王子様を放送します

竹 美津

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本編

16日 ボランティアはこちらから

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体育館に来る前に、広場のボランティア受付に寄って、事前に「どんな事をボランティアしたら良いかな?」と竜樹と3王子も聞いてきた。
自分が言い出したシステムを、自分が破ったら、やっぱり良くない。
それを、チリ達も、そしてロテュス王子も、ロテュス王子の頭の上の神鳥オーブも、様子を見たいとついてきて。

ボランティアも結構志願する人がいて、10人位老若男女の列の後に付き、順番を待った。待つ間、前に並んだお兄さんと話をした。その様子を、ミランはすかさずカメラで撮影。

普段は屋台をやっているが、今日はおぼんの最終日だし、魂迎えの時も、あまり屋台にお客はなかったから、思い切って仕事をお休みし。テレビを見て、初めて聞いた、ボランティア、ってものに興味を持って、やって来たと。

「困った時はお互い様、って言葉、知らなかったけど、普段から俺たち屋台の連中は、やってるな、って思って。時々用を足しに屋台を外れる時なんか、隣り合った屋台同士で番をしたりするし、昼飯にお互いの売り物を交換して食べたり。何かと融通し合うんだ。テレビを見て、呪いって何かヤダなぁ、って。平和なおかげで、不安なく暮らしていけてるんだな、って思ったし、エルフ達の事、あんまり知らないな、でも、これからお客になるかもしれないし、エルフ達に恩があるなら、何かできればな、って。」
ウン、ウン。
竜樹は嬉しくなって、お兄さんとギュギュッと握手をした。ロテュス王子も感じた所があって、ギュギュッと。お兄さんは、美形の中性的なロテュス王子に赤くなって。
「良く休んで、これから頑張ってくださいね、エルフ達。」
手を振って、料理の下拵えのボランティアに派遣されて行った。

そうこうしていると竜樹達の番に。
栗色の髪をくるんとまとめた、瞳の大きな可愛らしいお姉さんは、冒険者組合の事務さんで、組合からもお助けが何人か来ているとの事。
お姉さんは竜樹と3王子に慌て、上司らしき人に確認。バタバタして、上司が直々にやってくる。
「おはようございます。初めまして、竜樹様、王子殿下達、ロテュス王子殿下、そして皆様。私、シャカルと申します。」
冒険者組合の副長だという細身メガネの彼は、ふー、と息を吐いて、すっと落ち着いて、ニッコリ笑った。

「竜樹様と王子殿下達は、自由に歩いて、思った通りに行動なさって下さい。何か思いついた事があったら、改めて体育館でボランティアをまとめている、バーニーに相談して、聞いてもらって。」
おおお。
「バーニー君がボランティアまとめてるのね。」
「はい、プールの温度設定が済んだ後、こちらに何をしようか聞きに来て、あれあれあれよという間に、皆がどうしたら良いかバーニーに聞き始めたので、リーダーにさせて頂きました。」
うん。バーニー君は相変わらず、いい仕事をしたようである。
では、とボランティア受付を後にし、体育館に。

「竜樹様と、生で会ってしまった!」
「会っちゃいましたね!私たち!」
「「やりぃ~!!」」

お姉さんと副長が、まるで幸運の四葉に出会えた時のように、背後で小さくハイタッチをしていたが、竜樹は気づかなかった。マルサがくくく、と笑った。


「おはよう~。皆、ゆっくり休めたかい?何かあれば、お手伝いできるかな、と思って来てみました。ギフトの人の竜樹です。」
「第一王子、オランネージュです!」
「第二王子、ネクターです!」
「だいさんおうじ、ニリヤです!」

エルフの魔法使い達は、テレビを見てはわちゃわちゃ話していた。大人も子供も老人も、おにーさんもおねーさんも。チリ魔法院長と、同胞の魔法使いファマローに、わわわと詰め寄り、何をか活発に議論し始めた。
チリが、ガラガラ引っ張ってきたカートから、大きな紙を出して、体育館の床に皆で蹲って。ああでもないこうでもない書き足したりしている。
まあ、楽しそうなそれは、放っておいて。

あ~、ロテュス様に、パシフィストの王子さまぁ。
ギフトのたつき様もだぁ!
昨日、プール銭湯で背中を洗った、エルフの子供達が、とたた!と駆け寄ってくる。エルフの女性達も、ペタン、とそれぞれ体育館の床に座って、赤ちゃんのオシメを替えたり、お茶を飲んだりしつつ、ニコニコ!とお辞儀をしてきた。
竜樹達も微笑んで、お辞儀をする。

子供達は、わちゃ、と混ざり合った。
朝ごはんおいしかった、たまご出た!昨日、夜も食べたのに、朝も、しょくじ出るなんて、すごくすごい!と。
エルフの子達は笑顔で、照れて、もじもじしている。可愛い。

「まいにち、あさと、おひると、よる、たべるよ。」
「うん。皆、食べられるからね!」
「お腹すいてたら、教えてね!」
うん!と頷くエルフの子供達の中の1人、竜樹の胸ほどの身長の子が、「それで、何を働いたら良いの?」と聞いてくる。

