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砂漠で盗賊と砂嵐とオアシスとにめぐりあう偶然
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「まだかかりそうなので…仕方ありませんがほんの少し、お休みください。」
お子様がそう言うのが聞こえてすぐ、私はつよい眠気に襲われた。どうせまたお子様が何かしたんだ。なによ、こんなことできるんだったら、全部終わってから気がつくようにしときなさいよ…。
そうして私はぐっすりと、眠りに落ちていった。
眠りの中で夢をみた。お子様が泣いている。お子様の前には、銀色の髪を腰まで伸ばしスラっとした容姿の綺麗な女性が立っている。
「そんなに泣かないでください。もう大丈夫ですから。お父様も悪意があってあなたをこんなところへ残していったわけではありませんから。むしろ、あなたのお父様は、あなたに生き残って欲しくて、私達にあずけていったんだと思いますよ。」
優しくそう言うその女性は、男の子をそっと抱き上げると、ぎゅっと抱きしめた。
「あなたは強い子。なぜならばあなたのお父様は、この国の王なのですから。王の息子であるあなたがそんなに泣いていたら、民たちが途方に暮れてしまいますよ。安心して、私と一緒に王の帰りを待ちましょう。」
そう言いながらでも、今度は女性の瞳から涙があふれだしていくのが見えた。
「大丈夫、きっと。私の夫もついてますから。大丈夫、大丈夫…。」
そこで夢がおわった。
目が覚めると、今度は目の前にいっぱいのごちそうが並んでいた。私はいつの間にか正装のドレスを着て、綺麗な絨毯の上に座っている。
すぐ隣にはお子様がいて、私が目を覚ましたのに気づき指でちょんちょんと前を指さした。指がさされた方向にはオジサンがいて、すぐ隣には見るからに砂漠の民という服装でひげがモッサモッサ生えた男の人がいる。二人は何やら親し気に会話していて、周りにもたくさんの砂漠の民がいる。
「なにこれ?宴会の最中?」
「はい、そうなんです。あの方ものすごい交渉力ですね。僕たち、今英雄の一団として歓迎されているところです。」
「そうなんだ…。」
話を聞きながら、けれど目の前にある鼻をつくいい匂いの食べ物におなかと頭をもっていかれた。
「どうでもいいわ。それよりこれ、食べていいの?」
「ええ、僕らを歓迎してのお料理ですから。僕、飲み物を何かとってきますね。」
「ありがとう。アルコール抜きのものがあると嬉しいわ。」
「それなら、何か適当にカモミールを入れてきます。」
「うん、お願いね。」
床の絨毯に並べられた大皿の数々。中でも、チキンだろうか?ゴロゴロっとお肉がのせられて上からクリーム色のソースがかけられている食べものが、私に食べてと言っている。膝の前に置かれていた銀の皿に、同じく銀のフォークがのせられている。私はその両方を手に取ると、まずはそのチキンをお皿に少しだけのせた。次にあたりを見回すと、今度は色鮮やかな刻み野菜のサラダが目に入った。それもお皿にちょうだいする。どれもこれもいい匂い。オリーブだろうか?それよりも少し甘い香りだ。
「お待たせしました。カモミールです。」
「ありがとう。…ってこれ、何茶なの?」
お子様の入れてきてくれたお茶は、あきらかに透き通ったカモミールとは違い、白く濁った色に粒粒とほこりのようなものが浮かんでいた。
「こちらの皆さんがよく飲むお茶らしくて、牛の乳でお茶の葉を煮出してスパイスを入れたものだそうです。」
「へー、そうなんだ。」
お子様がそう言うのが聞こえてすぐ、私はつよい眠気に襲われた。どうせまたお子様が何かしたんだ。なによ、こんなことできるんだったら、全部終わってから気がつくようにしときなさいよ…。
そうして私はぐっすりと、眠りに落ちていった。
眠りの中で夢をみた。お子様が泣いている。お子様の前には、銀色の髪を腰まで伸ばしスラっとした容姿の綺麗な女性が立っている。
「そんなに泣かないでください。もう大丈夫ですから。お父様も悪意があってあなたをこんなところへ残していったわけではありませんから。むしろ、あなたのお父様は、あなたに生き残って欲しくて、私達にあずけていったんだと思いますよ。」
優しくそう言うその女性は、男の子をそっと抱き上げると、ぎゅっと抱きしめた。
「あなたは強い子。なぜならばあなたのお父様は、この国の王なのですから。王の息子であるあなたがそんなに泣いていたら、民たちが途方に暮れてしまいますよ。安心して、私と一緒に王の帰りを待ちましょう。」
そう言いながらでも、今度は女性の瞳から涙があふれだしていくのが見えた。
「大丈夫、きっと。私の夫もついてますから。大丈夫、大丈夫…。」
そこで夢がおわった。
目が覚めると、今度は目の前にいっぱいのごちそうが並んでいた。私はいつの間にか正装のドレスを着て、綺麗な絨毯の上に座っている。
すぐ隣にはお子様がいて、私が目を覚ましたのに気づき指でちょんちょんと前を指さした。指がさされた方向にはオジサンがいて、すぐ隣には見るからに砂漠の民という服装でひげがモッサモッサ生えた男の人がいる。二人は何やら親し気に会話していて、周りにもたくさんの砂漠の民がいる。
「なにこれ?宴会の最中?」
「はい、そうなんです。あの方ものすごい交渉力ですね。僕たち、今英雄の一団として歓迎されているところです。」
「そうなんだ…。」
話を聞きながら、けれど目の前にある鼻をつくいい匂いの食べ物におなかと頭をもっていかれた。
「どうでもいいわ。それよりこれ、食べていいの?」
「ええ、僕らを歓迎してのお料理ですから。僕、飲み物を何かとってきますね。」
「ありがとう。アルコール抜きのものがあると嬉しいわ。」
「それなら、何か適当にカモミールを入れてきます。」
「うん、お願いね。」
床の絨毯に並べられた大皿の数々。中でも、チキンだろうか?ゴロゴロっとお肉がのせられて上からクリーム色のソースがかけられている食べものが、私に食べてと言っている。膝の前に置かれていた銀の皿に、同じく銀のフォークがのせられている。私はその両方を手に取ると、まずはそのチキンをお皿に少しだけのせた。次にあたりを見回すと、今度は色鮮やかな刻み野菜のサラダが目に入った。それもお皿にちょうだいする。どれもこれもいい匂い。オリーブだろうか?それよりも少し甘い香りだ。
「お待たせしました。カモミールです。」
「ありがとう。…ってこれ、何茶なの?」
お子様の入れてきてくれたお茶は、あきらかに透き通ったカモミールとは違い、白く濁った色に粒粒とほこりのようなものが浮かんでいた。
「こちらの皆さんがよく飲むお茶らしくて、牛の乳でお茶の葉を煮出してスパイスを入れたものだそうです。」
「へー、そうなんだ。」
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