青い扉と銀の鈴 - 世間知らずのお嬢様と魔王討伐の生き残りと魔王の息子とが出逢った頃の物語

仁羽織

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砂漠で盗賊と砂嵐とオアシスとにめぐりあう偶然

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 香りがよかったのでとりあえず飲んでみる。…確かに、これは美味しい。よく飲むというのもうなづける。

 「美味しいね。ミルクなんてとれるんだ、砂漠で。」

 「それなんですがね、彼らは放浪する民ではなくて、つい最近まで近くにあったオアシスを中心に、街を築いていたそうなんです。砂漠の街ですから、他の部族とも仲良くやっていて、方々から多くの人が集まる、けっこう大きな街になっていたそうなんです。」

 「ふ~ん、そうなんだ。」

 食べるのに一生懸命で話にまで興味が向かない。

 「ところがその街に、つい半年ほど前に二人組の不審者が現れたそうです。彼らが言うには、その二人が竜巻を呼び街を壊滅状態にしたと。街のみんなは避難して、いまこうやって砂漠の真ん中で遊牧民のような生活をしているそうです。」

 「それは、災難だったね。かわいそう。」

 チキンの次に食べた、甘ダレで味付けされた豚肉の料理がほっぺた落ちそうになるくらい美味しい。こんなふうに焼かれて食べられて、災難でかわいそうだなと思うけど手も口も止められない。

 「その竜巻なんですが、どうも誰かの人為的なものらしく、いまだにやむ気配がないそうです。」

 「不思議なことがあるんだね。」

 「ええ、まるでどこかで誰かが使った道具みたいに…。」

 お子様の変な言い回しに、え?!っとなった。私達と同じように道具を使う人がいるの?

 「誤解しないでくださいね。道具を造って人に力を貸せる技術は、私たちの国にしかありません。」

 「…私たちの国じゃなくて、あんたんちだけでしょう?」

 「でも同じようなことを考えて、同じようなことをしている誰かがそこに居るのかもしれない。」

 「…どうでもいいわよ。それより早く家に帰りたいわ。」

 「帰るには、あなたが道具を使わなくては戻れません。」

 「そこなのよねぇ。使ったら最後、私も化け物の仲間入りなんでしょう。」

 「化け物って…、目の前に僕がいるのに、そう言えるのがすごいですね。」

 「不老不死なんて化け物以外のなにものでもないわよ。」

 「そう言われてしまうとあれなんですが…。」

 そう言ってしおだれる男の子を見て、さっき見ていた夢が少しだけ思い出された。

 「泣かないでよ。こんなところで。」

 「大丈夫です。これぐらいのことで、泣きはしません。」

 あの、女性に抱きしめられて泣いていた子供は、間違いなくこの目の前の男の子、だったと思う。…いろいろと聞いた話と食い違う感じは多いけど…。

 「何らかの力を駆使している存在が、その場所にいるはずなんです。なのでそのモノに話をしに行こうと思いまして、あの方にもそう相談してみたんです。」

 「黒いオジサンに?」

 「ええ。そうしたらそれをうまく使って、彼らとの交渉で、僕らが竜巻をとめてくるということになりました。」

 「へー…。大変そうだけど、頑張ってね。」

 なんかものすごくヤバい流れになっていたということはわかった。となれば、私はこれ以上巻き込まれたらいけない。
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