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2.はじめまして、第25文化部
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謎の部活に強制参加。
そんな私の憂鬱な気持ちは、本人の許可もなくスキップされ、気付けば放課後になっていた。
いっそこのまま帰りたい。でも事情が事情すぎてそうもいかない。
「で、部室の場所はっと……」
入部届のチラシをめくる。裏には小さく<旧校舎・三階・西側>の文字。
「なるほど、これはますます行きたくない」
旧校舎。この世で三番目くらいに行きたくないワードが、また軽率に印字されている。……ホラーゲームか。この立地条件の悪さ。第25文化部がいかにも”やっつけで作られた”ことを物語っている。
「でもまあ、行くしかないよね」
私はため息をつき、天を仰いだ。
===
ギィギィ
軋む階段を上り、夕日に照らされた旧校舎の三階に辿り着く。
「……ここ、かな」
入り口には段ボール製のプレートに、達筆な字で『第25文化部』と書かれたものが貼られていた。即席感が半端ない。しかもプレートがちょっと曲がってる。すでに不穏。
「ふふ……これは楽しみだな」
隣で眼鏡を光らせているのは、クラスメイトの如月二千翔。ダメだこいつは、既に好奇心の塊になっている。
「いや、不安しかないでしょ」
嬉々とする彼をあしらいながら、私は意を決してドアを開けた。
「失礼しま――」
「あらやだ~、可愛い女の子が来たわ!」
「え」
目の前に立っていたのは、やけに煌びやかな女子生徒だった。何故かブランドを感じさせる制服にふわふわのフリルやレースをあしらっている。金持ちの香りしかしない。
そしてその後ろでは――猫のぬいぐるみに丁寧にお茶を注ぐ人物。他にも机の上にしっかりと枕をスタンバイして寝ている人や、床でノートパソコンのモニターに向かって土下座をしている人。さらに窓際では、誰かが「ここが学園の中心だ」と言いながら、何かを書きとめていた。
……カオスの概念が服着て歩いてるみたいな光景だ。
「あなた入部希望者よね?」
「え。あ」
今ならまだ間に合う。部屋を間違えたことにして撤退しよう。
そう思って、私は握りしめた入部届を背中に隠した――が。
「当たり前だろ。この時間にこんな場所でフラフラ出来る奴なんで、部員しかありえない」
「ちょっ!」
小柄な男子生徒が背後からサッと私の入部届を抜き取った。
「はい、兄様」
「え、あっ、うん」
兄様と呼ばれた穏やかそうな上級生がそれを受け取って目を通す。
どうやらこの二人、兄弟らしい。
「一宮こまりさんだね。ようこそ、第25文化部へ」
「は、はい。あのえっと……ここ、文化部……なんです、よね?」
「一応そうなるかな……。活動内容はまだ決まっていないんだけどね」
「決まってない……?」
「なんだ貴様、兄様に文句でもあるのか」
弟の方がピシッと睨んでくる。
「いえ、ないです……」
「まあまあ、みーくん、みんなこの部活は初めてなんだし、仲良くしようよ、ね?」
「兄様は優しすぎる!」
兄弟の温度差がすごい。
そして私は確信した。
――この部活、絶対まともじゃない。
そんな私の憂鬱な気持ちは、本人の許可もなくスキップされ、気付けば放課後になっていた。
いっそこのまま帰りたい。でも事情が事情すぎてそうもいかない。
「で、部室の場所はっと……」
入部届のチラシをめくる。裏には小さく<旧校舎・三階・西側>の文字。
「なるほど、これはますます行きたくない」
旧校舎。この世で三番目くらいに行きたくないワードが、また軽率に印字されている。……ホラーゲームか。この立地条件の悪さ。第25文化部がいかにも”やっつけで作られた”ことを物語っている。
「でもまあ、行くしかないよね」
私はため息をつき、天を仰いだ。
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ギィギィ
軋む階段を上り、夕日に照らされた旧校舎の三階に辿り着く。
「……ここ、かな」
入り口には段ボール製のプレートに、達筆な字で『第25文化部』と書かれたものが貼られていた。即席感が半端ない。しかもプレートがちょっと曲がってる。すでに不穏。
「ふふ……これは楽しみだな」
隣で眼鏡を光らせているのは、クラスメイトの如月二千翔。ダメだこいつは、既に好奇心の塊になっている。
「いや、不安しかないでしょ」
嬉々とする彼をあしらいながら、私は意を決してドアを開けた。
「失礼しま――」
「あらやだ~、可愛い女の子が来たわ!」
「え」
目の前に立っていたのは、やけに煌びやかな女子生徒だった。何故かブランドを感じさせる制服にふわふわのフリルやレースをあしらっている。金持ちの香りしかしない。
そしてその後ろでは――猫のぬいぐるみに丁寧にお茶を注ぐ人物。他にも机の上にしっかりと枕をスタンバイして寝ている人や、床でノートパソコンのモニターに向かって土下座をしている人。さらに窓際では、誰かが「ここが学園の中心だ」と言いながら、何かを書きとめていた。
……カオスの概念が服着て歩いてるみたいな光景だ。
「あなた入部希望者よね?」
「え。あ」
今ならまだ間に合う。部屋を間違えたことにして撤退しよう。
そう思って、私は握りしめた入部届を背中に隠した――が。
「当たり前だろ。この時間にこんな場所でフラフラ出来る奴なんで、部員しかありえない」
「ちょっ!」
小柄な男子生徒が背後からサッと私の入部届を抜き取った。
「はい、兄様」
「え、あっ、うん」
兄様と呼ばれた穏やかそうな上級生がそれを受け取って目を通す。
どうやらこの二人、兄弟らしい。
「一宮こまりさんだね。ようこそ、第25文化部へ」
「は、はい。あのえっと……ここ、文化部……なんです、よね?」
「一応そうなるかな……。活動内容はまだ決まっていないんだけどね」
「決まってない……?」
「なんだ貴様、兄様に文句でもあるのか」
弟の方がピシッと睨んでくる。
「いえ、ないです……」
「まあまあ、みーくん、みんなこの部活は初めてなんだし、仲良くしようよ、ね?」
「兄様は優しすぎる!」
兄弟の温度差がすごい。
そして私は確信した。
――この部活、絶対まともじゃない。
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