ヤンキー女子は純情可憐R ヤンキーがデレても「ヤンデレ」と呼ぶのです。

琉水 魅希

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第7話 ジョジョ苑とマネージャーと時々鬼コーチの予感

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 あのバッティングセンターで種田恵と久しぶりの会話をしてから最初の土日。

 ついに春の大会が始まった。
 順調にいけばGW中に決勝戦。
 2回勝てば地区代表として県大会に参加できる。

 実はまだ2年になって2週間しか経ってないんだなと実感。
 スターティングメンバ-が発表され俺は5番サード。
 うん、良いのか?パワプロでいう所のパワーヒッターとかついてないぞ。

 しかし4番とエースは新1年に持っていかれた。
 まぁ良いけどね元々4番には興味ないし。
 3番とか5番の方が良い。

 1回戦は同じように部員の少ない学校だったため前評判はどちらも低い。
 試合は1年投手が踏ん張り失点は0。後続の2年が打たれ2失点。
 ただ、打撃陣が頑張った。試合は6-2で勝つことが出来た。
 俺?5打数3安打3打点と何か出木杉君。

 次の代表決定戦は近年力をつけてきていて県大会決勝まで行った事もある学校。
 近年ラグビーやサッカーでは何度か全国大会出場し、次は野球も……という感じらしい。

 大会期間中は授業の免除がある、補習はあるけど。
 2日後の14時開始予定で2回戦という名の代表決定戦がある。

 つまり試合は月曜日だ。
 午前中は普通に授業を受ける。
 午前の3時間目の授業が終わると部員は会場へと向かう。

 弱小校だ、専用のバスなんてない。
 電車と公共のバスで行くしかないんだよぉ。

 12時前には球場につき、ユニフォームに着替える。
 予定通りなら13時半には中に入る。

 「ここでもし勝ったら夏に注目されちゃうかもな。」
 「いやいや、そこまでの番狂わせとまでは思われないんじゃないか?」
 「有名校もたまに早目にコケるのが春の大会だ。新チームとして機能しきれてないのはどこも大差ないからな。」

 「よし、買ったらジョジョ苑奢ってやる。」
 ん?今イントネーションおかしくなかったか?
 でもま、監督が勝ったら奢ると言ったんだ、高校男子達を舐めるなよ。

 ※作者も野球じゃないけど体育祭か何かで担任が、クラス全員にハーゲンダッツ奢るという言葉に奮起し結果を残した経緯あります。
 
 
 前半5回を終わって1-3
 善戦はしている方だと思う。
 むしろ相手はなぜコールド勝ち出来ないんだと焦っているかもしれない。
 だけど、そんな考えだからこそ付け入る隙がある。

 いや本当、良い1年が入ってきたよ。
 投手と4番だけじゃないけど、個の能力では相手と引けを取らないんじゃないか?

 9回表を終わって3-6
 何か普通に良い試合をしていた。
 何が凄いって、前の試合を含めてエラー0なのだ。
 むしろこっちは相手のエラーや凡ミスの隙をついての3得点ではあるのだが。
 
 相手は7回から登板している2番手投手、この回も投げるらしい。
 しかし相手は勝ちを意識してしまったのかボールが定まらない。
 四球やエラーが絡み、1アウト1・2塁で4番に回る。

 「おらージョジョ苑ージョジョ苑ー」
 漫画では目がドルマークになるのを見かけるが、うちの野球部員達は肉マークになっていたと思う。
 そしてヤジ……というより応援の仕方……
 普通○○かっ飛ばせとか、ピッチャー疲れてるよーとか言うもんだ。
 何、ジョジョ苑ーって。

 「ジョ・ジョ・苑、ジョ・ジョ・苑」
 確かに4番だし、今日2打点だし期待を込めるのはわかるが。

 と言ってる間に彼が打った打球はセカンドの頭を超え、センターとライトでボールに向かう。
 なりふり構っていられず、サードコーチャーはぐるぐる腕を回す。
 まぁ、この打球なら一人は返れるだろう。

 案の定、ホームにボールは返ってきたが反れたボールはタッチ出来なかった。
 これで4-6、1アウト1・3塁。
 「俺は敬遠かな。」

 その昔太田幸○が甲子園で一人ランナーが出ると満塁策を取り、尽くをダブルプレーにしてピンチを脱出していた。
 勝ちに拘るならば、アリかもしれない。
 俺は今日2安打、次の6番はノーヒットだ。
 勝負するなら次が良いだろう。

 何だろうか、野球の女神の意地悪か、勝負の神様の意地悪か、作者の意地悪か、どうやら勝負するようだ。

 3球を投げたところで1ボール2ストライク。
 ピッチャーは何でも出来るカウントだな。
 妙に緊張している、俺がタコれば……ゲッツーでもしようものならそこで試合は終わる。
 
