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砂嵐の精霊と錬金術師と私達とが知りあう偶然
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「いいえいいえ、ご丁寧な挨拶をありがとう。あなたには何一つ無作法などございません。」
砂色の毛玉の精霊はそう言うと、チョコンと私の手の中に飛び込んできた。手の中で見るとサイズはずいぶんと小さく感じる。うちの猫は手のひらには収まるサイズじゃあない。遠くにいるときにはうちの猫くらいに見えた。けど、近くに来たら小さくなったんだろうか?なんかおかしくないそれ?それと手のひらにいるのに、重さを感じない。…これって持ってて平気?
「聖なる聖霊のあなたの前に、このような力無き姿にて顕現しましたことこそお許しいただけますと幸いです。」
聖なる聖霊って、何それ?ミラクのこと?この魔王の息子が?それに力無き姿って、これって本当の姿じゃないってこと?このサイズでもあれだけの砂嵐をおこしてたのに?
私がそんなことを考えながら聞いていると、どうもオジサン…じゃなくてジョジさん、の方も同じようなことを考えているみたいだった。目をまんまるに見開いてミラクを見ていた。
「お気になさらず。それよりも伺いたいのですが、なぜこの地をあのような砂の嵐で封じられていたのでしょうか?お話しいただければご助力も可能かと思いまして参りました次第です。」
「そういうことでしたら、助かります。実は二年ほど前の話になります。この地に二人の錬金術師が現れまして、彼らの頼みにより半年ほど前からこの辺り一帯を封鎖しております。」
なんか話がトントンと進んでいく。もう砂嵐の原因がわかっちゃった。
「その錬金術師の望みとは?」
「賢者の石となる輝石を探すのを手伝って欲しい、と。そうして探し終えるまでの間、この地に他の人を近づけないでくれと。」
「なるほど、そういうことですか…。」
あ、出た。賢者の石。そもそも錬金術師ってあたりで『また中二病か!』って叫びたかったんだよね。そういうのってあれだよね、中世の頃にヨーロッパとか北欧あたりで横行した寸借詐欺の常套句とかだったって聞いたことがる。
ヨホ・マジノの話だと、錬金というのはその昔、アトランティスという島に暮らしていた人々が、海水から金を生成するためにつくった炉の名前だったとか。それを、近隣の島々に暮らしていた人たちが後世に伝えていたのが戦乱の中で焼失してしまって、今はもう影も形もないって。でも話じたいは大好きだったな。だからよく覚えてる。
賢者の石については更に真偽が怪しいって言ってた。そもそも、賢者の石というのは、オリハルコンを精製するために必要な触媒となる土くれだったらしいっていうのが書籍に残されていた通説らしい。でも、どういうわけか不老不死のために必要な妙薬を造るのに使う貴金属だって書かれている本もあったり、全ての物質を金に変えることができる宝石だっていう文書もあったりで、本当は何なのかすらわからないって話。
何よりも賢者って、なんなのよ?ってヨホは怒ってた。単に賢いだけの人なら大学に行けばいくらでもいるじゃない?でもあの人たちは賢者とは呼ばれず、教授と言われてる。それよりももっと賢い人だって言うんなら、例えばどんな人を言うんだって。そんなの私には想像すらできないわ。
「輝石の場所はどうやら知らぬみたいでした。なのに人払いをしてほしいと乞うのです。はじめのうちは面倒と思って耳も貸さずにいたのですが、しばらくして大変に魅力的な報酬をたずさえてまた戻ってまいりました。」
「へえ、報酬?それはどのようなものだったんでしょうか…?」
ミラクの言葉にちょっとだけ気迫みたいなものが込められたのを感じた。何かを怒っているみたいだ。それを受けてなのか、手のひらにいた精霊さんがふわっと飛び上がって、さっきまで砂嵐の激しかったあたりまで飛んで行った。
「聖なる聖霊様、どうか静まりください。それは私共精霊にとって抗いようのないもの。如何なる理をもってしても変えようのない道理。」
「確かにそれは理なのかもしれません。しかし本来ならば、その権利をもたない者が、他の者の権利を勝手に報酬とすることは道理でしょうか?あなたはそのことをご存じだったのでしょうか?もしそうなら、それは理を外れた行為ではないでしょうか?」
砂色の毛玉の精霊はそう言うと、チョコンと私の手の中に飛び込んできた。手の中で見るとサイズはずいぶんと小さく感じる。うちの猫は手のひらには収まるサイズじゃあない。遠くにいるときにはうちの猫くらいに見えた。けど、近くに来たら小さくなったんだろうか?なんかおかしくないそれ?それと手のひらにいるのに、重さを感じない。…これって持ってて平気?
