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二章
☆3. フェルド・アンヴィルと人間
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「おっとぉ…」
「…え…!きゃぁっ」
「…あ」
おれの目に飛び込んできたピンク色の世界は、おれが目撃しちゃった事で終了した。
「あーーーごめんねぇ」
走り去った彼女とは別……残された相手にとりあえず謝る。や、邪魔する気はなかったしさ。一応ね。
「あーーーまぁ…別に。それより」
「ん?」
「あんたも逃げられちゃったみたいだけど?」
「えーーーマジで?」
「マジで」
そういって後ろを見てみれば、確かに。おれのツレもいなくなってた。
「どうする?残された同士楽しむ?」
「冗談」
「だよね~」
もちろん、おれだって冗談。
顔だけなら結構好みなんだけどね、ノアちゃん。それに…。
「ノアちゃんおれの事、嫌いだもんね」
「へぇ?わかるんだ」
「うん、だっておれもノアちゃんあんま好きじゃないし。あっ顔じゃなくてね」
「あっはっ!素直じゃん。性格がでしょ?」
「そそっ」
「おれも顔だけはおキレイでいいと思うよ、フェルドさん」
「あはははっ」
ノアちゃんとは生徒会の仕事で何度も会ってるし、その点は助かってる。
けど…仕事一緒に出来てもプライベートで付き合えるかはまた別だもんね。
あははは、無理!
ってかこれって同族嫌悪に…なんのかねぇ?ノアちゃんとは同族じゃないのに?
「で?…ノアちゃん。夢魔でもないくせに…なんでそうアグレッシブなのかな?何度目これ?」
「三度目」
「だっよねーおれの記憶とも一致した!もう三度目だよ、こういう現場がかち合うの」
「こっちの台詞だし、三度とも同じ場所じゃないのにさ。なんでかち合うかな…」
「は~…ほんと勘弁して」
だからどうってわけじゃないけど。夢魔にとってそういう事は、遊ぶ食べる寝る!と同じくらい自然にやる事だから…三度妨害されたとなると、ちょっとイラつくっていうか…、ストレスっていうか…。
しゃがんだおれが、落ち込んだって思ったのか、ノアちゃんがちょっと気まずそうに問いかけたきた。
「何?あんた夢魔だし、そういう事しないと、干からびちゃったりすんの?」
「うっわ!?」
「え、何?」
「あーーーあーーーあーー人間ってヤバい」
そっか、これかー。これかよーあーーもーーー。これが…人間が数を減らしても放っておかれてる原因の一つってやつねー。はいはい。
身をもってセクハラされて理解した。
種族特性を持たない人間は、種族特性を持ってる人にたいして驚くほどデリカシーがない。
おれたちが自然と持ってる…種族特性を言葉にする事への、忌避感や嫌悪感が全然ない。
訊いちゃうかな!?訊く普通!?
種族特性が未発達な子どもならまだしも…この年でそれはない~~~。しかも…自分の種族の事じゃなくて…夢魔のおれの事いったからね。
おれは不快で歪んだままの顔で、口を開く。
「ノアちゃんさぁ…」
「ん?」
「種族特性について、話しちゃだめとかって教わってないの?」
人間がわからないのは百歩譲って仕方ないけど…、それを教える事は出来んじゃないの?
「ダメ?なんで?」
「…………あーー」
だめだ。その反応。そっかー種族特性がないって。こんなにも伝わらないんだ。
感情が共有出来ない。溝がある。
あれ…でもこの感じ…なんだろ…ちょっとかいちょと似てんな?いやいや気のせいか。気のせいだね。あの人はただ性格がぽややんで色々と抜けてるところがあるだけだから。
まぁでも……ノアちゃんへの不快を緩める為に、思い出しついでに…相手はかいちょ…相手はかいちょと心を誤魔化すように念じる。
「……神社の御神体盗める?」
「は?何突然?」
「鳥居に落書き出来る?」
「え、は?」
「なんかイヤだなぁ~って思わない?」
「…そりゃ…まぁ祟られそうだし」
「おれたちにさっきみたいな事訊くのは、そういう感じ」
「は?なんで?」
「そこを説明は出来ないね。そういうもんだし」
「へぇ…でも俺、これまで特にあんたみたいな反応された事ないけど?」
「前科持ちかーーい!……んーそれは相手が、見逃してくれてたんじゃないの?」
忌避感も嫌悪感も、個々人の種族特性の強弱…その人との距離感…仲のよさとかでも多少変わるし。
「…へぇ?……でもさ、訊かなきゃわかんないじゃん?ネットにも本にものってないし」
「訊かなきゃわからない」
「うん」
「……種族が…違う……」
「え?何をいまさら…」
人間ヤバい。
ちなみにおれは別にそういう事しなくても干からびない…でもそれを…言葉にして話す気はない!
