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四章
6.続く先へ…
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「ただいまーーーー!」
「おかえり!」
「あぁ…帰った」
「あああ!おれのお嫁さんが可愛い!!」
「………」
二人を玄関の前まで迎えにきていた俺は、両側から…がばりと抱きしめられる。
「はーちょっとやめてよ…玄関でまたそんな。…そうやってうざい事ばっかしてると、きみらがいない間にお嫁さんいびるよ?」
「あぁ?」
「えー。おれのお嫁さんが弟に虐め……って…は!?…弟の事だ……まままままさか、ひょっとして!?」
「?」
「そっち方面の悪戯を、すでにされてたりしないよね!?」
心配そうに覗き込まれた百の瞳から…つい…逃げるように視線を逸らしてしまった。
「………え、あはは…そんな事されて…な…いよ?」
「!!!???」
「…………おい」
「いや本当に、何かあったって程じゃないから」
風呂に乱入された位かなぁ…。でも…あれは、ほら銭湯みたいなものだと思えば。何も問題はないはず。
「そうだね。ちょっと味見した程度だよ」
「えぇぇ…」
そんな誤解を招くような言い方をしなくても……。
「殺す…」
「うわあああああ!ちっくしょーーう!爛れてるうううう!?」
ここ暫く、クロと百は、この神様の家から出掛けて…生徒達の元へ行っていた。
数日でここから出られるようになった眷属の二人と違って、俺は……例のごとく最弱の俺は…どうにも神様の家から出る力が足りないとかで、ずっとここで留守番している状態だ。
すぐ出られないような事は、三人が言っていたし、そうじゃないかとは思っていたけど…。まさか俺だけ出られないだなんて思わなかった。最弱がここでも尾を引くとは…。
そんな俺をここに送ってくれた一花は凄かったんだなと、あとになって改めて感動した。
ただ、これもまた…よくわからない法則みたいなのがあるようで…。送るのと、ここに自ら出たり入ったりするのでは、力の種類が違うんだとか。
いずれ俺にもわかると言われたけど、今の俺には、まだぴんときていない。
そう…いずれ…。俺の体は…結界に組み込まれた事をきっかけに、徐々にこちらの世界へと馴染んできていて…、この世界の人と同じものになりつつあるんだそうだ。
あとはどれだけ……その…二人とするかで、速度が変わるんじゃない?なんて事を弟さんに言われた。
とりあえず…俺を見て、中に注がれた回数を観察するような視線はやめて欲しい…。
「まあ、浮気の話はあとでじっくり問い詰めるとして…」
「いや、だから浮気じゃ…」
「いいじゃない。マンネリ旦那達に、間男スパイスは大事だよお?」
「殺す……」
「あああああ!そうだ。皆は、元気だった?」
リビングに移ってからも、また臨戦態勢を取ろうとする三人の会話を遮って、俺は気になっていた事を訊く。
倒れた一花、巨大な狼から戻った九、…そして一花を助ける為に半死半生になると言っていた七生達。弟さんから、無事みたいだよと聞いてはいたけど、実際に見た訳じゃないから、心配で仕方がなかった。
「うん。皆問題なく元気だった。クロチャンによろしくって言ってた」
「あ、そっか」
皆から見れば、クロはまだ俺だ…。
「うん。でね、九は、何度も何度も謝ってたよ」
「そ…う」
出来れば、俺も直接会いたかったな。しゅんとしてしまったあの子の顔を思い出して、切なくなる。
「あぁ…だがな」
「そーーーねえ」
「?」
「あいつ…オレにも散々謝ったあと、また宣戦布告してきやがった…」
「たくまし過ぎでしょお…」
「え?ぇええ?」
「へーもてもてだね。ぼくの元体」
「そんで、ここに…神様の元へ自分でこられるような力をつけようと、目下トレーニング中だってさ」
「え?うん?ぇええ?」
「一花達もな…面白がって、全員で九を鍛えにかかってる」
「えぇええ?うん???」
「ま、きたらきたで、見せつけてやるからね!!おれ達のお嫁さんはおれ達のものですううううー!!って」
「あぁ…何度でも…何度でもな……」
「…あ…ははは」
そう言って、にやりと笑った二人は、最高に大人げない顔をしていた。
俺がここから出られるようになるのが先か、九がこっちにくるのが先か。
どっちだろう?