 むー、試合への緊張もだが、ジョジョ苑を逃したどうしてくれるんだというプレッシャーの方が強い。
 キィンッ
 どうやらカットできた。

 多分135km/hは出てるな、あ、やっぱり。
 バックスクリーンに球速が表示される。

 投手が次のボールを構える前何か声が聞こえた……気がする。

 「オラー、かっとばせー、ピッチャーボコれー、疲れてんぞー、あとあたしにもジョジョ苑ー」
 こんなヤジ飛ばすのは一人しかいない。
 見てはいないが多分運営に注意されてるだろうな。
 言って良いヤジとダメなヤジがあるんだよ。
 もっとも阪神に入団するような選手なら、このくらい言われてもなんとも思わない心臓に毛が生えてないと無理だけど。」


 あー何か緊張解けたな。


 ピッチャーがセットポジションからボールを放つ。
 その時の俺には何故か確信があった。
 外角高めのストレート。
 「ちゃーしゅーめんっ」
 キィィィンと快音残してライトスタンドへ飛んで行ったボールは……
 ポールの網に当たって……網にズボっと刺さっていた。

 柊真白、公式戦初ホームランは、こうして生まれた。
 ダイヤモンドを一周し、何を思ったか側転を2回決め最後にバク転し、ベースに着地!

 先にホームベースを踏んでいたチームメイトや、ベンチから出てきたチームメイト達から

 「秋山かよっ」と頭を叩かれた。

 ※秋山幸二、西武ライオンズ時代にこれやっていました。

 ただし、俺は審判に注意された。過度なパフォーマンスは相手に失礼だから止めなさいと。

 多分この日、パワプロでいう所のパワーヒッターと広角打法と逆境○が見に付いたんじゃないかと思う。

 そんなことはないけど。

 その日の帰り道道具やカバンは先生の車(ワンボックス)に入れて良いということで詰め込みジョジョ苑に行く事に。


 なぜかあのヤジを飛ばした張本人、種田恵も参加。

 チームメイト曰く、あのヤジで旦那がヤル気になった、影の功労者だ。
 それは彼女には聞こえないところで言っていたが、夫婦じゃねーよ。クラスメイトだよ。

 「なぁ、お前授業は?」

 「早退した。センコーは許可してくれた。」
 今時センコーなんて言うの貴女くらいのものですよ。

 どうやって説得したのかはわからないけど、あの担任だしな。

 ジョジョ苑は本当に叙々苑だった。
 紛らわしい発音しやがって……


 流石に何でも頼んで良いとはならず上までと言われた。
 特上は止めろと、そうしたら食い逃げするぞと監督が脅してきた。
 まぁその時は全員捕まりますけどね。一番罰を受けるのは大人である貴方ですけどね。

 「ナイスバッチン!」
 「お、おう。」
 いつもと違い俺の方が語彙力低下していた。

 カチンっとコップをぶつけ合う。

 祝勝会は問題なく進み、俺達は普段食べられない肉を腹一杯食べた。 

 「そういやウチの野球部、マネージャーいねぇな。」
 誰かがそう呟いていた。
 そして誰かが種田の方へと視線を向けると一斉にそれが集まる。

 「ん、あたしは無理だぞ。シャツ洗ったり水汲んだりタオル手渡したりってガラじゃないしな。」
 「誰かやってくれそうな人いないかな?」
 チラっと種田の方へ再び視線が集まる。

 「だからあたしには無理だ。数少ない知り合いに聞くくらいしか出来んぞ。」
 
 どうも野球部員とは叙々苑で親睦を深められたようだった。
 結果的には良かったんじゃないかと思う。
 この日の様子を見ていればこいつらは噂とかイメージで彼女を避けたりは今後しないのではないか。

 そんなこんなでお開きの時間となる。
 明日も学校だ、寝坊しましたの言い訳は通用しない。

 ぞろぞろとお店を出ていく。
 ちょうど俺が出ようとした時監督が支払いをする最中だったので聞き耳を立てていると。
 監督はカードで支払っていた。
 奥さん子供に怒られないかね。
 支払いの時、「ぶ、分割で……3回で……」と言っている監督の姿を見た。  



 ちなみに県大会は1回戦で敗退した。
 うん、燃え尽きた症候群ではないけど、あの試合で出し切ったらしい。
 課題はモチベーションの維持だな。
 緊張感の維持ともいうかも。
 少し浮かれていたのは事実。
 2-7とあっさり負けた。

 だからこそ他の学校は埋もれたダークホースの存在を見逃す事になる。
 夏の大会、荒れるかはこの後の練習次第。

 そして代表決定戦で勝った日から1週間、県大会で負けてから3日。

 部活の練習を始めようかという所で体操服と紺色ブルマーに身を包んだ2人の女子が現れた。

 「マ、マネージャーが必要という事で立候補しにきました、2-4朝倉澪です。」

 「2-3種田恵。あ、あたしは何も出来ないからな、試合の時のヤジ専門ということで。あとノックならできるからビシバシシゴクことは出来る。」
 「それと、あたしは月・金しか来れないんで。それでも良かったら夜露死苦!」

 反対はいなかった。
 こうして弱小野球部にマネージャー1名、マネージャー見習い兼ノッカー兼ヤジ担当1名が加わった。

 やっぱり夏の大会は荒れる気がした野球部員達だった。

 そして紺ブルに反応していた一人の変態がいた。(でもそれはまた別の話)
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