイミリアさんの家に行ったらこういうことになったんです。」
そう聞いて、ジョジロウさんはガックリと肩を落とした。
「なんだよ、あの後か。急いで帰らなきゃよかった…。」
「苦手な人なんですか?」
「いや、そうじゃないんだけど。里じゃ神様扱いされてた人だからな。久しぶりに会ったら前よりも若くなってるじゃないか。ヒカリはずいぶんと仲が良かったけど、久々でも相変わらずだな。」
そう言うと、ジョジロウさんは床に座り込んで笑った。
「さっきの一言、驚いたぜ。坊ちゃんはどこまで覚えてるんだ?俺のこと。」
「赤い剣で送り火を使った前のことですか?」
「ああ。…砂漠でのこととか、な。」
そう言って、心細げに笑うジョジロウさんはなんだか申し訳なさそうにしていた。
そう言って、マーリンさんはヒカリさんと子供たちに微笑んだ。僕はジョジロウさんと目を合わせて、マーリンさんが何をどれだけ知っているのか怖くなった。おかげで朝食の味はあまりよくわからない。けれどジョジロウさんの子供たちはその後も元気に沢山食べ、あっという間に料理が空になっていく。
「足りなかったかしらね。僕たち、おかわりは?」
マーリンさんの問いかけに、満足げに笑いながら、子供たちは両手を合わせるとごちそうさまと答えた。
「ミラクーロ様とジョジロウ、ヒカリは?おなか足りた?」
ジョジロウさんとヒカリさんもうなづくと、ごちそうさまと言って両手を合わせ、頭を下げる。僕はそれがこの人たちの食事の挨拶なんだなと思って、同じようにした。
「そう、足りてしまったのね…。」
マーリンさんはなんだか寂しそうだった。その様子を察してなのか、ヒカリさんが声をかける。
「マルアハさま、子供たちの相手をお願いできますか?片付けは私と夫でやりますので。」
ヒカリさんがそう言って席を立って子供たちのところに歩いていく。子供たちに「マルアハ様に遊んでもらいなさい。」と言うと、子供たちがこぞってマーリンさんのところへ駆け出していった。そうしてマーリンさんの手を引っ張って船首側へと騒いで行く。何か楽し気に「あれは何?」「あれはね…。」と、船の船首から会話が聞こえてくる。
「ミラクーロさんも、子供たちとご一緒にいかがですか?」
そう言われて、だけど片付けを手伝うことにした。どうも今の心境で、子供たちと同じようにははしゃげない。ジョジロウさんも黙ってお皿を片付けだしている。
「ベントス、洗浄をおねがい。」
机に重ねられたお皿を前に、僕はベントスにそう声をかけた。するとテーブルの下から顔を出したベントスが、大きくコクンとうなづいて、お皿が宙を舞う。
「ミラクーロ様、水と洗剤をお借りできますか?」
「わかった。ちょっと待ってて。」
キャビンに降りて、キッチンでコップに水と洗剤を入れてベントスの目の前に持っていった。するとそれをベントスは器用に空気の膜で包み、宙を舞うお皿の入ったもう一つの空気膜の中に入れる。目の前であっという間に泡立つ球ができた。
「終わったら声をかけます。後でしまう場所をご指示ください。」
皿洗いはベントスに任せて、僕はジョジロウさんのところまで進み隣へと立った。
「なあ、坊ちゃん。なんであの方がここにいるんだ?」
ジョジロウさんは、船尾で海を眺めながらそう言った。僕はその隣に立って、首を傾ける。
「昨日、レイミリアさんの家に行ったらこういうことになったんです。」
そう聞いて、ジョジロウさんはガックリと肩を落とした。
「なんだよ、あの後か。急いで帰らなきゃよかった…。」
「苦手な人なんですか?」
「いや、そうじゃないんだけど。里じゃ神様扱いされてた人だからな。久しぶりに会ったら前よりも若くなってるじゃないか。ヒカリはずいぶんと仲が良かったけど、久々でも相変わらずだな。」
そう言うと、ジョジロウさんは床に座り込んで笑った。
「さっきの一言、驚いたぜ。坊ちゃんはどこまで覚えてるんだ?俺のこと。」
「赤い剣で送り火を使った前のことですか?」
「ああ。…砂漠でのこととか、な。」
そう言って、心細げに笑うジョジロウさんはなんだか申し訳なさそうにしていた。
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