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天使と悪魔と精霊とがごちゃまぜになる偶然
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「どういうことだ?」
ジョジさんもついに理解を越えてしまったみたい。顔が真っ赤になってアップアップした顔でそう言った。ちなみに私は最初からあきらめていたので大丈夫。
「それについては、よろしければ私の口からご説明いたします。」
そう言ってジョジさんとミラクの前にベントスが出てきて、しゃべりだした。猫がしゃべると超カワイイ。語尾にニャンてつけてくれないかな?私はそれくらいしか考えることがない。
「あれは、人類が地上に誕生してしばらくたったころ、そのころ彼らは彼らの言葉で、この方々のことを『聖なる聖霊』と崇めておりました。私たちのことを『使える者』と呼び、その言葉が示す通り私達精霊はこの方々の使途として人々を導いておりました。」
そう言うとベントスは、後ろ足で耳の後ろをかきだして話をつづけた。
「それから時代が進み、人間たちは少しづつ裕福になっていきました。彼らを食む敵対生物はほとんどいなくなり、彼らの糧となるさまざまな動植物がこの世界に増えていったからです。その全てを導いてきたこの方々のおかげで。」
ベントスは今度はぴょんとミラクの肩に飛び乗って話を続けている。ミラクの顔が少しだけ悲しそうになるのが見てとれた。自分が知らないことをベントスが知っているのが嫌なのかな?お子様だなぁ。
「幾数万の昼夜が過ぎ、幾数千の年月が過ぎるころ、人間たちはすっかりこの方々への感謝を忘れてしまいました。それどころか、天災や人災で多くの命が失われたりすると、それを全てこの方々のせいだと決めつけるようになっていったのです。」
なるほど、と思った。さっきのミラクの悲しそうな顔はそれでだったのか、と。けれど今のあんたには関係のない話でしょう?そんな悲しく思わなくても大丈夫だよ。…ていうか、てことは、ミラクこの話知っていたってことか…?じゃあなんでさっきはしらばっくれたのよ。
「そうして人々はこの方々を魔と呼ぶようになり、自分たちこそ聖なるものとして敵対するようになっていったのです。」
「…なるほどな、そういうことか。」
「多くの氏族の方々が人の手によって討たれ、残り少なくなったこの方々は一つになって、自分たちの住んでいる場所をうつしたと伺っています。たそがれの世界へ。」
「よくわかった。ありがとう、二人とも。納得いったよ。どうやら俺もこの件に関しては関係者みたいだ。ひょっとすれば錬金術士って連中は、俺の雇い主と関わりがある可能性も出てきた。」
「そうですか。ご納得いただけて嬉しいです。ちなみになんですが、僕の名前はミラクーロと言います。ミラクールではないので覚えていただけると更に嬉しいです。」
ミラクにそう言われて、ジョジさんたら、なんとも言えないおもしろい顔になって目だけがキョロキョロしてた。
ジョジさんはバツが悪そうにして馬車の中に入っていった。人様の名前を間違えたのだから仕方ない。馬車の中で何かをガサゴソ探しているような音がしているが、いったい何を探しているんだろう。
私はもう少しだけ聞きたいことが見つかったので、ベントスに聞いてみることにした。
「ねえ、たそがれの世界ってどういうところなのか知ってる?」
「それは私にはわかりかねます。もともと私は、この世界と切っても切れない存在で生まれましたので、その世界までは連れていってもらえませんでした。なので、どんなところかは想像すらもできません。」
「ミラクはどうなの?あなたそこに暮らしていたんでしょう?」
「ごめんなさい。今ベントスに聞くまで、僕の暮らしていた場所がその『たそかれの世界』だとは知りませんでした。…なのでどんな所かまではわかりません。」
「えー、なんで?そこに住んでたんでしょう?」
「母に甘えるのと、父に反抗するのと、それだけで毎日精一杯でしたので、外の様子とかは知らないんです。」
ジョジさんもついに理解を越えてしまったみたい。顔が真っ赤になってアップアップした顔でそう言った。ちなみに私は最初からあきらめていたので大丈夫。
「それについては、よろしければ私の口からご説明いたします。」
そう言ってジョジさんとミラクの前にベントスが出てきて、しゃべりだした。猫がしゃべると超カワイイ。語尾にニャンてつけてくれないかな?私はそれくらいしか考えることがない。
「あれは、人類が地上に誕生してしばらくたったころ、そのころ彼らは彼らの言葉で、この方々のことを『聖なる聖霊』と崇めておりました。私たちのことを『使える者』と呼び、その言葉が示す通り私達精霊はこの方々の使途として人々を導いておりました。」
そう言うとベントスは、後ろ足で耳の後ろをかきだして話をつづけた。
「それから時代が進み、人間たちは少しづつ裕福になっていきました。彼らを食む敵対生物はほとんどいなくなり、彼らの糧となるさまざまな動植物がこの世界に増えていったからです。その全てを導いてきたこの方々のおかげで。」
ベントスは今度はぴょんとミラクの肩に飛び乗って話を続けている。ミラクの顔が少しだけ悲しそうになるのが見てとれた。自分が知らないことをベントスが知っているのが嫌なのかな?お子様だなぁ。
「幾数万の昼夜が過ぎ、幾数千の年月が過ぎるころ、人間たちはすっかりこの方々への感謝を忘れてしまいました。それどころか、天災や人災で多くの命が失われたりすると、それを全てこの方々のせいだと決めつけるようになっていったのです。」
なるほど、と思った。さっきのミラクの悲しそうな顔はそれでだったのか、と。けれど今のあんたには関係のない話でしょう?そんな悲しく思わなくても大丈夫だよ。…ていうか、てことは、ミラクこの話知っていたってことか…?じゃあなんでさっきはしらばっくれたのよ。
「そうして人々はこの方々を魔と呼ぶようになり、自分たちこそ聖なるものとして敵対するようになっていったのです。」
「…なるほどな、そういうことか。」
「多くの氏族の方々が人の手によって討たれ、残り少なくなったこの方々は一つになって、自分たちの住んでいる場所をうつしたと伺っています。たそがれの世界へ。」
「よくわかった。ありがとう、二人とも。納得いったよ。どうやら俺もこの件に関しては関係者みたいだ。ひょっとすれば錬金術士って連中は、俺の雇い主と関わりがある可能性も出てきた。」
「そうですか。ご納得いただけて嬉しいです。ちなみになんですが、僕の名前はミラクーロと言います。ミラクールではないので覚えていただけると更に嬉しいです。」
ミラクにそう言われて、ジョジさんたら、なんとも言えないおもしろい顔になって目だけがキョロキョロしてた。
ジョジさんはバツが悪そうにして馬車の中に入っていった。人様の名前を間違えたのだから仕方ない。馬車の中で何かをガサゴソ探しているような音がしているが、いったい何を探しているんだろう。
私はもう少しだけ聞きたいことが見つかったので、ベントスに聞いてみることにした。
「ねえ、たそがれの世界ってどういうところなのか知ってる?」
「それは私にはわかりかねます。もともと私は、この世界と切っても切れない存在で生まれましたので、その世界までは連れていってもらえませんでした。なので、どんなところかは想像すらもできません。」
「ミラクはどうなの?あなたそこに暮らしていたんでしょう?」
「ごめんなさい。今ベントスに聞くまで、僕の暮らしていた場所がその『たそかれの世界』だとは知りませんでした。…なのでどんな所かまではわかりません。」
「えー、なんで?そこに住んでたんでしょう?」
「母に甘えるのと、父に反抗するのと、それだけで毎日精一杯でしたので、外の様子とかは知らないんです。」
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