36 / 41
精霊探し 水の精霊編
36
しおりを挟む
「おでは、おめらに、なんもせんよ。」
あらためて面と向かって相対すると、水の精霊はかなり大きなクラゲに見える。立ち上がったジョジロウさんよりも高い位置に本体が浮かび、そこから地面までふわふわといくつもの触手が垂れ下がっている。
「それはわがったから、とんあえずわの話さ、ぎけ。」
白兎(ミカエラ)が、レイミリアさんの頭の上に立ち上がって水の精霊と話をしている。僕らはようやく目的の相手と、こうして対面で話をしていた。
「ぎげっつのはどげなはなすだ?」
「どげもこげもねっつの。だまっでぎげ。」
「ちょっとミラちゃん、そんなじゃいつまでたっても話がはじまらないし、わかんない。普通に話せないの?」
もとい、まだ話ははじまっていなかったみたいだ。
「そんなこと言ったってレイミリアたん、こいつ水の精霊だよ?腹立たねぇわけがねえでしょって話っすよ!そもそもお前達がモリトに力を貸さなきゃ、誰一人『たそかれの世界』なんつう所に飛ばされたりしなかったんだよ!」
ブシャーっと、クラゲが水を吹いた。その水が白兎(ミカエラ)とレイミリアさんにかかるのが見えた。
「んとにもう、いい加減にして!」
レイミリアさんはそう言うと、頭上のミカエラを右手でつかんで、足元に叩きつけた。そしてその上に右足を踏み出すと言った。
「ささえて!ミラちゃん!」
嘘?っと僕は思ったけど、言われた当の白兎(ミカエラ)は逆に嬉しそうにレイミリアさんの足元で両手をあげた。そこにレイミリアさんの足がかかる。そして赤いドレスの裾をひらひらっとさせて左足ものせた。白兎(ミカエラ)はそれを両手で支えながら後ろ足で立っている。
「これでいいわ。ちょっと精霊様、お話はできるかしら?」
「問題ありません。どのような御用でしょうか?」
躊躇せず普通に話しだす水の精霊に、レイミリアさんの足元から「けっ!」と何かを吐き捨てるような声が聞こえた。
「え?えーと…で、では伺います。あなたは水の精霊様ですか?」
「ええ、そうです。海の精霊とも呼ばれていたことがあります。」
「そうしたら教えてちょうだい。どうしてこんなところにいるの?」
「ここに連れてこられた理由ですか?それともここに連れてきた相手を答えたらいいでしょうか?」
どうしたことか、水の精霊がやけに素直にレイミリアさんの質問に答えていく。さっきまでの聞き取りにくい言い方は?それにレイミリアさんも動揺をすぐに取り返した。いつもならもっと食いついたろうに。なんで?いや、今はその方がいいけど。僕は、隣にまだ立っているひいじい様にその疑問を聞いてみることにした。
「あれって、なんでさっきまでとあんなにも態度が違うんでしょうか?」
僕の質問にひいじい様はこんなふうに答えた。
「まあ、当然と言えば当然のことじゃな。男性恐怖症のようだ、あれは。以前に傍にいた相手がよほどひどい奴ばかりだったのか、話しかける相手が男性の場合あんなふうに自己防衛をしているみたいだ。」
「精霊にも性別ってあるんですか?」
「うーむ。正確に言えば、ない。しかし、精神的には男性よりとか女性よりというものもあるだろう?」
「なるほど。そういう意味で女性なんですね。彼女。」
僕とひいじい様はそう言ってそこで佇むしかなく、あの会話には参加しないほうがよさそうだって判断した。
それからしばらくの間、水の精霊とレイミリアさんの会話がつづいていた。ジョジロウさんは気がつくと僕の隣でしゃがみこんでいた。僕とジョジロウさんは手持ち無沙汰になってしまい、ひいじい様はいつの間にか消えている。ミカエラはなんだか息も荒くレイミリアさんの下にいる。そりゃ、これだけ長い時間レイミリアさんを持ち上げているんだもの、息も切れるでしょ。
「だいたい分かったわ。ありがとうね、水の精霊様。そしたら少しだけ待ってて。他のみんなと話をして決めるから。」
どうやら話が終わったようだ。レイミリアさんは僕らの方に振り返って、何歩か歩み寄ってからこう言った。
「精霊様、オウニの居場所とかわかんないって。」
けっこう長い時間話してたと思ったんだけど、それだけ?どういうことだろう?
「でもね、思い当たるところはあるって。地の精霊のところまで行けばわかるかもしれないって言ってる。」
…なにそれ?水の精霊探すのだけでこんなに苦労してきたのに、まだ他にさがさないといけないってこと?