はぁああああ…。もうとんだセクハラ案件、いやモラハラなのかなぁ…。
「同じ生徒会の先輩として忠告するね」
「ん?」
「この学園は種族特性の強い人が多いから……、今回みたいな事…またしたら命の危険もあると思った方がいいよ」
「はぁ?冗談」
「冗談だと思うならそれでもいいよ」
「…………そっか、わかった」
「お?」
あれ?素直だな。納得したのかな。あーー黙ってそういう顔してりゃ、ほんと好みなんだけどな…。
「ゴキブリ見て、気持ち悪いって思うのと同じような原理って事だな!」
「……あーー……まぁそうね…そうですね…。そういう生理的嫌悪に近いっちゃ…近いねえ…」
種族特性をゴキブリに例えるとかいい度胸してんな……ノアちゃん。
でも人間なりに理解しようとしてくれたんだよね…そうだよね。
おれは、握った拳を…ただかたく握りしめるだけで我慢した。
「…え…!きゃぁっ」
「…あ」
おれの目に飛び込んできたピンク色の世界は、おれが目撃しちゃった事で終了した。
「あーーーごめんねぇ」
走り去った彼女とは別……残された相手にとりあえず謝る。や、邪魔する気はなかったしさ。一応ね。
「あーーーまぁ…別に。それより」
「ん?」
「あんたも逃げられちゃったみたいだけど?」
「えーーーマジで?」
「マジで」
そういって後ろを見てみれば、確かに。おれのツレもいなくなってた。
「どうする?残された同士楽しむ?」
「冗談」
「だよね~」
もちろん、おれだって冗談。
顔だけなら結構好みなんだけどね、ノアちゃん。それに…。
「ノアちゃんおれの事、嫌いだもんね」
「へぇ?わかるんだ」
「うん、だっておれもノアちゃんあんま好きじゃないし。あっ顔じゃなくてね」
「あっはっ!素直じゃん。性格がでしょ?」
「そそっ」
「おれも顔だけはおキレイでいいと思うよ、フェルドさん」
「あはははっ」
ノアちゃんとは生徒会の仕事で何度も会ってるし、その点は助かってる。
けど…仕事一緒に出来てもプライベートで付き合えるかはまた別だもんね。
あははは、無理!
ってかこれって同族嫌悪に…なんのかねぇ?ノアちゃんとは同族じゃないのに?
「で?…ノアちゃん。夢魔でもないくせに…なんでそうアグレッシブなのかな?何度目これ?」
「三度目」
「だっよねーおれの記憶とも一致した!もう三度目だよ、こういう現場がかち合うの」
「こっちの台詞だし、三度とも同じ場所じゃないのにさ。なんでかち合うかな…」
「は~…ほんと勘弁して」
だからどうってわけじゃないけど。夢魔にとってそういう事は、遊ぶ食べる寝る!と同じくらい自然にやる事だから…三度妨害されたとなると、ちょっとイラつくっていうか…、ストレスっていうか…。
しゃがんだおれが、落ち込んだって思ったのか、ノアちゃんがちょっと気まずそうに問いかけたきた。
「何?あんた夢魔だし、そういう事しないと、干からびちゃったりすんの?」
「うっわ!?」
「え、何?」
「あーーーあーーーあーー人間ってヤバい」
そっか、これかー。これかよーあーーもーーー。これが…人間が数を減らしても放っておかれてる原因の一つってやつねー。はいはい。
身をもってセクハラされて理解した。
種族特性を持たない人間は、種族特性を持ってる人にたいして驚くほどデリカシーがない。
おれたちが自然と持ってる…種族特性を言葉にする事への、忌避感や嫌悪感が全然ない。
訊いちゃうかな!?訊く普通!?
種族特性が未発達な子どもならまだしも…この年でそれはない~~~。しかも…自分の種族の事じゃなくて…夢魔のおれの事いったからね。
おれは不快で歪んだままの顔で、口を開く。
「ノアちゃんさぁ…」
「ん?」
「種族特性について、話しちゃだめとかって教わってないの?」
人間がわからないのは百歩譲って仕方ないけど…、それを教える事は出来んじゃないの?
「ダメ?なんで?」
「…………あーー」
だめだ。その反応。そっかー種族特性がないって。こんなにも伝わらないんだ。
感情が共有出来ない。溝がある。
あれ…でもこの感じ…なんだろ…ちょっとかいちょと似てんな?いやいや気のせいか。気のせいだね。あの人はただ性格がぽややんで色々と抜けてるところがあるだけだから。
まぁでも……ノアちゃんへの不快を緩める為に、思い出しついでに…相手はかいちょ…相手はかいちょと心を誤魔化すように念じる。
「……神社の御神体盗める?」
「は?何突然?」
「鳥居に落書き出来る?」
「え、は?」
「なんかイヤだなぁ~って思わない?」
「…そりゃ…まぁ祟られそうだし」
「おれたちにさっきみたいな事訊くのは、そういう感じ」
「は?なんで?」
「そこを説明は出来ないね。そういうもんだし」
「へぇ…でも俺、これまで特にあんたみたいな反応された事ないけど?」
「前科持ちかーーい!……んーそれは相手が、見逃してくれてたんじゃないの?」
忌避感も嫌悪感も、個々人の種族特性の強弱…その人との距離感…仲のよさとかでも多少変わるし。
「…へぇ?……でもさ、訊かなきゃわかんないじゃん?ネットにも本にものってないし」
「訊かなきゃわからない」
「うん」
「……種族が…違う……」
「え?何をいまさら…」
人間ヤバい。
ちなみにおれは別にそういう事しなくても干からびない…でもそれを…言葉にして話す気はない!
はぁああああ…。もうとんだセクハラ案件、いやモラハラなのかなぁ…。
「同じ生徒会の先輩として忠告するね」
「ん?」
「この学園は種族特性の強い人が多いから……、今回みたいな事…またしたら命の危険もあると思った方がいいよ」
「はぁ?冗談」
「冗談だと思うならそれでもいいよ」
「…………そっか、わかった」
「お?」
あれ?素直だな。納得したのかな。あーー黙ってそういう顔してりゃ、ほんと好みなんだけどな…。
「ゴキブリ見て、気持ち悪いって思うのと同じような原理って事だな!」
「……あーー……まぁそうね…そうですね…。そういう生理的嫌悪に近いっちゃ…近いねえ…」
種族特性をゴキブリに例えるとかいい度胸してんな……ノアちゃん。
でも人間なりに理解しようとしてくれたんだよね…そうだよね。
おれは、握った拳を…ただかたく握りしめるだけで我慢した。
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