「聖なる聖霊のあなたの前に、このような力無き姿にて顕現しましたことこそお許しいただけますと幸いです。」
聖なる聖霊って、何それ?ミラクのこと?この魔王の息子が?それに力無き姿って、これって本当の姿じゃないってこと?このサイズでもあれだけの砂嵐をおこしてたのに?
私がそんなことを考えながら聞いていると、どうもオジサン…じゃなくてジョジさん、の方も同じようなことを考えているみたいだった。目をまんまるに見開いてミラクを見ていた。
「お気になさらず。それよりも伺いたいのですが、なぜこの地をあのような砂の嵐で封じられていたのでしょうか?お話しいただければご助力も可能かと思いまして参りました次第です。」
「そういうことでしたら、助かります。実は二年ほど前の話になります。この地に二人の錬金術師が現れまして、彼らの頼みにより半年ほど前からこの辺り一帯を封鎖しております。」
なんか話がトントンと進んでいく。もう砂嵐の原因がわかっちゃった。
「その錬金術師の望みとは?」
「賢者の石となる輝石を探すのを手伝って欲しい、と。そうして探し終えるまでの間、この地に他の人を近づけないでくれと。」
「なるほど、そういうことですか…。」
あ、出た。賢者の石。そもそも錬金術師ってあたりで『また中二病か!』って叫びたかったんだよね。そういうのってあれだよね、中世の頃にヨーロッパとか北欧あたりで横行した寸借詐欺の常套句とかだったって聞いたことがる。
ヨホ・マジノの話だと、錬金というのはその昔、アトランティスという島に暮らしていた人々が、海水から金を生成するためにつくった炉の名前だったとか。それを、近隣の島々に暮らしていた人たちが後世に伝えていたのが戦乱の中で焼失してしまって、今はもう影も形もないって。でも話じたいは大好きだったな。だからよく覚えてる。
賢者の石については更に真偽が怪しいって言ってた。そもそも、賢者の石というのは、オリハルコンを精製するために必要な触媒となる土くれだったらしいっていうのが書籍に残されていた通説らしい。でも、どういうわけか不老不死のために必要な妙薬を造るのに使う貴金属だって書かれている本もあったり、全ての物質を金に変えることができる宝石だっていう文書もあったりで、本当は何なのかすらわからないって話。
何よりも賢者って、なんなのよ?ってヨホは怒ってた。単に賢いだけの人なら大学に行けばいくらでもいるじゃない?でもあの人たちは賢者とは呼ばれず、教授と言われてる。それよりももっと賢い人だって言うんなら、例えばどんな人を言うんだって。そんなの私には想像すらできないわ。
「輝石の場所はどうやら知らぬみたいでした。なのに人払いをしてほしいと乞うのです。はじめのうちは面倒と思って耳も貸さずにいたのですが、しばらくして大変に魅力的な報酬をたずさえてまた戻ってまいりました。」
「へえ、報酬?それはどのようなものだったんでしょうか…?」
ミラクの言葉にちょっとだけ気迫みたいなものが込められたのを感じた。何かを怒っているみたいだ。それを受けてなのか、手のひらにいた精霊さんがふわっと飛び上がって、さっきまで砂嵐の激しかったあたりまで飛んで行った。
「聖なる聖霊様、どうか静まりください。それは私共精霊にとって抗いようのないもの。如何なる理をもってしても変えようのない道理。」
「確かにそれは理なのかもしれません。しかし本来ならば、その権利をもたない者が、他の者の権利を勝手に報酬とすることは道理でしょうか?あなたはそのことをご存じだったのでしょうか?もしそうなら、それは理を外れた行為ではないでしょうか?」
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