まぁでも……。
まず…俺の名前を決めるのが先かなぁ。
俺はまだ決まっていない名前の事を思って、笑みを浮かべた。
「おかえり!」
「あぁ…帰った」
「あああ!おれのお嫁さんが可愛い!!」
「………」
二人を玄関の前まで迎えにきていた俺は、両側から…がばりと抱きしめられる。
「はーちょっとやめてよ…玄関でまたそんな。…そうやってうざい事ばっかしてると、きみらがいない間にお嫁さんいびるよ?」
「あぁ?」
「えー。おれのお嫁さんが弟に虐め……って…は!?…弟の事だ……まままままさか、ひょっとして!?」
「?」
「そっち方面の悪戯を、すでにされてたりしないよね!?」
心配そうに覗き込まれた百の瞳から…つい…逃げるように視線を逸らしてしまった。
「………え、あはは…そんな事されて…な…いよ?」
「!!!???」
「…………おい」
「いや本当に、何かあったって程じゃないから」
風呂に乱入された位かなぁ…。でも…あれは、ほら銭湯みたいなものだと思えば。何も問題はないはず。
「そうだね。ちょっと味見した程度だよ」
「えぇぇ…」
そんな誤解を招くような言い方をしなくても……。
「殺す…」
「うわあああああ!ちっくしょーーう!爛れてるうううう!?」
ここ暫く、クロと百は、この神様の家から出掛けて…生徒達の元へ行っていた。
数日でここから出られるようになった眷属の二人と違って、俺は……例のごとく最弱の俺は…どうにも神様の家から出る力が足りないとかで、ずっとここで留守番している状態だ。
すぐ出られないような事は、三人が言っていたし、そうじゃないかとは思っていたけど…。まさか俺だけ出られないだなんて思わなかった。最弱がここでも尾を引くとは…。
そんな俺をここに送ってくれた一花は凄かったんだなと、あとになって改めて感動した。
ただ、これもまた…よくわからない法則みたいなのがあるようで…。送るのと、ここに自ら出たり入ったりするのでは、力の種類が違うんだとか。
いずれ俺にもわかると言われたけど、今の俺には、まだぴんときていない。
そう…いずれ…。俺の体は…結界に組み込まれた事をきっかけに、徐々にこちらの世界へと馴染んできていて…、この世界の人と同じものになりつつあるんだそうだ。
あとはどれだけ……その…二人とするかで、速度が変わるんじゃない?なんて事を弟さんに言われた。
とりあえず…俺を見て、中に注がれた回数を観察するような視線はやめて欲しい…。
「まあ、浮気の話はあとでじっくり問い詰めるとして…」
「いや、だから浮気じゃ…」
「いいじゃない。マンネリ旦那達に、間男スパイスは大事だよお?」
「殺す……」
「あああああ!そうだ。皆は、元気だった?」
リビングに移ってからも、また臨戦態勢を取ろうとする三人の会話を遮って、俺は気になっていた事を訊く。
倒れた一花、巨大な狼から戻った九、…そして一花を助ける為に半死半生になると言っていた七生達。弟さんから、無事みたいだよと聞いてはいたけど、実際に見た訳じゃないから、心配で仕方がなかった。
「うん。皆問題なく元気だった。クロチャンによろしくって言ってた」
「あ、そっか」
皆から見れば、クロはまだ俺だ…。
「うん。でね、九は、何度も何度も謝ってたよ」
「そ…う」
出来れば、俺も直接会いたかったな。しゅんとしてしまったあの子の顔を思い出して、切なくなる。
「あぁ…だがな」
「そーーーねえ」
「?」
「あいつ…オレにも散々謝ったあと、また宣戦布告してきやがった…」
「たくまし過ぎでしょお…」
「え?ぇええ?」
「へーもてもてだね。ぼくの元体」
「そんで、ここに…神様の元へ自分でこられるような力をつけようと、目下トレーニング中だってさ」
「え?うん?ぇええ?」
「一花達もな…面白がって、全員で九を鍛えにかかってる」
「えぇええ?うん???」
「ま、きたらきたで、見せつけてやるからね!!おれ達のお嫁さんはおれ達のものですううううー!!って」
「あぁ…何度でも…何度でもな……」
「…あ…ははは」
そう言って、にやりと笑った二人は、最高に大人げない顔をしていた。
俺がここから出られるようになるのが先か、九がこっちにくるのが先か。
どっちだろう?
まぁでも……。
まず…俺の名前を決めるのが先かなぁ。
俺はまだ決まっていない名前の事を思って、笑みを浮かべた。
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