王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
286 / 717
本編

16日 朝ごはんに呵々大笑

しおりを挟む
「あっはっはっは!!!良いぞ良いぞ竜樹殿!クレル・ディアローグ神様に、調停をお願いするとはな!神の御前に、いかにジュヴール国王が言葉を飾ろうとしても、偽りは申せないだろうよ!まあ、私たちも、これを機に何か得をしたい、という気持ちがあれば、バレバレになるだろうがな~。」
にはは。

爽やかな朝である!
昨夜の内に、プール銭湯ではカメラを遠慮して回さなかったミランが、タカラとふんふん勢いある鼻息を吐きつつ。
「神様とお話した落とし所を、早速ハルサ王様に報告しておかねばなりません!」
と握り拳で意気込み、タカラが報告に走った。
竜樹はニリヤやオランネージュ、ネクター、そしてロテュス王子も、寝かさなければならなかったので、後ほど王様にお会いするよ、として。寮で皆と寝たのだが。
今朝、早速、寮にハルサ王様とマルグリット王妃がやって来て、一緒の朝食。満面の笑みである。

「各国にもこれから、落とし所を話しておく。ムフ。エルフのリュミエール王や、ヴェル妃様の子、エクラ君を含む91人のエルフ達の奪還にも、神鳥オーブ殿が助太刀して下さるのだね?」
「はい。オーブの事ですから、頼りになると思いますよ。」
目玉焼きトースト、ハムとチーズとほうれん草乗せ、を頬張る大人達に、3王子とジェム達は、いつも通り安心してキャワ!と朝ごはんを頂いている。
ロテュス王子は、大人達が話をしている内容に、目を見張り、お口、トーストから、目玉焼きがボタリと皿に落ちた。

ロテュス王子がスヤスヤと眠っている間に、大人達がそんな話をしているだなんて。
ロテュス王子は、共感覚の親株の魔法を持つだけあって、人といる時に頼られる位置になる事が多いのだが。物の分かった大人が集結して面倒をみてくれ、こんがらがった糸を皆して解いてくれるのが、こんなに安心する事だとは、初めて知った。
ふす、ふすと、鼻息が漏れてしまう。

ジェムが、ロテュス王子の背中をトントンして。
「本物の大人は、引っ張って人を落としたりしないで、引っ張り上げてくれるんだぜ。そうすると、世界がひろくみえるんだ。俺もこないだ、初めて知ったけど。」
ウン、と頷き、皿の目玉焼きをフォークで再びトーストに乗せ、呆然とモグモグあむあむするロテュス王子である。
ふう、と肩の荷物が降りて。
「エクラも、連れて来てくれるんだ。」
「エクラって誰?」
「私の弟だ。」
そうなの、それは、よかったね!
サンもニコニコ、りょうときょうかいのみんなは、サンのきょうだいなんだよ!とほうれん草をパクついた。
「きょうだい、うれしいねぇ。」
ニリヤがカップのミルクをゴクンと飲んで、髭を作りつつ。3王子が笑う。
「ウン。本当に、本当に、5246人、全員、1人も欠けずに、諦めなくて済むかも。」
感動している所の横では、チリ魔法院長と、エルフの魔法使いファマローが、髪をボサボサにしたまま、ムシャムシャトーストを食べている。謎のやり切った感、満載である。そして子供達も、密かに、ムフ、ニコ!まだ内緒、なのである。

「それにしても、ボランティアの案や、体育館でのエルフ達の受け入れの、様々な対応策、注意点を、竜樹殿が教えてくれて大変助かりました。竜樹殿の元のお国で起きた、悲しい災害などには心痛むが、その時の、痛みと共に得た知恵を、惜しげもなく教えて下さる事が、どれだけ私たちの力になる事か!」
「いえいえ、役立ったなら、良かったですよ。体育館、作っておいてよかったですね!」
全く、全く!

今日も、体育館で、何か出来る事はないか、ふらついてみよう。竜樹と3王子のスケジュールは決まり。
「今日がおぼんの最終日だとは、全くよく出来ているものよ。エルフ達とも、おぼんの魂送りができれば喜ばしいが、まだ身体も心も、疲れているだろうから、テレビで見てくれたらな。」
「ええ、ええ、そうですね!あー、おぼんの最終日かぁ。魂達、満足してくれたかなぁ?」
祭壇辺りでピカピカしている魂の光は、最初来たばかりの時より、落ち着いているようにも見える。

「今はバラン兄上が駆けずり回っているよ。囚われているエルフ達の事もあるから、用意していた、賑やかなぼんおどり、という雰囲気でもなかろう?でも、魂は送りたいから、音楽に絡めて、相応しい雰囲気のものを、急遽準備すると言っていた。」
「音楽に関しては、バラン王兄様に任せておけば、大丈夫ですよね。信頼し合うって、良いですね。」
「ムフフフ。私は、良き兄弟を持ったよ。」
ニヤリ、と警備しながらこちらの話を聞いているマルサ王弟も、ハルサ王様と目線を合わせて笑うのであった。
竜樹もニコニコである。


ジェム達を、新聞売りのいつもの仕事に送り出し、寮を出て体育館へ。
竜樹や護衛のマルサ、カメラマンのミランに、竜樹付きのタカラ、3王子。そこに加わったのは、ロテュス王子に、チリ魔法院長とエルフの魔法使いファマローである。
「て、転移魔法陣の打ち合わせ、です!」
「寮で練習がむぐぐぐ。いえ、はい、打ち合わせ、なのです!」
体育館にいるエルフの中にも、転移魔法陣の設置や、ジュヴールに囚われた仲間のエルフ奪還に役立つ、魔法を使える者達がいるだろう、と目論む2人である。

コケケコケケ!
オーブも、庭で待っていて、バタタタ!
ロテュス王子の頭の上に乗った。

「きょうは、ぼくにじゃないの、オーブ。」
ニリヤが、はてな?と神鳥オーブに聞く。

ココケコケッケコ!
『奪還!するからね!ニリヤ王子も応援してね!』

「ウン!応援、する~!」
ぴょん!と飛んで。

体育館にたどり着いた面々を待っていたのは。
そこかしこでおしゃべり、そう、思ったより興奮して話し合いをする、エルフの魔法使い達だった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?

あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。 彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。 ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...