「それとね、交渉次第になるみたいなんだけど、自分を海に戻してくれたらその地の精霊のところまで案内を出してくれるみたいよ。」
「案内って、水の精霊は?」
僕は少し不安になって聞いてみた。着いてくるものだとばかり思っていたので、ちょっと気になる。
あらためて面と向かって相対すると、水の精霊はかなり大きなクラゲに見える。立ち上がったジョジロウさんよりも高い位置に本体が浮かび、そこから地面までふわふわといくつもの触手が垂れ下がっている。
「それはわがったから、とんあえずわの話さ、ぎけ。」
白兎(ミカエラ)が、レイミリアさんの頭の上に立ち上がって水の精霊と話をしている。僕らはようやく目的の相手と、こうして対面で話をしていた。
「ぎげっつのはどげなはなすだ?」
「どげもこげもねっつの。だまっでぎげ。」
「ちょっとミラちゃん、そんなじゃいつまでたっても話がはじまらないし、わかんない。普通に話せないの?」
もとい、まだ話ははじまっていなかったみたいだ。
「そんなこと言ったってレイミリアたん、こいつ水の精霊だよ?腹立たねぇわけがねえでしょって話っすよ!そもそもお前達がモリトに力を貸さなきゃ、誰一人『たそかれの世界』なんつう所に飛ばされたりしなかったんだよ!」
ブシャーっと、クラゲが水を吹いた。その水が白兎(ミカエラ)とレイミリアさんにかかるのが見えた。
「んとにもう、いい加減にして!」
レイミリアさんはそう言うと、頭上のミカエラを右手でつかんで、足元に叩きつけた。そしてその上に右足を踏み出すと言った。
「ささえて!ミラちゃん!」
嘘?っと僕は思ったけど、言われた当の白兎(ミカエラ)は逆に嬉しそうにレイミリアさんの足元で両手をあげた。そこにレイミリアさんの足がかかる。そして赤いドレスの裾をひらひらっとさせて左足ものせた。白兎(ミカエラ)はそれを両手で支えながら後ろ足で立っている。
「これでいいわ。ちょっと精霊様、お話はできるかしら?」
「問題ありません。どのような御用でしょうか?」
躊躇せず普通に話しだす水の精霊に、レイミリアさんの足元から「けっ!」と何かを吐き捨てるような声が聞こえた。
「え?えーと…で、では伺います。あなたは水の精霊様ですか?」
「ええ、そうです。海の精霊とも呼ばれていたことがあります。」
「そうしたら教えてちょうだい。どうしてこんなところにいるの?」
「ここに連れてこられた理由ですか?それともここに連れてきた相手を答えたらいいでしょうか?」
どうしたことか、水の精霊がやけに素直にレイミリアさんの質問に答えていく。さっきまでの聞き取りにくい言い方は?それにレイミリアさんも動揺をすぐに取り返した。いつもならもっと食いついたろうに。なんで?いや、今はその方がいいけど。僕は、隣にまだ立っているひいじい様にその疑問を聞いてみることにした。
「あれって、なんでさっきまでとあんなにも態度が違うんでしょうか?」
僕の質問にひいじい様はこんなふうに答えた。
「まあ、当然と言えば当然のことじゃな。男性恐怖症のようだ、あれは。以前に傍にいた相手がよほどひどい奴ばかりだったのか、話しかける相手が男性の場合あんなふうに自己防衛をしているみたいだ。」
「精霊にも性別ってあるんですか?」
「うーむ。正確に言えば、ない。しかし、精神的には男性よりとか女性よりというものもあるだろう?」
「なるほど。そういう意味で女性なんですね。彼女。」
僕とひいじい様はそう言ってそこで佇むしかなく、あの会話には参加しないほうがよさそうだって判断した。
それからしばらくの間、水の精霊とレイミリアさんの会話がつづいていた。ジョジロウさんは気がつくと僕の隣でしゃがみこんでいた。僕とジョジロウさんは手持ち無沙汰になってしまい、ひいじい様はいつの間にか消えている。ミカエラはなんだか息も荒くレイミリアさんの下にいる。そりゃ、これだけ長い時間レイミリアさんを持ち上げているんだもの、息も切れるでしょ。
「だいたい分かったわ。ありがとうね、水の精霊様。そしたら少しだけ待ってて。他のみんなと話をして決めるから。」
どうやら話が終わったようだ。レイミリアさんは僕らの方に振り返って、何歩か歩み寄ってからこう言った。
「精霊様、オウニの居場所とかわかんないって。」
けっこう長い時間話してたと思ったんだけど、それだけ?どういうことだろう?
「でもね、思い当たるところはあるって。地の精霊のところまで行けばわかるかもしれないって言ってる。」
…なにそれ?水の精霊探すのだけでこんなに苦労してきたのに、まだ他にさがさないといけないってこと?
「それとね、交渉次第になるみたいなんだけど、自分を海に戻してくれたらその地の精霊のところまで案内を出してくれるみたいよ。」
「案内って、水の精霊は?」
僕は少し不安になって聞いてみた。着いてくるものだとばかり思っていたので、ちょっと気になる。
0
あなたにおすすめの小説
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる