青い扉と銀の鈴 - 世間知らずのお嬢様と魔王討伐の生き残りと魔王の息子とが出逢った頃の物語

仁羽織

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裏切りと誤解と優しさの偶然

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 なんだかずっと、私って必要とされてないお荷物なんだな、なんて考えてしまった。それは考えたら駄目な思考だ。誰だって適材適所で、必要とされることもあればそうではない時もある。今ここで例えばそうなんだとしても、明日はまた違う日になるかもしれない。そこを忘れたら駄目。

 で、気を取り直して現状を整理してみる。この場所って、要はミラクの家ってことよね。お母さんいるし。お母さんは家だって言ってたっけ?言ってなくてもきっとそうでしょ。んで、そこの窓から見える外の景色が、前にベントスが言っていた『たそがれの世界』なのか…。

 ちょっと気になった。話にもついていけそうもないし、いいよね。

 私はこそっとソファーから立ち上がった。すかさずお母さんが声をかけてきた。

 「どうかしました?レイミリア。何かあればすぐに用意しますから、気軽に言ってね。」

 「いえいえ、あ、はい。えっと、ちょこっとその、窓から外を見たいかななんて思って…。」

 見ると、お母さんの姿ごしにミラクのあの悪魔な目が突き刺すようにこちらを見ている。なんでよ、ちょこっと見るくらいいいじゃないの。そう思いながらけど怖くて席に戻る。

 「見たいかななんて思ったりしたんですけど、でもやっぱ今はいいかな、なんて…。」

 そう言い終わろうとしたその時、突然目の前が真っ白に光った。いつかの銀鈴を使った時のあのまぶしさとは違って、今度はなんといかこう、耳を切り裂かれそうな高音とともにの光。

 突然の光に、私はまぶしくて目を抑えながら椅子にしがみついて耐えるしかなかった。そうしていると、その手に誰かが触れてきた。

 「レイミリアさん、銀鈴は手元にありますか?」

 その声はミラクのだった。見えないけど、たぶんミラクの手だ。

 「あるけど使ってないわよ。今の私じゃないからね!」

 「あれば大丈夫です。どうやら誰かがここまで侵入してきていたみたいです。」

 だんだんと目が見えるようになって、目の前の光景がどんな状況かわかりだす。音と光はすごかったけど、部屋の中は別段なんともない。壁も壊れてないし、家具の上の調度品も倒れたりはしていないみたいだった。

 「母とベントスがいません。さっきの目くらましの間に連れ去られたみたいです。」

 ミラクが、少し怒り気味の声でそう言った。

 「ジョジさんもいません。たぶん今の騒ぎの中でも冷静に対処してくれているんだと思います。」

 「どうしてそう思うの?」

 「いなくなる前に、僕に声をかけていってくれました。『心配するな。』って。」

 さすがと思った。今頃は青扉をつかって犯人のところまで行ってるんだろうな。そこで様子をみて、すぐに連絡をしてくれるはず、だよね。

 「とにかくこんなことはこれまでなかったことです。なので不本意ですが、父のところへ行こうと思います。」

 「あら、そう。じゃあ私はここでお留守番しているわね。」

 また巻き込まれたらどうしようもない。今回はジョジさんもいないんだし、砂漠の時みたいにミラクがキレちゃったら、最悪こんどは自分で銀鈴を使うしかなくなっちゃう。そうなったらもう何もかもが台無しだ。何のためにここまで意地はってきたのよ、私。ここは踏ん張りどころよ。

 「それで結構です。銀鈴をしっかりと持って、ここで休んでいてください。」
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