「今まで、頑張って働いても、食事が時々しかもらえなかったから。」
「食事がいっぱい貰えるなら、もっと一生懸命働かなきゃだよね?」
「がんばるよ。」
ふす!と、ブラックを覚悟している。

竜樹の眉は、ふにゅ、と下がったが、笑顔で、うん、うん、した。
そそそ、とスーリール達ニュース隊が、朝の体育館、竜樹達とエルフの子供達に寄ってきて、じっと話を聞いている。

「えーと、えーと。竜樹、エルフ達、すぐ働く?」
ネクターが、顔を傾げて。

「エルフ達の皆はねぇ、今はゆっくりお休みで良いんだよ。身体と気持ちを元気にして、それから、どんな風に、安心して、程よく働いたり、遊んだり、していこうかな、って一緒に考えるの。」
一緒に考えるの、考えるんだって!今までは、これ、やれ!って命令されるばっかりだったよね?なんか違うね!エルフの子達は、真剣に話し合う。

「程よく、ってどのくらい?」
オランネージュが代表して聞いてくる。ウンウン、聞きたい、と見上げる瞳達に、なるべく優しく、竜樹は返す。
「う~ん。そうだなぁ。子供達は、ジェム達みたいに、半日働いて、午後は遊べるくらいの感じかな?でも、それにこだわらなくても良いんだよ。」

? の様子の子供達である。

「エルフ達は、森で生きていたのでしょ?何でも、自分たちで作って。少し足りないものを、外の世界の商人とやり取りで得て。魔法を大人に教わったりもしたろうし、食べるためには、獲物を狩ったり、実を収穫したり、作物を育てたり、それぞれ時間かかったり時期があったりはしたろうけど、誰かに追われてせこせこしたりしないで、丁寧に、のんびり暮らしてたんじゃないの?」
いや、想像ですけど。竜樹が言えば。

ていねい、のんびり。
エルフの子供達は追って言い、お父さんお母さんエルフ達は、うんうん、コクコク、と頷き、今にも口出しそうに見ている。

「皆、前の森では、どう暮らしていたのかな?」
逆に聞く竜樹である。

う~ん、と子供達は、キラキラした瞳を、天に向けて思い出し。

「そ、そうだなぁ。俺、森にいた頃はもっとちっちゃかったから、少ししか覚えてないけど。森は森で、やる事いっぱいあった。でも、そういえば、皆、良く笑ってたし、命令されたり、殴られたり怒られたりとか、なかったよ。朝は、明るくなったら起きて、暗くなったら大体寝て、学びたい時に学んで、遊びたくなったら遊んで。それでも毎日、ごはん食べてたし、のんびりして、楽しかった、と思う。」

ウンウン。
大人エルフが、思い起こして、ふわ、と笑って。
「楽しかったよね!」
「果物とか、薬草とか、お芋とか。植物を育てる力で、結構いっぱい、時期はずれにも採れたしね~。忘れずに枯れた葉っぱを熟成させて栄養やったり、面倒ちゃんとみれば、毎年無理なくとれたんだ。」
「食べ物が豊富だけど、刺激の少ない森に飽きたら、街で暮らしたりもして。」
「街の刺激に疲れたら、恵の森に戻っても良かったし。」
「皆、食べるための協力をしたけど、結構、自由にもやってたよね!」
「魔法の研究ばっかしてるやつも、いたりね~。」

竜樹が、段々集まって思い出話をし出したエルフ達に、深く頷く。

「エルフ達の、本来の暮らし方を参考にしていこうよね。それでも、ちょっと、これから変えたら、ってところもある。もっと、エルフじゃない、森の外の皆とも、仲良く関わりあって欲しいな、って思ってるんだ。調停者、って事で、皆、他の国から距離をとってた事もあるのかな?でも、もうエルフ達を奴隷みたいにする方法を、ジュヴールは知って使ってる。それをどうにかしなきゃね!もしそれができたら、国同士のお付き合いを、それぞれ盟約に係る国と、やってみない?ジュヴールの国でさせられてたみたいに、無理矢理に、酷い事が、とかを、今、助けて欲しいんだよ、って、なるべく早く皆に知ってもらって。閉じて守られる事もあるけど、程よく開いて助け合って、って、出来るじゃない?」

そっかぁ~。
「それに、でっかいお風呂も入れるしねぇ~。」

1人のエルフが、お風呂の事を思い出し、口にすると。
ほわわぁ~、とした顔に、皆なる。

「お風呂、良いよね!」
「浄化とか、水浴びじゃ、もう満足できないぃ~!」
「ほんわりして、あったかくって、スッキリさっぱりして。ツルツルになる!」
「身体も、良い匂いになるもんねぇ!」
「すごく癒される~!」

ふむふむ。お風呂を皆、大好きなんですね。

「だ~い好きです!」
「森にお風呂ないから、森に帰れても、時々入りに出かけると思う。」
「転移すれば行けるもんね。」
「「「行く~!」」」


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